↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰向  作者: 凛光穂
第一巻 過ちを許される世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/181

帝都に着いたばかり その三

 汽車の中では、秉核(ヘイカク)が自らコフィの守護騎士になると宣言し、場の空気をひどく気まずいものにしていた。


 しかし龍・コフィー(コフィー)は不満を抱くどころか、秉核(ヘイカク)が貴族の誓約を交わしたと決めつけた。そして傍らの家臣に剣を抜かせ、挑戦の構えを取らせて、それを既成事実にしようとした。

 そして傍らの家臣に剣を抜かせ、挑戦の構えを取らせて、それを既成事実にしようとした。


 コフィー(コフィー)にとって、自分を守ろうとする騎士が貴族であることは、どんな高価な装飾品よりも身分を語るものだった。秉核(ヘイカク)は、自ら進んでやってきた引き立て役に過ぎない。

 秉核(ヘイカク)は、自ら進んでやってきた引き立て役に過ぎない。


  ……


 そして今、憲兵の手振りに視線を追って、秉核(ヘイカク)はようやく気づいた。高架橋に停車している馬車の列は、それぞれ違っている。最前列には華麗な馬車が、後方には質素な馬車が並んでいた。橋の下で列を作る若者たちを思い浮かべ、秉核(ヘイカク)ははたと悟る。

 この橋の上の馬車も先着順で自由に乗れるわけではなく、明確な順序があるのだと。制度と階級が、この世界の隅々にまで浸透しているのだ。

 高架橋に停車している馬車の列は、それぞれ違っている。最前列には華麗な馬車が、後方には質素な馬車が並んでいた。

 橋の下で列を作る若者たちを思い浮かべ、秉核(ヘイカク)ははたと悟る。

 この橋の上の馬車も先着順で自由に乗れるわけではなく、明確な順序があるのだと。

 制度と階級が、この世界の隅々にまで浸透しているのだ。


 秉核(ヘイカク)とコフィー(コフィー)、それに従者たちは最初の馬車に乗り込んだ。ステンレス製の骨組みに白い陶磁器の外装、銀の房飾りが鎖で飾られている。隊列の中で最も豪華な車両であり、制度上、乗ることが許された車だった。

 ステンレス製の骨組みに白い陶磁器の外装、銀の房飾りが鎖で飾られている。

 隊列の中で最も豪華な車両であり、制度上、乗ることが許された車だった。


  ……


 乗り込んで席に着こうとすると、車内の者たちが一斉に秉核(ヘイカク)へ視線を向けた。コフィー(コフィー)の隣の席は空いており、誰もがそこは秉核(ヘイカク)の席だと考えているようだった。

 コフィー(コフィー)の隣の席は空いており、誰もがそこは秉核(ヘイカク)の席だと考えているようだった。


 秉核(ヘイカク)はぽかんとして、もとからコフィー(コフィー)の側にいた騎士を見た。その騎士も秉核(ヘイカク)を見つめ返し、しばらく二人で目をぱちくりさせていたが、やがて仕方なさそうに近づき、秉核(ヘイカク)に小声で言った。「秉核様(ヘイカク様)、あなたはもう殿下の守護騎士です。おそばに付き添うべきです」

 その騎士も秉核(ヘイカク)を見つめ返し、しばらく二人で目をぱちくりさせていた。

 やがて仕方なさそうに近づき、秉核(ヘイカク)に小声で言った。

「秉核様(ヘイカク様)、あなたはもう殿下の守護騎士です。おそばに付き添うべきです」


 秉核(ヘイカク)は一瞬呆然として、コフィー(コフィー)を見た。コフィー(コフィー)は指先で軽く机を叩きながら、窓の外を見つめている。何も言わないが、横目では秉核(ヘイカク)を追っていた。

 コフィー(コフィー)は指先で軽く机を叩きながら、窓の外を見つめている。

 何も言わないが、横目では秉核(ヘイカク)を追っていた。


 秉核(ヘイカク)は少し躊躇してから、コフィー(コフィー)の隣の席へ移った。だが重心は無意識に片方へ偏り、すぐに自分が照れているのだと気づく。「まさか、俺は照れてるのか?」心の中でそう呟いた。

 だが重心は無意識に片方へ偏り、すぐに自分が照れているのだと気づく。

「まさか、俺は照れてるのか?」

 心の中でそう呟いた。


 コフィー(コフィー)は窓の外から視線を戻し、秉核(ヘイカク)に言った。「秉核(ヘイカク)、あなたは帝都が初めてなの?」

「秉核(ヘイカク)、あなたは帝都が初めてなの?」


 秉核(ヘイカク)がうなずくと、コフィー(コフィー)は続けた。「あなた、帝都にすごく興味があるみたいね。何か考えでもあるの?」

「あなた、帝都にすごく興味があるみたいね。何か考えでもあるの?」


 少し考え込んでから、秉核(ヘイカク)は尋ねた。「殿下、貴族の身分は、帝都ではそれほど重要なのですか?」

「殿下、貴族の身分は、帝都ではそれほど重要なのですか?」


 車内の空気が一瞬止まり、皆の表情が奇妙になった。コフィー(コフィー)は髪をなめらかな肩にかけると、微笑んだ。「核、あなたは本当に面白い人ね。貴族はこの帝国の実質なのよ。どんな貴族になりたいの?」(貴族は帝都だけでなく、どこでも重要な存在だ)

 コフィー(コフィー)は髪をなめらかな肩にかけると、微笑んだ。

「核、あなたは本当に面白い人ね。貴族はこの帝国の実質なのよ。どんな貴族になりたいの?」

(貴族は帝都だけでなく、どこでも重要な存在だ)


 秉核(ヘイカク)は一瞬戸惑い、うなずきかけたが、突然ある記憶が脳裏をよぎった。ぼんやりとした意識の中に、『民は貴く、社稷はこれに次ぎ、君は軽し』という言葉が浮かぶ。秉核(ヘイカク)は我ながら驚いたが、コフィー(コフィー)の問いに、その言葉を答えることはしなかった。

 だが突然ある記憶が脳裏をよぎった。

 ぼんやりとした意識の中に、『民は貴く、社稷はこれに次ぎ、君は軽し』という言葉が浮かぶ。

 秉核(ヘイカク)は我ながら驚いたが、コフィー(コフィー)の問いに、その言葉を答えることはしなかった。


 代わりに、彼は無難な答えを返した。「私は民衆に支持される貴族になりたいです」

「私は民衆に支持される貴族になりたいです」


 コフィは青い瞳で秉核(ヘイカク)を見つめ、淡々と言った。「あなたは優しい人ですね」そして話を変え、平然と言い放つ。「とても無邪気でもある」

「あなたは優しい人ですね」

 そして話を変え、平然と言い放つ。

「とても無邪気でもある」


 秉核(ヘイカク)はうなだれ、すぐに認めた。「その通りです。私はいつも、浅はかすぎるのかもしれません」

「その通りです。私はいつも、浅はかすぎるのかもしれません」


 しかし頭を下げたまま、秉核(ヘイカク)は口では謝罪しながら、心の内では先ほどぼんやりと浮かんだ無数の記憶が渦を巻き、別の理性的な思考を呼び起こしていた。


 秉核(ヘイカク)は心の中でつぶやいた。「この世界は、何かがおかしい」

「この世界は、何かがおかしい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。