知謀と樹信 その二
蒸気暦千二十七年、九月三日。
ヴィクラーネでは、宮廷の謀略が、貴族たちが日常的に集うサロンの中で最終段階を迎えようとしていた。
その中でどんな利益交換が交わされ、どんな偽装と欺瞞が行われたことか。宮廷の宴会で王位を狙う者たちの一挙手一投足、一つの装飾品にさえ、複雑な駆け引きが込められていることがある。
そして、オーカ人とプロイスは謀略の局面ですでに合意に達していた。
それは選王の儀式を完全に破壊し、二千年続いたその儀式を解体させることだ。そしてこの儀式を解体する方法は、心を誅することである。
もし選王の儀式でこんな展開が起きたら、どうなるか。
前回の選王勝利者が再び選王に勝つため、ライバル(ビクスの選王候補)を殺害し、ヒーマンの前任盟主の「陰謀」が暴露された後、選王儀式に残されていた信頼は完全に失われる。
オーカ人は今、この筋書きを手にし、その中の『悲劇の役』蘇塔をしっかりと掌握している。
同時に、重要な脇役であるプエファースが協力する。加えて、オークリー自身の役どころは悪役にうってつけだ。この企みは今のところ、非常にうまく仕組まれている。
完璧だ。少なくとも計画者の目には、まだ何の穴も見当たらない。瀾濤城透の部屋では、油燈の光の下、城透が指揮棒を手に取り、目の前には精密な砂盤地図が広げられていた。
この砂盤地図には、ヴィクラ周辺の軍事力が記されていた。
これは高空を巡航する飛行船から撮影したものだ。高空偵察飛行船には秉核が遠隔操作システムを設置し、この砂盤も秉核が自ら製作した。瀾濤城透には、秉核の労力を拒む理由が見つからなかった。
もともと瀾濤が掌握していたヴィクラ地区の地図は、オーカ人の情報組織が現地の協力者に描かせたものだった。協力者の教育水準では、精密な地図など到底無理な話だった。
秉核が駆け回って砂盤の細部を完璧に仕上げたことで、オーカー人たちは、隊列にこれほど気配りの利く機械制御者がいるとは本当に素晴らしいことだと、感嘆せずにはいられなかった。
城透は砂盤を片づけると、今回の王選隊伍で核心機密の計画を知る数人に向かって言った。「諸君、今こそすべてを始めるときだ」
オークリー人には群騰迪南のように理性的で老練な政治家もいるが、大部分のオークリー貴族は危機や衝突について考えようとしない。彼らはこの王選を重く見すぎている。
城透は指で、砂盤上のオークリー首都圏における軍力配置を指し示した。砂盤には、オークリーが近辺に十個の騎兵団、合わせて二万余人を配置していることが示されていた。
これらの騎兵団の将校たちは皆、オークリー国内の保守的で傲慢な貴族であった。
王選の結果はまだ出ていないのに、彼らはさまざまなサロンでの交流のなかで、最終的な王選の勝者はオークリーであるべきだと豪語していた。
そして独善的に、王選に参加する他の小国もオークリーを支持すべきだと考えていた。(外交において、インドが英帝国の南アジア植民地覇権を継承すべきだという謎の自信を参考にできる)
さらに、こうした貴族の家族のなかには、オーカ帝国のスパイが活動している。彼らは現在、世論の誘導において非常に重要な役割を担っている。
城透は傍らにいた船長(中位職業者)のマスト帆カルーに言った。
「今夜十時二十七分、ビクスの側にいる騎士を探しに行きなさい」
船長はうなずき、命令を承った。
城透は比索に尋ねた。
「機械師の部隊は全員撤退したのか?」
比索は皮肉めいた口調でうなずきながら答えた。
「国内の陸軍省は一週間前から、彼らの機械師を返せと催促してきたんだ」
城透は比索の皮肉に気づかないふうで、うなずきながら聞き返した。「波輪・カイスはまだ工場にいるのか?」
比索はうなずいた。
城透は心配そうに尋ねた。
「今、すべての飛行船が確実に工場の外に出ているのか?」
比索はうなずきながら答えた。「ああ、すべての飛行船は我々の手にある。彼(秉核)のところには一隻も残っていない」
城透はオーカー国内の数人の機械技師と繰り返し検討し、秉核が製作した飛行船の性能を確かめた。背負式の信号基地局を使っても、飛行船の遠隔操作範囲は二十キロを超えることはできない。実際、十キロ以上離れると信号が弱まり、操作が不安定になった。
そのため現在、城透は密かにすべての武装飛行船を分散配置し、空に待機する火力点として活用していた。これらの飛行船は、彼にとって極めて重要な駒だった。
飛行船は時速四十キロで航行でき、機関銃は五キロ先まで弾丸を届かせることができる。
弾丸はやがて空気抵抗を受けて、直線的に落下していく。
これほどの遠距離では、地上の狙撃手といえども、空の飛行船まで弾頭を届かせることはできない。




