↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰向  作者: 凛光穂
第四巻 赤子の純を欺くな、謀を弄び信を失い、良き人を測り難し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
165/267

知謀と樹信 その二

 蒸気暦千二十七年、九月三日。


 ヴィクラーネでは、宮廷の謀略が、貴族たちが日常的に集うサロンの中で最終段階を迎えようとしていた。


 その中でどんな利益交換が交わされ、どんな偽装と欺瞞が行われたことか。宮廷の宴会で王位を狙う者たちの一挙手一投足、一つの装飾品にさえ、複雑な駆け引きが込められていることがある。


 そして、オーカ(オーカ)人とプロイス(プロイス)は謀略の局面ですでに合意に達していた。


 それは選王の儀式を完全に破壊し、二千年続いたその儀式を解体させることだ。そしてこの儀式を解体する方法は、心を誅することである。


 もし選王の儀式でこんな展開が起きたら、どうなるか。

 前回の選王勝利者(オークリー)が再び選王に勝つため、ライバル(ビクスの選王候補)を殺害し、ヒーマンの前任盟主の「陰謀」が暴露された後、選王儀式に残されていた信頼は完全に失われる。


 オーカ(オーカ)人は今、この筋書きを手にし、その中の『悲劇の役』蘇塔(スータ)をしっかりと掌握している。


 同時に、重要な脇役であるプエファースが協力する。加えて、オークリー自身の役どころは悪役にうってつけだ。この企みは今のところ、非常にうまく仕組まれている。


 完璧だ。少なくとも計画者の目には、まだ何の穴も見当たらない。瀾濤(ランタオ)城透(ジョウトウ)の部屋では、油燈の光の下、城透(ジョウトウ)が指揮棒を手に取り、目の前には精密な砂盤地図が広げられていた。

 この砂盤地図には、ヴィクラ周辺の軍事力が記されていた。


 これは高空を巡航する飛行船から撮影したものだ。高空偵察飛行船には秉核(ヘイカク)が遠隔操作システムを設置し、この砂盤も秉核(ヘイカク)が自ら製作した。瀾濤(ランタオ)城透(ジョウトウ)には、秉核(ヘイカク)の労力を拒む理由が見つからなかった。


 もともと瀾濤(ランタオ)が掌握していたヴィクラ地区の地図は、オーカ(オーカ)人の情報組織が現地の協力者に描かせたものだった。協力者の教育水準では、精密な地図など到底無理な話だった。


 秉核(ヘイカク)が駆け回って砂盤の細部を完璧に仕上げたことで、オーカ(オーカ)ー人たちは、隊列にこれほど気配りの利く機械制御者がいるとは本当に素晴らしいことだと、感嘆せずにはいられなかった。


 城透(ジョウトウ)は砂盤を片づけると、今回の王選隊伍で核心機密の計画を知る数人に向かって言った。「諸君、今こそすべてを始めるときだ」


 オークリー人には群騰迪南(グントウテキナン)のように理性的で老練な政治家もいるが、大部分のオークリー貴族は危機や衝突について考えようとしない。彼らはこの王選を重く見すぎている。


 城透(ジョウトウ)は指で、砂盤上のオークリー首都圏における軍力配置を指し示した。砂盤には、オークリーが近辺に十個の騎兵団、合わせて二万余人を配置していることが示されていた。


 これらの騎兵団の将校たちは皆、オークリー国内の保守的で傲慢な貴族であった。

 王選の結果はまだ出ていないのに、彼らはさまざまなサロンでの交流のなかで、最終的な王選の勝者はオークリーであるべきだと豪語していた。

 そして独善的に、王選に参加する他の小国もオークリーを支持すべきだと考えていた。(外交において、インドが英帝国の南アジア植民地覇権を継承すべきだという謎の自信を参考にできる)


 さらに、こうした貴族の家族のなかには、オーカ(オーカ)帝国のスパイが活動している。彼らは現在、世論の誘導において非常に重要な役割を担っている。


 城透(ジョウトウ)は傍らにいた船長(中位職業者)のマスト帆カルー(マストホ・カルー)に言った。

「今夜十時二十七分、ビクスの側にいる騎士を探しに行きなさい」


 船長はうなずき、命令を承った。


 城透(ジョウトウ)は比索に尋ねた。

「機械師の部隊は全員撤退したのか?」


 比索は皮肉めいた口調でうなずきながら答えた。

「国内の陸軍省は一週間前から、彼らの機械師を返せと催促してきたんだ」


 城透(ジョウトウ)は比索の皮肉に気づかないふうで、うなずきながら聞き返した。「波輪・カイス(ポーレン・カイス)はまだ工場にいるのか?」


 比索はうなずいた。


 城透(ジョウトウ)は心配そうに尋ねた。

「今、すべての飛行船が確実に工場の外に出ているのか?」


 比索はうなずきながら答えた。「ああ、すべての飛行船は我々の手にある。彼(秉核(ヘイカク))のところには一隻も残っていない」


 城透(ジョウトウ)はオーカ(オーカ)ー国内の数人の機械技師と繰り返し検討し、秉核(ヘイカク)が製作した飛行船の性能を確かめた。背負式の信号基地局を使っても、飛行船の遠隔操作範囲は二十キロを超えることはできない。実際、十キロ以上離れると信号が弱まり、操作が不安定になった。


 そのため現在、城透(ジョウトウ)は密かにすべての武装飛行船を分散配置し、空に待機する火力点として活用していた。これらの飛行船は、彼にとって極めて重要な駒だった。


 飛行船は時速四十キロで航行でき、機関銃は五キロ先まで弾丸を届かせることができる。

 弾丸はやがて空気抵抗を受けて、直線的に落下していく。

 これほどの遠距離では、地上の狙撃手といえども、空の飛行船まで弾頭を届かせることはできない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。