プロイスとオークリー その二
270年前、オークリー公国の騎兵団は、大陸近代において騎兵が最も輝いていた時代を担っていた。
当時、総数5万のオークリー騎兵は、先代オークリー大公の夫人(職業は将軍)の指揮のもとで北部森林を横断し、オーカー帝国の兵站線に致命的一撃を与えた。
これにより、オーカー帝国前線の14万部隊と4個機甲旅団は敗退を余儀なくされる。
オーカー帝国がようやく集結させた反撃の機会は、完全に潰えた。
現在もオークリーは西大陸最強の騎兵軍団を保持している。
ただ、かつての輝かしい騎兵も、今では兵種が単一化してしまっている。
騎兵は依然として非常に有用な兵種だ。
その高い機動能力は、火力の弱い地域に対して強力な打撃力を発揮する。
……
オークリー大公国がこの100年間抱えてきた問題は、騎兵以外の面で他の工業国に大きく後れを取っていることだ。
大陸中部に位置するオークリーでは、今に至るまで社会構造の主流は田園貴族だ。
工業国への転換が進んでいない。
……
西大陸ではこの200年の間に、鉄道網の建設がますます進んでいる。
後方支援の進歩に伴い、重砲を携える歩兵軍団も長距離攻撃能力を獲得した。
騎兵の攻撃的な役割は、大きく置き換えられている。
大陸各国の軍事学院は、騎兵の攻撃が歩兵集団に対して依然として持つ優位性を一つ認めている。
それは、騎兵が戦場において時間と空間の選択権を持っていることである。
騎兵は機動性を活かし、敵の弱い場所を選んで攻撃できる。
正しい選択は、騎兵指揮官にとって極めて重要である。
騎兵は防御の堅牢な要塞を攻め落とすことを選ぶべきではないし、現在の二足装甲部隊に正面からぶつかることも選ぶべきではない。現在の装甲部隊は速度が遅く、騎兵部隊を捕まえて一気に殲滅しようとしている。騎兵がそういう敵を選ぶならば、それは指揮官が最初から選択を誤ったことを示している。
しかし戦場では、選ばざるを得ない状況がしばしば起こる。
自軍の重要な戦略地点が攻撃され、その地域の兵力が手薄で、ただちに駆けつけられるのが騎兵しかない――そんな時、騎兵は不利と知りながらもその地域へ急行しなければならない。
……
オークリーが将来、大規模な戦争に直面する可能性があるとして。
仮にオークリー大公国が西側から戦争を仕掛けられた場合、オークリーの指揮官たちが考えるべきは攻撃ではなく、東側のファーウェイス鉄道による後方支援を受けた重火力軍団をいかに阻止するかである。
ファーウェイスの完全編成の重火力10個師団は、鉄道の支援によって極めて迅速な兵員輸送能力を有している。軽砲しか持たないオークリー騎兵軍団が、ファーウェイスの重砲兵団に正面から対抗すれば、非常に不利な状況に陥る。
……
しかし現在のオークリーの貴族や指揮官たちは、依然として「騎兵集団は大回りして後方連絡線の弱点を突くしかない」という、270年前の輝かしい古い常識に固執している。
だが問題は、大回りにも時間がかかるということだ。
もしオークリーの騎兵軍団が大回りしている間に、プロイスの重火力歩兵連隊が戦略任務を達成し、オークリーの後方基地である軍事上の要衝を陥落させたらどうなるか。大回りしていた部隊は、逆に後方を断たれた孤立無援の軍になってしまう。
戦場では一歩でも早い者が勝つ。明らかに、オークリーはスピードの面で劣勢にある。
この劣勢を補う方法が一つある。要塞職だ。
ここ数百年で要塞職はますます衰退し、今では大陸の主要な軍事強国が、陥落しない要塞など存在しないと宣言するようになった。十分な火力があれば、要塞が守る都市を2日で破壊できるとされている。(オーカー帝国では現在、国内の要塞職はすべて戦艦に配属されている)
しかし要塞職が完全に衰退したわけではなく、戦略的に大軍団の進撃を遅らせる役割は果たせる。
例えば、オークリーが敵国の重火力兵団を一つの都市に2日間足止めできれば、騎馬兵団が敵の兵站線を迂回攻撃するための2日間を稼げる。それによって戦局を有利に転じさせることも可能となる。
……
そしてオークリー大公国には高位職業が二つある。一つは権力者、もう一つは将軍だ。だが、要塞だけが一つ欠けている。昔のオークリー大公の時代、要塞の一族とは良好な関係を保っていた。だが今は?うん、今のオークリーは傲慢だ。
オークリー公国全体が今や脆弱である。経済、工業、軍事の要地はすべて平野にあり、山脈の遮断もない。防御施設はどれも200年前の基準で造られており、この世界に現れつつある大口径の攻城臼砲には、ますます対応できなくなっている。
今は蒸気暦1027年。すでに工業国となったプロイセンを、オークリーはどうやって防ぐつもりだろうか?
……
現在のオークリー上層部は田園貴族が多数を占め、騎兵に対していまだに謎の自信を持ち続けている。大陸の主要強国がこの200年で発展させた火力兵器についても、200年前の架退砲のイメージから抜け出せないままだ。その代表格が、現職の新オークリー大公である。
しかしオークリーの中にも、すべてが混乱しているわけではない。オークリーの時局のために心血を注ぎ、傾きかけた大廈を支えようと尽力する者たちもいる。




