プロイスとオークリー その一
豊かなビックスに1ヶ月滞在した後。
列車は再び走り出し、ビックスの城壁を抜け、
ビックス公国南東部の森を越えて東へ進んだ。
そしてプロイスの地に着いた。
ここは軍事化が極限まで進んだ国家である。
平原には鉄道が蔦のように密集して広がり、
その先々に軍事的な要塞のような小都市がそびえ立っていた。
どの小都市の中央にも巨大な蒸気エネルギー塔が建ち、
塔にはパイプが複雑に絡み合っていた。
……
列車は途中で補給を受けるため、都市の小さな駅に停車した。
城透はプロイセスの貴族との交渉に忙しく、一方の秉核は誰にも構われずに列車を降り、
この都市を見て回り始めた。
街を歩きながら、秉核は通りを行き交う人々の様子を眺めた。
この都市の人々の服装はごく限られた種類しかなく、青い労働者服、黄土色の軍服、灰白色の女性労働服の三つだけだった。
誰もが表情を硬くし、話すときの声の調子も表情も極めて型どおりだった。
そして、秉核が自分たちを見ていることに気づくと、人々は振り返り、好奇の目で秉核を見つめた。
……
30分後。
秉核は街の中心にある金属製の塔に登った。
高いところから、人口10万人以下のこの中小都市の全景を観察する。
「学校区域で整然と列をつくる学生」「工場区域で列をなして歩く労働者」といった様々な光景を目にした後、
秉核は心の中で思わずつぶやいた。
「民族主義か?!これは先進的だな」
突然「グーッ」と、秉核の腹がころあい良く鳴った。
秉核はポケットからキャンディを取り出して口に放り込んだ。
甘みが広がり、腹の抗議は鎮まった。
突然、秉核は眉をひそめた。
「食糧……そうだ、食糧問題だ。彼らはどう解決しているんだ?」
汽車の旅の途中、秉核はこの地域の農業水利への投資が明らかにオーカより一段階見劣りすることに気づいた。
……
この問題に思い至った。
秉核は目を閉じ、顔を上げ、意識を鼻に集中させた。
そして空気を吸い込み、懸命に匂いを嗅ぎ分けようとした。
すぐに秉核は目を開き、街の工業地区の方を振り返った。
視界が建物に遮られていたため、
「ガタンガタン」と音を立てながら、秉核はさらに上へ登っていき、
この機械塔の40メートルの高さまで登り、遠くの市街を見渡して愕然とした。
「まさか、そんなはずは」
秉核が見たのは大量の球形金属釜だった。
あれが水解釜だと気づく。
食糧生産術に使う設備である。
ただ、ここは規模が大きすぎた。
しかし、秉核が右手を空け、指で数えて水解鍋の数を確かめようとした、その時。
……
その時、鉄塔の下から比索の緊張した声が響いてきた。
「融鋼、早く降りてこい、降りてこい」
比索の傍らには地元の将校が立ち、その背後には銃を手にした歩兵の隊列が控えていた。秉核の塔登りは、この街の人々に歓迎されていなかった。
ここは軍事国家であり、秉核の行動は地元の貴族からスパイ行為の嫌疑をかけられていた。
……
その夜、秉核が汽車に戻ると、城透によって禁閉車両に閉じ込められた。城透が禁閉室の鍵を掛ける前に、
城透は怒りを込めて言い放った。「ヴィクラに着くまで、お前は車内で大人しくしていろ」そう言って、城透の傍らに立つ比索は、秉核に向かって手を広げ、
「自分にもどうしようもない」とばかりの仕草を見せた。
監禁の扉が閉まった後、車両に一人座った秉核は閉じ込められた自覚などまるでなく、
むしろ草を一本摘んで口の中で噛み、やがて滓を吐き出すと、突然うなずいて言った。
「セルロースの加水分解断裂は糖だ。」
列車は進み続け、やがてこのプロイスの街を離れた。
……
ヴィクラはオークリー公国の首都である。
二千年前、この街はヒーマン帝国東部で最も重要な都市だった。当時はまだ地行竜が絶滅しておらず(蒸気暦以前は御獣暦)、
ここには大陸最大の重騎兵団が駐留していた。三千年前、ヴィクラに駐留する重騎兵団は東部の遊牧民族を痩せた草原へ追いやり、その指揮官の中にオークリー家の先祖がいた。
御獣暦の時代には、まだオルカ帝国というものはなかった。浮冰家とビクリの婚姻によって、ヒメンの核心と繋がりを持ったのだ。
……
当時、竜騎兵と竜槍の伝説は大陸にその威を轟かせていた。
しかし数千年の風雪を経て火薬兵器の威力が増し、鉄道による兵站が戦争を、砲撃の鋼の雨と鉄の雹の咆哮へと変えていく中で、重装竜騎兵は完全に衰退した。
かつて国家の軍事資源を大量に消費した地竜も、もう飼われることはない。(一頭の地竜の飼料は軍馬八頭分に相当する)
そして地竜は次第に絶滅し、この生物の骨格は今では博物館にしか残っていない。
もちろん北方の島々の永久凍土の氷河には、氷漬けの死骸が保存されている。
そうだ。
聖ソーク北方の龍牙大公――かつて竜騎兵家系を統率した一門である。理論上、龍牙大公にもヒーマン選帝に参加する資格がある。ただ、今は誰もこの件に触れない。龍牙大公も、わざわざこの件を持ち出すことは決してない。何しろ聖ソーク帝国内に皇帝は一人しかいないのだから。
……
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