神賜時代の遺産 その二
50分後。
掩蔽壕の中で、秉核は爆薬が巨大な亀の甲羅を粉々に吹き飛ばすのを目撃した。
砕けた甲羅の内部は灰黒色で、埠頭で蒸気ハンマーによって砕かれた後、そのまま機械車両に積み込まれた。
爆破が終わると、秉核は防護地帯を離れ、慎重に砕けた甲羅の場所へと近づいた。
(注)聖ソークで一度魔鉱獣にやられてから、秉核は今や非常に機敏になっている。
すべての法脈を展開し、周囲の状況を高度に察知していた。
そして秉核は、甲羅の内部に色鮮やかな部分が大量にあるのを見た。
これらの残骸には肉質の組織は一切なく、砕けた硬い破片や、レバーのような引き紐(生物の筋に似たもの)、そしていくらかの膠質しかなかった。
波止場で、秉核は巨亀の各部の破片を選り分けて拾い上げ、手に取って重さを量り、いくつかの法術で簡単な検査を施した。
最も外側の甲羅は四酸化三鉄だった。磁力に反応する。では内側の層は何なのか?
秉核は小さなかけらを拾うとライターを取り出し、わずかな粉末を乗せ、緑色の炎を見つめながら「銅鉱物だ」と低い声でつぶやいた。
秉核は立ち上がり、この巨大な残骸を見つめ、深く息を吸い込んだ。「この爆破されたものは生物ではない。一種の集合体だ。千年前にはせいぜい石臼ほどの大きさだったが、この千年で防御を強化し続けてきた」と、頭の中で情報をまとめた。
秉核は二つの粒子を拾い上げた。内部の異なる組織から採取された粒子の微細な結晶に、レンズ微視術(医牧師系の新魔法)を発動させる。結晶の模様が百倍に拡大され、秉核はその構造を目で追った。
二つの異なる部位の組織は、マイクロメートル単位の構造まで完全に同一だった。
いずれも微細な六角形の蜂の巣状の格子構造である。
それを見て、秉核はつぶやいた。
「ナノ製造?それなら!」
(注)すべての微生物、細胞はナノ構造であり、細胞が組み合わさって大木や動物のような複雑な集合体を形づくること自体が、自然界におけるナノ製造である。秉核が今目にしている微視的なナノシステムの集積は、自然進化がもたらしたものではない。この海生魔鉱獣の行動には、明らかに人為的な目的がプログラムされている。
秉核は一つの可能性に思い至った。
大きくなり続けるのは、人間の採掘を阻むためではない。人間の工業的需要に応えるため――つまり生産能力を増大させるためだ。
だからこそ、この生物類似体にはそうしたプログラムが施されている。
この月墜山脈と同じ型のものは、環境が違えば多様な形態をとるのだ!
……
二十分後。
砕けた築山のような残骸の中から、秉核はいくつかのサンプルを持ち出してくると、埠頭の船長たちに海図を求めた。海図を広げ、北大陸北西海域の海亀型魔鉱獣が棲みつく区域を眺めながら、秉核はマンガン団塊という知識を思い浮かべずにはいられなかった。
夕暮れ時になった。
秉核は振り返り、まだ忙しく動き続ける大埠頭を見やった。
岸辺のクレーンの鋼索がきしみ、金属製の排煙管からは幾筋もの蒸気が風に流れ、鉄架の上には鯨油ランプが高々と掲げられていた。
秉核はその活気ある光景を見つめ、感慨と悲しみを込めて言った。
「神々の時代の最大の遺産がここにある!蒸気時代はあと千年続いても衰退しないだろう!」
……
その後、約一ヶ月が過ぎた。
秉核は学者よりも物静かで、それが大勢の付き添いの使用人たちをひどく驚かせた。ビックスに着いたばかりの頃、秉核は彼らが見た中で最も野生味にあふれる貴族の子弟だったが、
図書館で本を手にしている秉核の姿は、いかにも学者らしい気品を備えた貴族だった。
実験室で顕微鏡を覗き込み、精密機器を操って実験するときのたたずまいは、大公夫人が若い頃に花を生けていた姿とそっくりだった。
静と動、まるで別人のよう。
秉核が静かなのを見て、使用人たちはようやく肩の力を抜いた。この静けさが続くようにと、秉核が読みたい本があると知るや、彼らは進んで図書館から取り寄せて届けた。
……
秉核は大量の資料を調べ、西大陸西海岸の鉱物分布を少しずつ理解していった。
金属鉱物は海の魔鉱獣に由来し、石炭鉱物は西海岸の島々にある泥火山の噴火がもたらしたものだった。
それらは北西プレートの地震帯に位置し、火山は溶岩ではなく、石墨と石炭を大量に含む泥流を噴き出す。
西海岸の鉱業は毎年、波濤の中で多くの人々を呑み込んでいた。
秉核は、鉱業が毎年どれだけの命を呑み込んでいるのかを知るすべがなかった。
現在の貴族の統治体系の下では人口統計が不完全で、多くの平民が貴族の掌握する公式統計に含まれていなかったからである。
大陸で最も繁栄する地域であるビックスでも、依然として大量の無戸籍者が鉱業に従事していた。
そうした底辺の人々は再生可能な資源のように、この不朽の輝かしい基盤を支えている。
……
ビックスで休養を取って27日目。
「パン」と音を立てて秉核が本を閉じ、出発を控えたスケジュール表に改めて目を落とした。
ノートに描かれた西大陸の地図のページを開く。
秉核はペンを手に取ると、その先端を西大陸の中央部に突き刺した――ここが次の目的地だ。




