苛立ちの果てに正気を失う その二
こんなふうに切り出した。
広い赤い木の机と背の高い本棚が、伯爵様の部屋のいつもの眺めをつくっていた。伯爵は非常に大柄で、少なくとも発育の遅れた秉核には、ひどく威圧的な存在だった。椅子に座った秉核は、こわばった正座の姿勢を崩さなかった。
伯爵は非常に大柄で、少なくとも発育の遅れた秉核には、ひどく威圧的な存在だった。
椅子に座った秉核は、こわばった正座の姿勢を崩さなかった。
伯爵が秉核を見つめる視線には圧迫感があり、その口調は軽いながら、疑う余地のないものだった。「数日後、君を帝都の機械塔で学ばせることに決めた。指導者にはすでに連絡してある。彼が君の法脈サブシステムの成長を監察するだろう」
その口調は軽いながら、疑う余地のないものだった。
「数日後、君を帝都の機械塔で学ばせることに決めた。指導者にはすでに連絡してある。彼が君の法脈サブシステムの成長を監察するだろう」
秉核は少し間を置いてから頷いた。しかし心の中では密かに喜んでいた。遠くへ出て学ぶことは、自由に羽ばたくような感覚だった。だがすぐに、伯爵は秉核の羽ばたこうとする心に鉛の重りを下ろした。
しかし心の中では密かに喜んでいた。
遠くへ出て学ぶことは、自由に羽ばたくような感覚だった。
だがすぐに、伯爵は秉核の羽ばたこうとする心に鉛の重りを下ろした。
「思芬・璃韻も君と一緒に行く。彼女の才能は非常に優れている」
秉核の両の目は、ぼんやりとしていた。
そう言いながら、思芬伯爵は秉核を一瞥し、かすかな失望の色をにじませた。「私は君に大きな期待を寄せていたが、君の成績はとても不満足だ。帝都にいるあいだに、せめてサブシステムをメインパルス上に整然と配置できるようになってほしい。私の要求水準は高くない。機械制御士の職業が無理なら仕方ないが、少なくとも上級機械師の資格は確実に取ってほしい」
「私は君に大きな期待を寄せていたが、君の成績はとても不満足だ。帝都にいるあいだに、せめてサブシステムをメインパルス上に整然と配置できるようになってほしい。私の要求水準は高くない。機械制御士の職業が無理なら仕方ないが、少なくとも上級機械師の資格は確実に取ってほしい」
伯爵の失望の視線を受け、秉核の顔に恥じらいが浮かんだ。この数ヶ月、秉核は自分で考え出したパルスシステムの研究に没頭し、メインパルスを完成させてからは、サブシステムの配置にまったく身が入らなかった。本業そっちのけのそんな振る舞いが伯爵の評価を大きく下げたことを、秉核は自覚していた。
この数ヶ月、秉核は自分で考え出したパルスシステムの研究に没頭していた。
メインパルスを完成させてからは、サブシステムの配置にまったく身が入らなかった。
本業そっちのけのそんな振る舞いが伯爵の評価を大きく下げたことを、秉核は自覚していた。
秉核の表情を見て、思芬は言った。「帝都では人脈に気をつけなさい。そうそう、君の汽車は、龍牙大公が今回帝都へ派遣する娘と同じ便だよ」
「帝都では人脈に気をつけなさい。そうそう、君の汽車は、龍牙大公が今回帝都へ派遣する娘と同じ便だよ」
これを聞いた秉核は、自分が帝都へ派遣されたもう一つの理由にふと気づいた。地球では、商業グループ同士の交流にさまざまな上流の酒会やサロンがあり、人々はそうした社交を通じて互いに暗黙の了解を築いていた。貴族の家同士の協力と交流もまた同じだった。
地球では、商業グループ同士の交流にさまざまな上流の酒会やサロンがあった。
人々はそうした社交を通じて互いに暗黙の了解を築いていた。
貴族の家同士の協力と交流もまた同じだった。
銃焰家と龍牙家のあいだの交流は、常に密接だった。北方の軍功貴族と軍需貴族という関係だからだ。しかし政治情勢のため、双方はほどよい距離を保つしかなかった。
北方の軍功貴族と軍需貴族という関係だからだ。
しかし政治情勢のため、双方はほどよい距離を保つしかなかった。
両家の嫡流同士も連絡を取り合っていたが、もちろんこうしたつながりは、双方が承知の上でのことだった。
もちろんこうしたつながりは、双方が承知の上でのことだった。
嫡流は爵位を継承する可能性を表しており、爵位を継ぐ者が別の家と婚姻を結べば、それは二つの家のあいだに非常に密接なつながりがあることを意味する。もちろん今となっては、慧眼の持ち主には秉核が爵位を継承できないことが見て取れるだろう。
爵位を継ぐ者が別の家と婚姻を結べば、それは二つの家のあいだに非常に密接なつながりがあることを意味する。
もちろん今となっては、慧眼の持ち主には秉核が爵位を継承できないことが見て取れるだろう。
ゆえに、嫡流を代表する秉核が龍牙の令嬢と接触し、その令嬢を通じて女友達を秉核に紹介するのは、銃焰家が示す一種の姿勢である。そして璃韻にも、同じ目的があるのかもしれない。
ただ、『煉瓦を投じて玉を引く』という策において、秉核はその煉瓦であり、龍牙家の紹介で直接、終身の大事を決めることができる。璃韻は玉を引く側に属し、璃韻が選ぶ人物は一族によって厳格に審査されることになる。
龍牙家の紹介で直接、終身の大事を決めることができる。
璃韻は玉を引く側に属し、璃韻が選ぶ人物は一族によって厳格に審査されることになる。
……
秉核はこの因果関係を分析した末、やむを得ないと感じた。




