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帰向  作者: 凛光穂
第四巻 赤子の純を欺くな、謀を弄び信を失い、良き人を測り難し

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小さな仲間たち その二

 そして秉核(ヘイカク)が最後の展示物を見終えたころ、ビックス大公(ビックスダイコウ)がちょうど通路から現れた。


 |ビクリ大公(ビクリダイコウ)《ビクリダイコウ》の職業は、要塞(フォートレス)である。


 要塞は領域を持つ。大公は城透(ジョウトウ)一行が宮殿に着いた時から、その領域を展開していた。宮殿内の来客の様子も、ずっと把握していた。


 また、最初から活発で好奇心旺盛な秉核(ヘイカク)の様子を見ていた。秉核(ヘイカク)があちこち質問して回るにつれて、この公爵は秉核(ヘイカク)の振る舞いに微笑んだ。


 ビックスのコレクションに、これほど純粋な興味を示す者がいるとは珍しい。

 しかも、それがまだ幼い子供だった。


 秉核(ヘイカク)が幼い年齢だったため、ビックス大公(ビックスダイコウ)は彼を見ただけでオーカ(オーカ)の上層部との政治的関わりはないと判断した。次第に秉核(ヘイカク)を特別扱いし、客人として遇するようになった。


 この大公は、秉核(ヘイカク)が展示物を見終わるまで待ってから入ることにした。

 客の見学を邪魔しないためである。


 一方、城透(ジョウトウ)たちの方は、ビックス大公(ビックスダイコウ)がそのまま待たせておいた。


  ……


 大公は控えの間に入ると、礼儀に従って国書を受け取った。

 形式的な会話を交わした後、下々の者を下がらせるように手を振り、選王の一行を待たせる。


 そして大公は秉核(ヘイカク)の前に来ると、笑顔で尋ねた。

「君の名前は?」


 秉核(ヘイカク)は敬意を込めて応えた。「融鋼(ユウコウ)、これが外で使っている私の名前です。家族のことは言えません。今は職業的な機械制御者です。今年で14歳です」


 大公は少し驚いたように尋ねた。

「あなたはオーカ(オーカ)人ではないのか?」


 秉核(ヘイカク)は少し照れくさそうに言った。

「私は放浪者です。今は家族から離れて旅をしています。オーカ(オーカ)帝国の機械製造からは多くを学びました。ビックスでも得るものがあると思います」


 大公は眉をひそめた。「14歳」に「機械制御者」。

 そんな経歴は、「放浪者」にはまったく当てはまらない。


 貴族の中で家族から離れて放浪する者は、基本的に下位の職業者だ。潜在能力も足りず、家族に重んじられぬまま、寂しく去っていった者たちである。


 大公は秉核(ヘイカク)の素っ気ない様子を見て、奇妙な表情を浮かべた。

「家出」という荒唐無稽な言葉が頭に浮かんだのだ。


 しかし、その奇怪な考えを打ち消した。


 大公は秉核(ヘイカク)を見て笑顔で頷き、こう言った。「蘇塔(スータ)は君と同い年だ。どうか仲良くしてやってくれ。彼は初めての遠出なんだ」


 蘇塔(スータ)——|ビクリ(ビクリ)大公《ビクリダイコウ》の七男。現在、王選に送り出されている候補者である。


 秉核(ヘイカク)は頷いて、「光栄です」と答えた。


 大公は頷き、秉核(ヘイカク)が散歩を続けたいのなら構わないと伝えた。

 側にいた使用人に宮殿区域の案内を命じた。


  ……


 30分後。


 宮殿の庭園の一角で。


 甘いお菓子を口にくわえた秉核(ヘイカク)は揺り椅子に座っていた。その左側には、今回オーカ(オーカ)ールが護送する選王の主役『蘇塔(スータ)』がいた。


 この世子は、最初に秉核(ヘイカク)と会った時はひどく緊張していたようだった。

 遠く離れた家を出ることへの淡い畏れを抱いている様子だった。


 しかし、秉核(ヘイカク)が旅先で見聞きした各国の話をし始めると、二人はすぐに友達のような仲になった。


 会話の中で、秉核(ヘイカク)が聖ソーク(セイソーク)の港を出発し、長い航海を経てオーカ(オーカ)ールに着いた話をした。蘇塔(スータ)の目には驚きが浮かび、やがて強い興味を抱いて旅の詳細を尋ねてきた。


 ビックスに長く滞在していたこの少年は、外界への恐怖が幾分薄れていた。何しろ目の前には、機械制御の達人で遠出の専門家がいる。蘇塔(スータ)は、これから強制的に始まる長旅も、これほど旅慣れた同伴者がいてくれるなら、もうそれほど怖がる必要はないと思った。


 そして、銃焰(ガンフレイム)秉核(ヘイカク)は、蘇塔(スータ)のそんな驚嘆と羨望の表情を見て、自分の家出の経緯を語る声の調子も生き生きとしてきた。旅に出て以来、蘇塔(スータ)は秉核(ヘイカク)の放浪を否定的に評価しない初めての人間だった。秉核(ヘイカク)は心の中でつぶやいた。「人生に知己を得るのは難しいものだな」


  ……


 秉核(ヘイカク)もまた、蘇塔(スータ)と出会うのが遅かったことを悔いた。話題は要塞法脈に及び、これによって秉核(ヘイカク)はさらなる大きな収穫を得ることになるのだった。


 蘇塔(スータ)はまだ上位職業者の継承には成功していなかったが、正統な要塞の伝承は受け継いでいた。


 秉核(ヘイカク)はこれまで、上級職業者の資料に触れるといえば、本を調べるか、時折下級職業者や中級職業者の法脈情報を確かめる程度だった。

 今日のように何でも話せる友人に出会えるなど、想像もしていなかった。


 秉核(ヘイカク)が要塞法脈に興味を持って質問すると、蘇塔(スータ)は伝承法脈のさまざまな難しさについて愚痴をこぼした。蘇塔(スータ)は秉核(ヘイカク)に顕魔石を取り出して確かめさせるだけでなく、どこが難しいのかも根気よく説明してくれた。

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