小さな仲間たち その一
2時間後
蒸気列車は都市の高架橋を通過し、いくつかの通りを抜けて、最後にはビックス港地区に到着した。列車は台形のプラットフォームに停車した。乗客は正面のドアから降りた。(注)秉核は列車の天窓から車両の上へ飛び降りようとしたが、ランタオシティ・トウに制止された。
一行は降車すると、規則正しい列を作った。
そのまま宮殿地区へと歩いていく。
ビックスの首都の宮殿は、超高層ビルではなかった。
むしろ壮大な埠頭である。海に面した側は50メートルの高さ。巨大な船舶が接岸できる造りだ。埠頭では蒸気クレーンが船の貨物を扱い、レールで埠頭の下へ運び出す。
この巨大な埠頭には砲台も据えられていた。砲台に守られた円弧形の要塞。
その要塞こそが宮殿である。
埠頭全体が、貨物輸送と行政センター、そして海上防衛要塞の役割を兼ねている。
復古調の宮殿であり、超高層ビルより建設費が抑えられている。
オルカの王選一行は、ビクスが手配した接待騎士に導かれて階段を上った。
登りきった先は、コンクリートの小丘のような50メートルの建造物である。
……
一同は宮殿の外広間へとたどり着いた。
薄青色のウールの従者服を着たビックスの侍者が近づいた。
小声で「お待ちください」と告げる。
給仕の口調は終始淡々としていた。感情の動きは読み取れない。
しかし、この選王の旅に加わったオーカの貴族たちは、その暗黙の意味を知っていた。
何の理由も述べずに使者を控えの間で待たせる。
それが貴族の不満の表し方だった。
明らかに、ビックス大公はオーカ帝国が無理やり末息子をヒーマン選帝侯に加わらせたことを非常に不快に思っていた。ビックス大公は、現在の大陸情勢の下で弱小のビックスが選王に参加するのは全くふさわしくないと自覚していた。
ハイエナのようなプファイス、そして頑固なオークリーが、この選王を厄介なものにするだろう。ビックス大公は、末息子がそんな面倒に巻き込まれることを望んでいなかった。
もちろん、それでもビックス大公はこうしてしか怒りを晴らせなかった。オーカの強権にビックスも逆らえなかったのだ。
……
ひとえに、自らの貴族としての教養と品格ゆえであった。
透城や比索らは列の中に立ち、黙ったままこの威嚇を受け止めていた。
しかし、隊列の中の秉核は、自分たちがなぜこの控えの間で待たされているのか、まったく理解できていなかった。(注)その手の知識は銃焰家でも教えられていたが、秉核は真剣に学んでいなかったのだ。
隊列に数分立った後、銃焰秉核は我慢できなくなった。
秉核はそっと足を動かし始め、誰にも止められないと見ると、さらに大胆になって、こっそりと皆の並ぶ列から離れた。
秉核は何でもない顔をして、広間の中をぶらぶらと歩き回り始めた。
……
秉核が大陸の王族の宮殿を訪れるのは初めてだった。
ビックスは長年平和を享受しており、並の公国よりはるかに裕福だった。
この控えの間には、さまざまな絵画や彫刻、珍しい標本が飾られていた。
秉核は最初は遠くから眺めていたが、数分後、ホールの展示物にますます興味を覚えた。秉核は壁に飾られた作品へどんどん近づいていく。
最初は2メートル離れて立っていた。すぐに1メートル以内まで近づく。
……
7分後。
「ゴホゴホ」と、いかにも作為的な咳が城透の喉から漏れた。この高位騎士はその場に立ったまま、7、8メートル先の秉核を睨みつけた。秉核の目の前の壁には、巨大な獣の頭部の標本が掛かっていた。
その巨獣の頭は2メートルもあり、口には鋭い牙が並んでいて、その体躯の大きさは想像を絶するものだった。
そして、瀾濤城透の咳の警告を聞き、この高位騎士の陰鬱な眼差しの脅威を感じ取った。
銃焰秉核は、標本に触れようとした手を憮然と引っ込めた。
秉核はこの標本にひどく興味を引かれており、あれほど巨大な牙を見ると、つい(手が勝手に)触れてみたくなってしまうのだった。
もし瀾濤城透が咳で止めなければ、秉核は周りの者に気づかれぬうちに、標本から記念に毛を2本抜き取ってやろうと考えていた。
もし誰も見ていなければ、秉核は壁から直接飛び乗り、この巨獣の頭の上にまたがってみようとしただろう。
……
ホールの給仕は、秉核の落ち着きのなさに気づいたようだった。
この給仕は秉核の前に歩み寄り、丁寧に説明した。
「閣下、この標本は600年前に極東で狩られた巨赤虎のもので、左牙は2.31寸、右牙は2.32寸。眼球は雲母石で代用されています」
だがその本心は「お前さん、触って壊すんじゃないよ」にあった。
しかし秉核は、給仕の含み笑いに隠された意味を理解できなかった。
前世の旅行の記憶とつながった秉核は、こいつは自分にガイドを買って出たのだと思った。秉核は内心、「この時代の貴族の使用人はサービス精神がいいな」と感心せずにはいられなかった。
近寄ってきたこの従者に、秉核は興味津々でさらに質問を重ねた。
「この剣歯虎の年齢は?オスかメスか?一般的な成体の体長は?群れで行動するのか、それとも単独行動か?」
この侍従は目を細め、警戒しながら銃焰秉核を見つめ、やがて秉核の質問の順番どおりに流暢に答え始めた。
最初は、この侍従に秉核がわざと難題を吹っかけているのではないかと疑わせた。
(注)もし貴族が自分のコレクションの由来も知らずに公開の場へ展示し、それが露見すれば、成金として嘲笑される。
大公のような頂点に立つ貴族の場合、従者が主の収集品の由来や細かな情報を如実に語れなければ、その従者は不適格とされる。大貴族自身も、低俗な趣味の持ち主として嘲笑される。
貴族連中は暇を持て余していて、こういうことにはうるさいのだ。
……
そのため、この従者はビックスの名誉を守るべく、秉核の質問に答え始めた。
秉核は聞きながら小さなノートを取り出して要点を書き留め、この従者にもう少しゆっくり話すよう頼んだ。
この標本の説明が終わると、秉核は自然に次の展示物へ移り、『十万個のなぜ』モードを続けた。
質問ばかりの秉核に対し、この侍者は無料ガイドモードに入らざるを得なかった。秉核と一緒にホールを左から右へと見て回る。もちろん秉核は体裁など気にせず、恥ずかしげもなく質問を重ね、時には文化的常識の無知をさらけ出すことも平然としていた。
この侍者はほっと一息ついた。
この少年はわざと騒ぎを起こしに来たのではない、と確信したのだ。
……
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