引き立て役に回る その一
蒸気暦1027年5月10日。
弾帯が一巻きずつ、この銃器工場の中に積み上げられていた。
脇の棚には、金属のバリもまだ取り除かれていない機関銃が置かれていた。
工場の作業場で、若い機械制御者秉核は、目の前に出来上がった汎用機関銃を呆然と見つめていた。
そして呻くように額を叩きながら、呟いた。
「どうして俺の行動はこんなに先見性がないんだ」
……
4月。
秉核は医牧師の薬剤術の新しい術式をもとに、試行錯誤を重ね、化学工業技術の擬態触媒術を試作した。
秉核はまず、反応釜の設計から始めた。
続いて、反応釜が提供できる反応条件に合わせて、擬態触媒術を設計した。地球の基準でいえば、秉核が設計した反応釜は高汚染・高エネルギー消費の簡素な設備で、技術水準は十九世紀末のレベルだった。
危険とエネルギー損失を考慮しなければ、月産二十トンの硝酸を生産できた。
擬態触媒技術を採用すれば、この簡素な反応釜での化学反応で生じる中間生成物を大幅に減らせる。
つまり、実験室レベルでしか作れなかった化学製品を、工業規模で生産できる条件が整ったということだ。
……
実験室での製造方法とは違い、まず製品を作り、その後で少しずつサンプルを精製するという手順を踏む必要はない。
工業生産では大規模な製造が求められるため、どの工程でも中間生成物を減らし、純度を保証しなければならない。
ある工程で大規模な精製が必要になり、しかも精製後の副産物を再利用できず廃水や廃棄物になるようなら、工業化は不可能だ。
誰も化学工場を、魔王の城のように周囲の魚やエビを死滅させ、廃ガスで空を覆い尽くす場所にしたいとは思わない。
それは他人だけでなく、工場で働く者まで不幸にするだろう。
……
蒸気暦1027年。
4月20日
オルカ首都
機械制御者銃焰秉核は、歴史的な事件を成し遂げた。
この若き大製造師はオーカー帝国の工業基盤を利用し、一連の大型化学反応容器と配管を製造した。
石炭と水を原料に、ベンゼンの大規模合成に成功した。
同時に硝酸生産ラインを改良した。水素とアンモニアを原料に、擬態触媒の作用下で、四立方メートルの半工業半実験的なアンモニア合成反応釜を組み上げた。
最終的に、秉核はトリニトロトルエン(地球上でTNTとして知られる物質)の合成に成功した。
これは時代を超えた意義を持つ爆薬であり、二十一世紀にさまざまな新概念爆薬が登場してからも、淘汰されることはなかった。
……
この世界において、この事件がとりわけ重大な意義を持つのは、次の点にある。
化学工業に適した法脈職種が開発されたことだ。
もちろん、現在は機械技師の補助術という位置づけだ。
この新術式は、化学設備を製造できる条件下でしか効果を発揮しないからだ。
そのため現在、秉核が新たに模索している擬態触媒術は、医牧師の薬剤術よりも簡素なものになっている。
薬剤師が実験室で薬剤を製造する際に必要な反応条件は、医牧師のフラスコ器具によって制御される。専用の工業制御機器による補助はない。
(注、貴族階級の各分野間の交流協力が極めて少ない。)
そのため薬剤術は、制御されていない条件下で精密な反応を必要とする。
一方、擬態触媒術を使う過程では、特別に作り込まれた機械が制御を助けており、そうした化学機械には大量の計器と調節パイプが備わっている。
擬態触媒術全体で制御すべき量が少ないほど、法脈上の構造は単純になる。
……
しかし、現時点ではまだ単純だと言える。現在の銃焰秉核は、これを銃焰家の機械師法脈体系に組み込むことができる。
将来、化学工業がますます複雑になれば、機械師の法脈体系には到底収まらなくなるだろう。
したがって将来、この職業は機械部門から分離し、独自の職業種として確立される可能性が極めて高い。
……
軍需産業の家系に生まれた銃焰秉核がこの擬態触媒術を試す目的は、兵器の製造にあった。
秉核は言った。一ヶ月前、秉核はこの理由で工場にこもり、自分が望む強力な火器を作ることに熱中していた。
「私は強力な火器で身を守りたい」
気冷式機関銃。重量十五キロ。これは秉核が考え出した古典的な銃器で、工場で実際に作り上げられた。
しかし完成後、秉核は深刻な問題に気づく——自分では使いこなせないのだ。
秉核が中位戦闘職業者に切り替わり、「その場で四メートルも跳躍する」ような爆発的な力を発揮できたとしても、変えられないことが一つあった。
体重と骨格が、この銃の反動を抑えるには足りないのだ。
引き金を引けば、全身が反動で震える。
四十三キロの体重では、騎士の法脈に調整されていても、鋼鉄の靴で地面を掴んでいても、暴れる銃口を抑えきれなかった。
……
だから今は、工場の機械の上に座ってぼんやりしている。
秉核は自分のか細い体格を見て、呆然とした目で自嘲した。
「はは、十四歳の体か」
注、現在の身長は百六十五センチ、まだ伸び盛り。
興奮のままに一ヶ月かけて設計を繰り返し、自分では使えない銃器を作ってしまった。
心が疲れた秉核は、一ヶ月前に自分がなぜ錯覚に陥ったのか、反省を始めた。
錯覚。自分には銃を構えて掃射し、大暴れできる能力があると思い込んでいたこと。
……
秉核は工場のハンモックに飛び乗ると、だらりと身を預けた。
足をハンモックからぶら下げ、揺らす。
工場の中に、大きくため息が漏れた。
「ああ、疲れた」
一方、工場内の数人の下士官(職業射手たち)は、秉核が作った数十丁の試作銃を組み立てていた。
銃と弾薬箱を担いで、射撃場へ急いでいた。
身長百八十センチ以上、体重七十キロの騎士たちは、蓄力術と骨格安定術のおかげでこの速射銃をすっかり気に入っていた。
帝国標準の銃器装備は、こうした玄人たちには物足りなかった。秉核が作った使い物にならない銃は、結局彼らのおこぼれにしかならなかった。
……
寝返りを打ってハンモックにうつ伏せになった秉核は、射手たちが一ヶ月分の労働の成果を持ち去っていくのを呆然と見つめていた。心残りでいっぱいだったが、どうしようもない——現段階で秉核が使えるのは、サブマシンガンと単発式スナイパーライフルだけだった。
自分の労働の成果が持ち去られていくのを、黙って見ているしかなかった。
秉核は歯を食いしばり、レンチを握りしめた。
何か強い執念を抱いているようだった。
……
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