オーカへの調査 その一
オーカ人が銃焰秉核を選帝侯の護衛に同行させる決定を下したことで、秉核は今後長期間、オーカ地域の工業生産に気を配る必要がなくなった。
いや、銃焰秉核がオーカを離れれば。
彼は長い間、オーカに戻れなくなる。
だからこそ、銃焰秉核の子供のように活発で旺盛な注意力は、もう何にも縛られなくなった。
生来活発な子供は、適切な教育も指導もなく、課題や任務で注意力を縛られることもない。
遊び心を制御されることもなければ、社会のほかの事柄に興味を持ち始めるものだ。
もちろん、ほとんどの子供は社会の善悪を見分ける力も、成熟した世界観も持たない。
だから街頭の喧嘩や、くだらない恋愛事に、いとも簡単にのめり込んでしまう。
銃焰秉核には独自の価値観がある。善悪を判断する力もあるので、そこまで堕ちることはない。
だが、解き放たれた秉核の注意力は、長い目で見ればある者たちにとって、より厄介な問題となる。
政争に忙殺されているオーカー人の上層部には、銃焰秉核の少年らしい心境など到底理解できない。
あるいは彼らは銃焰秉核の外見に騙されたのだ。
秉核は決して大人しくしているタイプではない。
仕事や任務が何もない時に、秉核が一箇所でじっとしていることなど、あり得ない。
……
銃焰秉核は塔視家の若者たちと、共通の話題をほとんど持っていなかった。
まあ、秉核の注意力を引きつけ、秉核を「知性を失う」ほど怒らせる姪は、一人で十分だ。秉核は塔視家の令嬢をわざわざ刺激する気など、さらさらない。自分がそんな低次元で煩わしい思考パターンに巻き込まれるのはごめんだ。(体が若返った秉核は、六七十歳の時のような淡泊な気持ちではいられないと気づいた。同じタイプの娘に絡まれたら、一歩引いてもますます腹が立ち、我慢すれば屋上で風に吹かれることになる。)数年前に璃韻に知性を削がれたことを思い出しても、今なお身震いがする
……
だから、数ヶ月の暇な時間がある。
銃焰秉核は思わず、ドント港の大都市を駆け回り始めた。
毎朝、楽しげに馬車に飛び乗っては、タシ家の御者をせかした。
ドント港の地図にある工場へと、次々に向かわせた。
人声の沸き立つ工場に入ると、銃焰秉核は小さな足を速め、ノートを抱えたまま走りながら記録を取った。同行したオーカ将校も後を追い、銃焰秉核のための出入り手続きを手伝わざるを得ず、一つの工場の作業場から別の工場の作業場へと駆け回るのだった。
……
銃焰秉核は、子供が蟻の巣を観察するような興味で、巨大な蒸気都市のあらゆる場所を好奇心旺盛に見て回った。
中には危険な行動も少なくなかった。
例えば、鉄製の足場に登って、灼熱の金属溶融流を間近で観察すること。
巨大な歯車が動いている最中に、魔法で内部の亀裂や変形を観測すること。
秉核が幼い頃、一族の工場では、機械師たちがこうした環境に秉核が近づくことを固く禁じていた。
しかし今は、何の制約もない。
もちろん、銃焰秉核に付き添って、これほど自由奔放に振る舞わせるのは、非常に神経を使う仕事だった。
傍らにいた二人の職業者は気が気でなく、銃焰秉核の後を一日たりとも気を抜かずに追いかけ回した。
毎日が終わると気が緩んで倒れ込むように眠りにつき、この十四歳の少年がなぜこれほど熱中しているのかを深く考える時間も気力もなかった。
そのため、銃焰秉核は帝国の監視の目を盗んで、オーカ帝国の底辺社会の実情を詳しく調べていった。
……
初級製鉄所、化学工場、各種機械生産など、多くの重工業工場
もちろん、繊維産業、製粉工場、靴工場もある。オーカ帝国の工業人口の九十%は、こうした巨大な軽工業の工場群に属している。
銃焰秉核はドント港近郊のいくつかの都市を調べた末、次のことに気づいた。
聖ソーク帝国は、工業と社会制度の面でオーカ帝国よりほぼ一時代遅れていることが分かった。
聖ソークの労働者は総人口のわずか一%にすぎないが、オーカ人の工業人口は明らかに十%を占めている。機械化にせよ、鉄鋼化学工業にせよ、秉核は聖ソーク帝国の国力の遅れを感じずにはいられなかった。
……
しかし非常に興味深いことに、聖ソークのその一%の工業人口の待遇は、オーカよりもはるかに良い。
聖ソークでは、工業に従事するほぼすべての家庭で、祝日には鍋に鶏が一羽入っている。
一方、オーカ帝国の貴族の支配の下では、労働者の暮らしは非常に残酷であることが分かった。オーカ帝国の労働者への搾取は凄まじく、一日十二時間労働、過労死は工場では日常茶飯事だ。労働者の平均収入は、聖ソーク帝国の工業人口の三十%にも満たない可能性が高い。
しかし、聖ソークが先進的だとは決して言えない。聖ソークには十%の工業人口を維持できるだけの統治の安定性がないのに、オーカの現在の制度はかろうじてそれを可能にしているからだ。
もちろん、オーカ人の制度が現在の工業人口を維持できるのも、すでに限界に達している。
だからこそ、工場の中で秉核は、オーカ帝国の下層に潜む鋭い矛盾と、その先進性を見たのだった。
……
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