消しゴム能力 その二
秉核が法脈を整然と修正できる「チート」は、一種の修正能力だった。
自身の体内の任意の場所にのみ作用する能力で、体内の一、二立方分米の領域を瞬時に時間逆行させることができる。
この領域を展開すると、体内の法脈は一分で二日前の状態に戻る。
もちろん元に戻すことも可能だ。
秉核は体内のあらゆる部位でこのチートを試した。法脈の修正には非常に便利だが、秉核はいくつか特別な試みも行っている。
たとえば、チートの時間逆行効果を脳に適用することなどだ。
そんな考えを試してみたとき、
結果として秉核は、その瞬間に自分が何をしていたのかを完全に忘れてしまった。
午後いっぱい呆然としたあと、残っていた惰性の思考から推測するに、どうやら自分の脳のどこかがおかしくなったらしいと気づき、自分の脳を「いじり」回していたのだった。
もちろんこの能力は、自分自身、自分の体の細胞にしか作用しない。
体外には効果がなく、飲み込んだ食物にも作用しない。
今のところ、自分の体内で変化した状態であれば、その状態へ逆行することができる。
注――これも秉核の背が伸びるのが遅く、姪に押し負かされる重要な理由である。
……
課業の任務が終わった後
秉核はこのとき、部屋で新しい魔法を一つひとつ試していた。
超音波による損傷測定。(手で物質に触れることで、その内部の状態を感知できる。)
超音波による物体感知(目を閉じていても、部屋のおおよその状況を判断できる。)
照明術
光学屈折術(曲がり角でいくつかの鏡を使って光を屈折させると、奥の様子を見ることができる。たとえば自分の耳の穴のなかを直接観察する、など。)
骨格強化術(骨格の内部に密な網状の力場を構成し、骨折を防ぐ。)
これは秉核が現在持っている五つの魔法だ。
もちろん、次に学ぶべきは
蓄力術(筋繊維の弾性を高め、爆発力を確保する。)この術は習得が不十分で、それが秉核の姪に押さえつけられる重要な原因だった。
そして秉核がこれほど多くを探求すれば、進度が遅いと伯爵様が不満を抱くのも当然だった。秉核の兄は厳格で、伯爵様はさらに厳格。普通の些細なことですらこの二人と話し合うのは難しい。ましてやチートのような説明しづらいこととなれば、なおさらだった。
……
秉核の遅さに比べれば、璃韻は天才ロリと言えた。秉核がのろのろと法脈を構築し、ようやく五つ目の魔法を学べるようになったとき、璃韻の法脈進度はすでに十一に達していた。
鈍い子供に甘える資格などない。秉核は、父が孫娘ばかりを溺愛する現実を前に、苦悩のすべてを飲み込んだ。
他人の子のほうが自分より優れている――それは、悩める少年の多くが抱える悪夢である。
……
苦悩を抱えていても、二世を生きる秉核は自分の選択を投げ出すつもりはなかった。
体内に消しゴムの能力を持ちながら、今なお前人の道をたどるだけで、その道を理解しようとしないのなら、転生システムの前で自分の顔を殴るようなものではないか?
この世界に興味を持ったのなら、自分の選択に従うべきだ。チートがついているのだから。
二時間後、秉核はその日の体内修練を終え、家伝の法脈がまた一段進んだ。
この調子なら、あと数ヶ月で法脈の主脈を完成させられそうだ。
主脈さえ完成すれば、サブシステムの法脈もほぼ完成したも同然だった。
……
家伝の法脈の修練を終えた秉核は、宿題のノートを提出するときのように、ほっと一息ついた。
秉核は逆流を始めた。数分後には元の法脈がすべて消え、新しい法脈が彼の体に現れた。元の整然とした法脈に比べれば、秉核のこの法脈も整ってはいるが、全体の構造は希薄で散らばっており、およそ良い状態とは言えなかった。
……
この魔法回路は十二の新しい魔法を支えることができる。だがこの構造を見る限り、中級職への昇進は不可能だ。――とはいえ、この回路は秉核が独力で研究したものだ。秉核は少なくともこの回路の数十もの欠点を知っている。ほとんどすべての経路で、秉核は十数回もやり直した。
秉核の心の動きに従い、防御魔法「気流膜術」が秉核の周囲に現れた。全身の表面に気体の薄膜が形成され、その上には碁石のようなものが鱗のように幾重にも並んでいた。
秉核の家系が受け継ぐ法脈は機械師の職業に属するが、今秉核が興味津々で探求しているのは、下位職業である兵士の職業だった。
これほど高強度の気膜法術は、気圧を制御して陶磁金属片を体に付着させ、ある程度弾丸を滑らせる効果がある。
(下位職業は社会において依然として稀少であり、兵士という職業は、実際には軍隊で尉官クラスの身分にあたる。)
部屋で宙返りを二度決め、気流緩衝術を使って軽やかに着地した。秉核の口元には得意げな笑みが浮かんでいた。
秉核は調子に乗り、興奮した声で低く唸った。
「俺は騎士になる」




