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帰向  作者: 凛光穂
第三巻 緊迫の逃亡?刺激的な逃避行!いたずらな旅

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機械師——まだ新しい職業 その二

 土倫造船所に入ると、瀾濤公爵(ランタオ)が見渡す限り、工場内は整然としていた。

 労働者たちは区域ごとに分かれて作業し、それぞれの区域の間には連携があった。

 一つの区域の作業が終わると、隣接する区域がちょうど次の作業を受け持つようになっていた。


 蒸気が轟音を立てているのに、秩序は整然としていた。

 公爵には理解できないながらも、その秩序に軽く頷いた。

 すると背後から機械制御者が、一言発した。

「ここではすでに工程の割り振りが行われています」


 瀾濤公爵(ランタオ)が振り返って尋ねた。「博達伯爵(ハクタツ)、今、何と言ったのですか?」


 博達公爵(ハクタツ)が答えた。

「公爵閣下、機械制御者は工場で作業する際、制御を容易にするため、しばしば工場全体の生産空間と生産秩序を整えます。生産プロセス全体が、工場の空間内で一本の明確なラインを形作るのです。不良品が出たときは、その明確なラインに沿って問題の箇所を素早く見つけ出します。この原理は軍隊の構造と同じです。兵士、下士官、大佐、将軍と構造がはっきりしており、どの部分に問題が生じても迅速に特定できます」


 もう一人の機械制御者である蘇承(ソショウ)が補足した。

「ここの秩序と規則ときたら、我々には将軍がもう一つの軍隊の軍容を眺めるようなものだ。ここの機械師一族の伝統は非常に深い」


  ……


 六十メートル先、三つの壁を隔てた向こう。


 多足機械の腕足装置に腰かける秉核(ヘイカク)


 秉核(ヘイカク)は絵の具板で調合した赤い紙を持ち、ライトの下に置いた。

 熱処理作業員に向かって言った。

「よく見ておきなさい。この工程で三十秒間熱処理すると、ちょうどこの色になる。四段階のライト照射下での色だ。ここまで処理すればほぼ完了だ。覚えておくように、上面には酸化による斑点が現れる。では、今から時間を計り始める」


 赤熱した金属が処理プラットフォームに落とされ、作業員は基準に従って一つずつ処理していった。秉核(ヘイカク)は特徴を一つひとつ説明し、指をさして、どこを見るべきかを示した。


  ……


 材料の観察は、目だけに限らない。

 だがここで普通の労働者が生産を把握するとき、頼れるのは目と耳、そして皮膚の温度感覚だけである。


 加工工程の確実性を保つため、秉核(ヘイカク)は労働者たちに指示した。

 いつ目で注意深く見るか、耳で注意深く聞くか、手のひらで熱気を感じるか。


 実際、地球の工場労働者たちも同じだった。

 二十世紀、地球の社会変革によって、労働者たちの組織構造は非常に強固になった。

 地球の労働者は、頻繁なコミュニケーションを通じて同一基準の組織の下で生産を制御し、生産工程全体の細部までしっかりと把握していた。


 しかし、この世界の労働者たちに、それほど強い組織性はない。あるいは、機械師の能力が非常に高く、機械制御者は万能なのかもしれない。生産全体を把握する効率が高すぎるため、強い労働者組織を形成する必要がないのだ。強者がすべてを請け負ってしまえば、弱者は無意識のうちに、自分たちはやる必要がないと思い込む。


  ……


 活発な性格の秉核(ヘイカク)は、今月、工場で技術によって権威を確立した。

 だが、いかなる身分の隔たりも作らなかった。

 食堂では皆の前で、気取らずに豪快に食事をする。

 貴族らしい気性は全く見られない。心が純粋で、誰も計算していないように見える。

(実際のところ、今は人心を推し量る必要がない)


 秉核(ヘイカク)は生産中に時々小さなミスをした。

 その度に、小さなノートを取り出して記録していた。

 それを皆のミスと一緒に工場の掲示板に書き出すことで、面白さを感じさせると同時に、暗に警鐘を鳴らしていた。

 この工場の雰囲気は圧迫的ではない。健全な競争が保たれていた。


 トゥーロン工場は規律正しかったが、常に公平性を示していた。秉核(ヘイカク)はすべての工程に参加した。

 非機械技師の視点に立つよう努めることで、各工程の担当者が独り立ちできるようにした。


 この工場は、秉核(ヘイカク)が去った後も彼のやり方を踏襲し、合格品を生産し続けることができたと言える。なぜなら秉核(ヘイカク)は地球の生産モデルを再現しようと努力していたからだ。


 秉核(ヘイカク)が去った後、この工場は数年は運営されるかもしれない。

 だが、おそらく数年後には問題が発生するだろう。


 秉核(ヘイカク)が去った後、機械を制御する者が作業員に注意事項を説明しなくなれば、各工程の熟練した作業員は、実質的に代替不可能な存在となる。


 もし他の貴族が管理を引き継げば、この社会に根付いた身分制度のため、作業員たちは身分差による下位者の生存危機感を抱くことになる。


 そうなると、これらの作業員は意識的・無意識的に、自分たちの工程における重要性を強調し始める。

 その技術を門外不出にしようとする。新人を教えず、職業の独占を図るだろう。


(前世で二十二世紀まで生きた秉核(ヘイカク)の平等観念は骨の髄まで染みついている。この平等観念は、地球社会が数度の戦争を経て培ったもので、人類社会の組織性における重要な要素である。)


 もし秉核(ヘイカク)が十年後に離れたら、この管理システムは必ず問題を起こすだろう。

 ——ここは何度も社会イデオロギーの変革を経験した地球ではない。

 千年以上の蒸気暦が発展した今、機械師や機械制御者の生産における役割は代替不可能だ。


  ……


 瀾濤公爵(ランタオ)は工場で秉核(ヘイカク)を見つけた。第三号生産現場に入ってすぐ、一目で秉核(ヘイカク)に気付いたと言える。


 複数の機械アームを持つ産業用機甲の上で、この特に美しい少年を見た瀾濤公爵(ランタオ)は微笑んだ。

 そして傍らの二人の機械制御者の表情をちらりと見た。


 二人の機械制御者は皆、かすかに息をのんだ。

(非常に微かだったが、傍らの「権柄」にはごまかせなかった)


 博達(ハクタツ)機械制御者は乾いた笑いを浮かべて言った。

「十四歳?これはどこのお坊ちゃんだろうね」


  ……

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