旧貴族生存観察記録 その一
蒸気暦1025年9月4日。
帝国天体塔、第五十九層。つまり天体塔の上から三層目の、その第二層である。
この皇帝の居住階でも私的な宴が催されており、大きな食卓にはわずか二人しか座っていなかった。一人は帝国の皇帝。もう一人は、千里の彼方から駆けつけた銃焰思芬である。
テーブルには質素な六品の料理と、飾り気のない素朴な銀の食器が並ぶ。
照明も、貴族の宴で好まれる白バラ精油のキャンドルやプラチナの燭台ではなく、電球とシェードの白熱灯だった。
……
帝国の国賓向けの公式晩餐会は、通常五十二階で行われる。
そこは特別な国賓用の大広間だった。金銀で描かれた魔獣の紋様は生き生きとし、食器には高度な透かし彫りの細工が施されている。
テーブルと椅子は玉石の彫刻。
帝国が重要な国臣や外交使節を招く場所である。
しかし今、この家庭的などこか温かな居間階では、一見簡素に見える調度品の一つ一つ、皿やスプーンに至るまで、すべてが|聖ソーク皇帝《聖ソークコウテイ》の私用の器具だった。
テーブルに並ぶ料理さえ、皇后が自ら手がけたものだという(使用人の補助付きで)。皇帝陛下が私邸で食事に招くことは稀で、数年に一度あるかどうかの出来事だった。銃焰スフィンにとって、ここへ招かれることは常に恐縮至極の出来事だった。
……
聖ソーク、権柄、嘉龍。彼はナプキンで口を拭いながら言った。
「スフィン、君の食欲は随分小さくなったな」
思芬は言った。
「陛下、ありがとうございます。臣は大したことはありません」
嘉龍は言った。
「ああ、君の二人の息子が不慮の事故に遭ったのだ。同じ親として、私にはよくわかる」
思芬は恐縮した様子で言った。
「陛下、私の家のことゆえ陛下にご心労をおかけし、誠に恐縮です」
嘉龍は手を振った。「秉核は賢い子だ。孤もとても気に入っている。育てようと思っていた。しかし、あんな事故が起こるとは思わなかった」
そう言って、嘉龍は一冊のノートを取り出し、思芬に手渡した。このノートは、秉核がかつて記録したものだ。駅で秉核が負傷したとき、これらの私物は金庫に保管されていた。秉核が消えた後、帝国の憲兵部隊が調査を開始して金庫を開け、最終的にこれが見つかったのだ。
このノートには大量の情報が記されており、数多くの奇妙な機械の構想図や化学方程式、化学工業のパラメータが並んでいる。
もちろん、さまざまな法脈の規格も記されていた。
秉核はこの本に帝国文字と複数の記号を使って書きつけた。
自身の法脈改修に関する内容はすべて漢字で、計算に関わる部分はアラビア数字で記録し、結果をピンインで説明している。
帝国内に理解できる者はいない。
もちろん帝国皇室は、秉核の小さなノートに描かれた法脈の詳細や、一つ一つの法脈の誤りの特徴とまとめを通じて、秉核が法脈を研究していることを把握していた。
(注)十二~十三歳の子供がさまざまな法脈を研究するとは、実に身の程知らずなことである。
……
皇帝の配下の諜報組織は、秉核が帝国図書館で演脈術(定体術と一緒に)を調べていた状況も調査していた。
諜報部の基本的な推測では、秉核は法脈の研究に没頭している様子だが、全体として反逆の気配はない。そうでなければ、皇帝が思芬を食事に招くことはなかっただろう。
もちろん、秉核のノートには、帝国情報部が非常に興味を抱く部分があった。蒸気暦1025年2月3日の朝、秉核は新手機械店で二人に出会い、その二人の法脈が非常に特殊であることをノートに長々と記していた。
さらに、それらの法脈の分布図まで描かれていた。
帝国情報組織はほぼ即座に帝都の傭兵協会へ赴き、中の資料を徹底的に調べ上げた。
(傭兵協会の会長は泣きそうになった。)
最終的に、情報総署の許令署長は、秉核がその二人の不審な人物と偶然出会っただけで、意図的な接触はなかったと結論づけた。
しかし、秉核のノートに記録されていた、炎陽と皎月に関連する法脈の記述のある数ページは今や引き裂かれており、帝国の情報機関はその手がかりを追って調査を続けている。
そして今、皇帝が思芬に手渡したこのノートに、その数ページは含まれていない。
……
今、この家宴の席で、慈父のように穏やかな帝国皇帝は秉核のノートを思芬に手渡し、ここ数ヶ月、帝国皇室が秉核の失踪について全力で調査してきたことを示した。
皇室が銃焰家を重視する姿勢は、一貫して変わらない。
外部で噂されているような、皇室が何かを画策しているというのは全くの誤りである。
秉核の失踪がこれほど奇妙に思われるのは、彼の趣味が普通の貴族とは異なるために、多くの誤解が生じたからだ。皇帝陛下は、思芬伯爵が皇室に対して心理的な負担を感じないことを望んでいる。
……
思芬伯爵は、秉核のノートを一ページずつめくっていく。
まるで親が子供の成績表を見るように。
思芬は顔を上げて皇帝に言った。「陛下、不肖の息子にご心配をおかけしました。もし見つけ出しましたら、徹底的にあの悪戯な根性を叩き直します」――もちろん、秉核が今も生きているかどうか、思芬には全く自信がなかった。この言葉は、臣下として皇室への忠誠を示すものに過ぎない。
……
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