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なんちゃって落窪物語  作者: fukuneko
巻二
66/105

姫君、左大将邸で歓待を受ける

●左大将邸への誘い


 賀茂祭りの行列の見物が終わります。

 道頼は桟敷に牛車を横付けさせ、帰り支度を始めます。

「道が混むといけないので、そろそろ二条殿へ帰ります。母上、今日は楽しゅうございました。父上にもよろしくお伝え――」


 道頼の母親は息子を無視して、姫君に話しかけます。

「慌ただしくて、思うようにお話しができませんでしたね。これからウチへおいでなさいませ。一日か二日、ゆっくりいろいろおしゃべりしましょう。中将はどうしてこうもせっかちなのかしら。すぐに帰らなくもいいでしょうに。さあ、私が申しあげるとおりになさいませ。中将は可愛げがなくて、いけないわ。こんな人を好きになってはダメですよ(中将はいと憎き心ある人ぞ。な思ひ給ひそ)」

 母親は笑っています。


 道頼たちは二条殿へは帰らず、左大将邸へ行くことになりました。

 左大将家の従者の一人が、先に馬で左大将邸へ急ぎます。二条殿の人々が何日か滞在することになった旨を、知らせにいったのです。


 知らせを受けた左大将家の家司は慌てます。侍女たちや舎人たちにあれこれ指示を飛ばします。

「えらいこっちゃ! 中将殿の北の方さまがおいでになる。寝殿(本殿)にご滞在いただかなくては。西の廂をきれいにしつらえて、お迎えしよう。蔵からお屏風と新しい几帳を運んでこい。几帳はあるだけ、持ってこい。二条殿の女房がたも見えるそうな。その人たちも丁重におもてなしをせんといかんな」

 

 人々が桟敷から出発します。

 女性四人が同じ一台の牛車※に同乗します。車の前部には姫宮(内親王)と中の君、後部に姫君と道頼の母親が乗ります。

 別の車に道頼も乗り、衛門や少納言や二条殿から来たほかの侍女たちも次々に車に乗って、一行は左大将邸へ向かいます。


※牛車では、前にもご説明したように、前部(車の口)が上座、後部(車のしり)が下座です。さらに、口の右側が上席で、後では左側が上席です。

(御車寄せたれば、口には宮、中の君、後には嫁の君と我と乗り給ふ)

 おそらくは、姫宮が口の右側、ゴッドマザーが後の左側です。ゴッドマザーは、席次からいえば口の左側を占めていいはずですが、身重の姫君に手を添えて支えながら、いっしょに車に乗りたかったのだと思われます。


 

●左大将邸での歓待


 姫君は、飾りつけのすんだ寝殿の西側の廂へ迎え入れられます。

 衛門や少納言やほかの侍女たちは、道頼が独身時代に使っていた西の対の廂へ案内されます。そこにはお菓子や果物が用意されていて、左大将邸の女童が何人も、行儀よく待機しているのでした。


 夜は、賑やかなパーティとなります。

 姫君は、なんといっても、左大将がかわいがっている長男の嫁です。歓待ぶりは半端ではありません。左大将は、二条殿の女房たちまでも、賓客のようにもてなすのでした(大将殿も、いみじき思ふ子の御ゆかりなれば、御達にいたるまでいたはり騒ぎたまふ)。


 道頼の母親は、一日か二日、と言っていましたが、姫君の左大将邸滞在は五日間ほどにも延びました。

 衛門と少納言は笑顔でVサインを交わします。

「姫君はゴッドマザーのお気に入りになられたわね」

「ゴッドマザーのあの眼差しを見れば、わかるわよね。かわいい嫁だわ、と思っておいでなのが」



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