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なんちゃって落窪物語  作者: fukuneko
巻二
46/105

チーム二条殿の発足

●幼い三郎君の正論


 まだ幼い三郎君ですが、母親に苦言を呈さずにはいられません。

「今度のこと、とにかく母上が悪い。どうして? どうして、姫君を部屋へ閉じ込めちゃって、あんな頭のおかしいジジイと結婚させようだなんて、思いついちゃったわけ? 姫君……かわいそう。どんなに辛かったか。ウチはお姉ちゃんたちが多いし、僕たち男きょうだいにも将来ってものがあるよね。何かの折に、高貴なご身分におなりあそばした姫君と再会するかもしれない。そうしたら、僕たちのほうが赤っ恥だよ」

 三郎君、ませた口調で言い放ちます。


 継母はそっぽを向いて、

「あんなやつは※、どこへ行ったって高貴な身分になんてなりゃしないよ。再会したって、ウチの子たちに何ができようってのさ」


 中納言家には男児が三人いるのですが、太郎(長男)は越前守えちぜんのかみとして任国に赴任していて、二郎(次男)は法師、そして三郎(三男)がこの子なのでした。


※あんなやつは――(すやつはいづち行くとも、よくありなむや)継母は「落窪の君」などとも呼ばず、とうとう「すやつ」呼ばわりです。「すやつ」は中納言の北の方が口にするには、相当に下品です。



●一人前の侍女


 楽しいディナーの酔いも醒めた夜中過ぎ。

 二条殿のあちらこちらに灯がともされています。

 あこぎは、ああ、ここでは油を節約しなくていいのね、久々にリッチな気分だわ~、なんて思っています。


 少将道頼はごろんと横になって、あこぎに話しかけます。

「この数日間のできごと、もういちど詳しく話してほしい。姫君は言いにくそうにしてるんだもの」


 あこぎは、継母の嘘でたらめや、姫君を落窪の間から容赦なく引きずり出したときのことなどを、洗いざらいぶちまけます。

「想像していた以上だな……」

 道頼は大きくため息をつきます。


「ところで、あこぎ。頼みたいことがあるんだ」

「何でしょう?」

「ここ(二条殿)には女性スタッフがいなくて、不便だよね。侍女をリクルートしてほしいんだ。本邸(道頼の実家)の人たちに来てもらおうかとも思うけど、どうせなら新顔をそろえたいな」

「御意!」

「惟成の真似、しなくていいから」

「うふふ」


「あのね――」

「はい?」

「あこぎ、一人前の侍女になったらいいよ。童女めのわらわは卒業。女房におなり。あこぎには、もうじゅうぶん大人の思慮分別がある」

「えっ? 本気にしちゃって、いいんですか?」

「もちろん」

「嬉しいことをおっしゃってくださって――!」

 夢見心地になるあこぎでした。

 

 翌朝。

 道頼はのんびりと朝寝して、昼ごろ、実家である左大将邸へ帰る支度を始めます。参内するには、きちんと着替える必要があるからですね。帯刀に言いおいて、出かけます。

「惟成、姫君のおそばにいてくれ。すぐに戻るよ」



●あこぎ、叔母さんにメールする


『忙しくしていて、ご連絡をさしあげられず、申し訳ございません。で、また、お願いがあるのですが。今日明日のうちに、こざっぱりとした女童と女房をそちらで面接&採用して、私のほうへよこしていただけませんか。そちらにすでに、かわいい女童がいましたら、一人か二人、しばらくのあいだお貸しください。詳しい事情は、じかにお会いしてお話しします。ちょっと、こちらへおいでいただけないでしょうか? 今、二条殿におります。――いつもいつもご迷惑をおかけしている姪っこのあこぎより』


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