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幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


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第73話 それぞれの恋愛事情②


 アルの腕枕でベッドに横たわりながら、アルがポツリと呟いた。


「早く結婚したいな」

「ふふ。アルって結婚願望が強いよね」

「早く君を名実ともに正式に俺のものにしてしまわないと……不安なんだ」

「不安? どうして?」

「君を誰かに取られたくない」

「ええ? 私、アル以外の人にモテたことないよ?」

「俺が散々目を光らせてるからな。ヴィーは自分の魅力に気がついていないから始末に負えないよ」

「えーなによそれー」


 私はクスクスと笑いながら、次第に瞼が重くなってくるのを感じた。


「ねぇ」

「ん?」

「今日泊まっていって? 離れたくないの、ね?」

「いや、しかし……」

「ね、お願い」


 アルにギュッとしがみつく。

 上目遣いでアルの様子を伺うと、苦笑を交えて頬を撫でてくる。


「ヴィーの可愛いおねだりには逆らえないな」

「……嬉しい」


 ホッとすると同時に、急激に眠気に誘われる。

 アルのトクントクンという規則正しい心臓の音を聞いていると、これ以上ないくらいの幸福感に満たされながら、私は眠りに落ちていった。




 翌朝、ハンナが起こしに来て目が覚めた。

 シャーッという音を立てながらカーテンが開け放たれ、陽の光が差し込む。


 咄嗟に辺りを見回すが、隣にいるはずのアルの姿がなくて、なんとなくシュンとしょげていると、ハンナが少し笑った。


「王太子殿下でしたら食堂でお待ちですよ」


 …………え!!!


 途端に気持ちが急浮上。

 私は急いで身支度を整えて食堂に向かう。


 食堂ではアルとお父様が難しい顔をして話し込んでいたが、私が挨拶をして軽く頭を下げると、アルが立ち上がり、満面の笑みで歩み寄ってきた。

 アルは今日も相変わらずキラキラしていて眩いくらいに秀麗だ。うっとり。


「おはよう、ヴィー」

「おはようございます、アル」

「気分はどう? よく眠れた?」

「アルのおかげでスッキリ」

「よかった」


 抱き寄せられ、私の腰に手を回し軽く額にキスをされる。お返しに背伸びをしてアルの頬にキスをする。アルが瞳を輝かせて私の頬にお返しのお返しでキスをしてくる。ふふ、アル可愛い。私はもう一度アルの頬にキスを返す。すかさずお父様がゴホンと咳払いをする。私たちは顔を見合わせて笑った。




 3人で朝食を取るのは珍しいかもしれない。

 アルとお父様が、今度の狩猟祭の話題で盛り上がっていて、私はそれに耳を傾けながら食事を楽しんでいた。すこぶる気分が良かった為か、最近残しがちな食事も完食できた。


 朝食が済むとアルが手を握りしめてきた。

「それじゃ王宮に戻ろうか」


 私は微笑みを返して頷く。

 帰ろう。私たちの居るべき場所に。




 玄関先まで見送りに来たお父様に、アルが真剣な表情を向けた。


「それでは侯爵。先程の件、よしなに」

「承知致しました」

 お父様が深々と頭を下げる。


 私は少し首を傾げて、アルに尋ねた。

「何? お仕事の話?」

「ん〜。まぁ、そんなもん」

 アルがあまり多くを語ろうとしないので、私もそれ以上深く追及しなかった。




 王宮に向かう馬車の中。


 アルはやたらと私の髪を(もてあそ)んでくる。撫で回したりキスしたり指にくるくる巻き付けたり口に含んだり、もうやりたい放題。

「ヴィーの髪は一日中触っていられるくらい心地いいんだよ」って……いや、ハゲるから。ほどほどにしてください……


 しばらくして、私はずっと頭に引っかかっていたことを口にした。

「ねぇアル。シールニア王国の『クローディア』という名前の人物に心当たり、ある?」

「クローディア? ヴィーは彼を知っているのか?」

「彼?」

「シールニアの第一王子、クローディア殿だ」

「!! ……そう、なのね……」


 私は少し……本音を言うと、かなりビックリした。


 報われない恋に悩んでいるというレイシア姫。それによって国外へ追い出されるように嫁がされそうになっている現状。


 そして思い出す。『アイロン』外伝で、泣き崩れるレイシア姫の姿。


『そんな! みんな死んだなんて嘘! 誰か嘘だと言って! お父様!お母様! ……クローディア!ああ、クローディア!! イヤぁぁぁ!』


 『クローディア』は女性の名前だとばかり思っていたから気付けなかった。

 そっか、そうだったんだ……

 欠けていたピースが今カチッとハマった。


 レイシア姫は側妃の子だが、第一王子とは半分血の繋がった(れっき)とした兄妹だ。


 報われない恋ねぇ……

 ふぅん?

 レイシア姫に同情はするが、それでも私は彼女を認めない。

 禁断の恋はとても苦しく、さりとてさぞや甘美なものだったんでしょうねぇ?


 でも、その後始末に私の(アル)を利用しようとするなんて。随分と舐められたものだわ。


 私は絶対にアルを手放さない。

 アルは私のものだ。

 レイシア姫なんかに渡してたまるもんですか。


「アル。私、強くなるね」

 もっともっと、アルを守れるくらいに。

 泣くだけの私はもうおしまい。

 これは私の決意表明だ。


 なのにアルってば、目を瞬かせて少し困ったように眉を下げてしまったではないか。


「ヴィーは今のままで充分じゃないかな……」

「まぁ。何故?」

「尻に敷かれる未来しか見えないというか……いや、もう既に手遅れか……?」


 アルが何やらモゴモゴと呟いているんだけど!?


 なんなのよ、もう!



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