表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/76

第65話 三番街デート②

 連れて来られた先はひと気のない公園で、そこは奇しくもアルと再会した日に話し合いをしたところだった。

 ベンチに腰を掛けひと息吐くと、いつの間に購入したのか、アルが果実水の入ったカップを差し出してきた。

 私はお礼を言って、果実水を飲み干した。酸味の強い、さっぱりとした喉越しで、火照った身体を潤してくれる。


「落ち着いた?」

「……うん。心配かけてごめんね」


 アルが隣に座って、顔を覗き込んできた。


「さっきのガトーショコラ、やけにラム酒が利いてるなとは思ったけど、ヴィーには合わなかったみたいだね」

「ラム酒……」


 そうなのか。だからあんなに身体がポカポカしたのか。なるほど。決して私がいやらしいことを考えたからではない。私は痴女ではない。全てはお酒のせいなのだ。なるほどなるほど。


「二度と人前でそんな顔しちゃダメだからな。今日は俺の前だったからよかったものの。君は無防備すぎるんだよ。ホントにもう」

「ごめん……」

「君は本当に目が離せないよな。危なっかしくていつも心配なの、わかってるのか」

「う……だからごめんって」


 頬をアルの手のひらが包み込む。少しひんやりとして心地よい。うっとりと瞳を閉じると、深いキスをされて、頭が真っ白になった。


「またそんなに目をとろんとさせて……今言ったばかりなのに」


 唇を離すと何故か文句を言われた。

 だってこれは仕方なくない?


「ヴィーは一生俺のそばを離れちゃダメだよ。すぐそんなになっちゃうヴィーが悪いんだからね」


 耳元で低く囁くアルの声が壮絶に艶っぽくて、私はゾクゾクと身体が震える。


 そうして、何度も繰り返されるキス。すぐに私は限界を迎えた。


「ん……わかった、から、もうゆるして……」


 アルは僅かに眉間に皺を寄せると、最後に強く吸い付くようなキスをしてきて、今度こそ私はいっぱいいっぱいでグッタリした。




 公園でしばらく過ごした後、私たちは街歩きを再開した。


 一軒の雑貨屋に足を踏み入れる。店内はやはり女性客ばかり。ちなみにアルはそんなところにも躊躇なく一緒に入る。女性客ばかりだろうとあまり気にしない。そこが例えばランジェリーショップだろうと、アルは全く遠慮しないだろうなと思う。羞恥心?なにそれ?な態度はさすがとしか言いようがない。


 雑貨屋さんっていつ来てもワクワクするよね。可愛らしい小物は見ているだけで楽しい。

 ぐるりと周りを見渡していると、とあるものが目に入った。ケモミミカチューシャだって。『好評につき再入荷』というPOPが貼られている。ネコ耳、イヌ耳、ウサ耳、クマ耳……種類がいっぱいだ。作りも結構しっかりしてて、触ると本物みたいにもふもふしてる。


 私はふと悪戯心が沸いて、イヌ耳の一番大きなサイズを手に取って、アルを呼んだ。


「アル、アル。ちょっと来て」


 興味なさげに棚の商品を眺めていたアルが、すぐさま近寄ってきた。


「何か欲しいのあった?」


 私は無言で、そのイヌ耳をアルの頭に装着する。


 ……私は息を呑んだ。

 アルの金色の髪と、濃い目の茶色のイヌ耳が絶妙にマッチしてて。

 ぶはっ!!! なにこれ。似合いすぎる!!

 「は?」と言って上目遣いになるアルの壮絶な破壊力たるや。ちょっと頭を揺らす度にイヌ耳がぴょこぴょこ動いて……


「か……かわ……かわ……」


 言葉を失ってしまった。震える口元を手で覆う。ヤバい。鼻血出そう。

 興奮のあまり、無意識に、私は隣にいた見ず知らずの女の人の肩を叩いていた。怪訝な表情で振り返る女性に、私はアルを指差した。大きく目を見開く女性。


「か、かわ…………」


 私とその女性は手を握り合い、絶叫してしまった。


「「 可愛い〜〜〜!!! 」」


「か、可愛すぎない!?」

「可愛い可愛い」

「ヤバい」

「ヤバいヤバい」

「可愛すぎてヤバい」

「ヤバすぎ」


 「可愛い」と「ヤバい」を連呼する、語彙力のなくなった私たちでありました。


 呆れた顔をしながら「あのな」と言って、頭上に手を伸ばすアルを私は必死で止めた。


「あ! 待って待って! 外しちゃダメ!」


 さっきからドキドキが止まらないよ!


「はわわ。ホントに似合いすぎだよ。こんな可愛いワンちゃんが私のものだなんて信じられない」


 「お手」と言って手のひらを差し出すと、アルは盛大に嫌そうな表情をしながらも、手のひらを重ねてくる。ふふ、面白い。アルはなんだかんだでノリがいい。こういうところ、好き。

 アルに向かって両腕を伸ばすと、僅かに屈んでくれたので、遠慮なく頭を抱きかかえ、わしゃわしゃと撫で回した。もう、なんて可愛らしいのかしら。


「この俺を犬扱いして許されるのなんて、ヴィーくらいなものだよ?」


 アルがボソッと呟いて、私ははたと我に返った。

 天下の王太子様を犬扱いしたなんて知れたら、処刑されちゃう。

 ギクリとアルを見たら、意地悪く笑っていた。慌ててアルの頭からイヌ耳を外し、それを胸に抱えた。


「買うの?」

「買う」


 二人きりの時なら、楽しんでもいいよね? 私は諦めが悪いのだ。

 アルは大きく溜息を吐いて、棚からネコ耳を選び出し、「じゃあ、これも」と言って押し付けてきた。


「君は盛りのついた雌猫だからな」


 はぁ〜!? だが私は文句も言えず。

 それ以上にワクワクの方が勝っていた。



※ 本年はお付き合いいただきありがとうございました。

来年も引き続き、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ