表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/76

第64話 三番街デート①

 今日、私たちは三番街に遊びに来ている。


 活気あふれる街並みの中を、手を繋いで歩いていると、ところどころで声をかけられる。


「ヴィアンカちゃん! 今日はエラい男前連れてるね!」

 顔馴染みの青果店のおばさんに、弾んだ声で呼び止められた。

「えへへ。この人、私のダーリン」

「あらま、彼氏さんかい。いいねぇ」


 フルーツ串を2本サービスしてくれた。カットされた旬のフルーツが串に刺してあり、食べ歩きしやすくなっている。瑞々しいフルーツはさっぱりとしてすごく美味しい。


 しばらく散策してると、袖をクイクイと引かれた。


「ヴィアンカ! 久しぶり!」


 ガラス細工のお店の、トール君だ。

 手を繋ぐ私たちを、目を細めて見ている。


「ヘタレの兄ちゃんと仲良くやってんだ。よかったね」

「トール君、アルのこと知ってるの? て言うか、ヘタレって何?」

「それはねぇ〜…………」


 くっくっくっと可笑しそうに笑うトール君を、アルが怖い顔で制する。


「おい、坊主。余計なことは言うなよ」


 アルが苦々しく顔を歪めた。

 私はアルとトール君を交互に眺める。


「へへっ。ちゃんと求婚されたみたいでホッとしたよ」

「えっ??」

 私は首を傾げた。


「いいから、行くぞ」

 アルが強引に手を引いて歩き出す。


 後ろで、

「またうちの店に寄ってってねー」

と、トール君が手を振っていた。


「アルとトール君が知り合いだったなんて、意外。そっか、あの女神像、トール君のお店のだもんね」

「……まあな」


 再会した日に手渡された女神像を思い返しながら言うと、アルはちょっとバツが悪そうに答えた。

 何があったんだろう? 『ヘタレ』の真相は後でアルがいない時に聞くことにして、とりあえず今はアルの機嫌を直そうと、腕にしがみついて笑顔を向けた。すると途端に目尻を下げるアル。チョロい。




 またブラブラと散策しながら、お店を覗いたり、催し物を見学したりして、ちょっと休憩しようかとカフェに立ち寄った。

 店内には甘い香りが漂う、可愛らしい雰囲気のこぢんまりしたカフェだった。女性客が多い。ここはレイナさんが教えてくれたお店だ。一度アルと行ってみようと思っていた場所。


 窓際の陽当たりの良い席に案内され、腰を落ち着けた。メニューに目を通す。わぁ! なかなか種類が豊富で迷っちゃう。


「決まった?」

「う〜ん……このチーズケーキとガトーショコラで迷ってる」

「どっちも頼めば?」

「いいの?」

「俺は何でもいいよ」


 店員さんにケーキと紅茶と珈琲を注文して、待っている間、アルが右手を握ってきた。私は指を絡めながら、親指でアルの親指を押さえつけた。アルも負けじと私の親指を押さえ込む。そうやってしばらく指相撲もどきを興じていたが、逃げても逃げてもすぐに押さえ込まれて、アルの力が強くてなかなか指が抜けない。くっそー! 私は降参とばかりに手を離した。


「ズルい! アルの方が指が長いんだもん。こっちが圧倒的に不利だよ!」

「え、俺が悪いの?」

 アルはキョトンと首を傾げた。


 そうこうするうちに、ケーキが運ばれてきた。

 目にも鮮やかで美味しそう。甘い匂いが食欲をそそる。

 私はチーズケーキをひと口掬った。なめらかなコクとしっとりとした食感ですごく美味しい。頬っぺたが落ちそう!


「ん〜幸せ〜!」


 アルはそんな私を優しい表情で見つめながら、ガトーショコラを味わっていた。

 そうしてそれぞれ半分を食べた後、お皿を交換する。半分ずつ分け合うのが私たちのやり方だ。

 ガトーショコラも、これまた美味しい。生チョコかってくらい濃厚な味わいで、洋酒が利いてて甘くとろける。もう最高だね!


 ケーキを食べ終わると、珈琲を飲みながら、アルはぼんやりと窓の外を眺めていた。


 先程から店内の女性客の視線をチクチク感じる。ホント素敵だもんね、この人。わかります。


 陽の光がアルの金色の髪をキラキラと輝かせて、気品あるその姿はまるで一枚の絵のよう。そんな光景をうっとりと見つめる。

 こうして見ると、アルって本当に綺麗な顔をしている。中性的で端正な顔立ち。なのに瞳には力があって吸い込まれそうなくらい強い。あの美しい瞳が妖艶に濡れる瞬間を私は知っている。身体付きは細っそりして見えるのに、実は服の下は程よく筋肉がつき、がっしりと逞しいのを私は知っている。


 私は昨夜の営みをまざまざと思い出して、真っ赤になった。頬が燃えるように熱い。漂う色気と、甘い囁き。あの長い指で私の身体を撫で回し、あの形のいい唇が私の身体を……って、ギャー!! こんなところで、私は何を考えているんだっ! バカっバカっ!! 鎮まれ鎮まれ、煩悩!


 ひとりで身悶えする私は、怪訝な表情を浮かべるアルと目が合った。


「大丈夫? 顔が真っ赤だよ……」


 次の瞬間、アルは目を大きく見開き、眉を顰めた。


「出よう」

「えっ……?」

「いいから」

「え? え?」


 一体なに?

 有無を言わさないで手を掴まれ、引きずられるように店を後にした。


「ど、どうしたの、突然」

「どうしたの、はこっちのセリフだよ。そんなに目を潤ませて物欲しげな表情しちゃって、まるで盛りのついた雌猫みたいだよ。そんな顔、誰にも見せられないよ」

「えっ!! 嘘!?」


 私は頬を押さえた。まだ熱を帯びている。

 アルは私の顔を隠すように抱きしめると、そのままどこかに足早に歩き出した。



よろしければ、ブックマーク、☆評価、いいね、で応援していただけたら嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ