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幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


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第46話 アルは過保護なんです

 その日、帰宅すると、お兄様が出迎えてくれた。


「ただいま戻りました」

「おかえり、私の天使。学園初日はどうだった?」

「はい。なんとかやって行けそうです。お友達も出来ました」

「おお。お前、ずっと友達が欲しいって言ってたもんな。良かったな」

 そう言って、私の頭を撫でた。


 もっと話を聞いてもらおうと、着替えてからお兄様の執務室に向かった。

 執務室ではお兄様が書類と睨めっこしており、アルベルトがいないから決裁が下りなくて大変だよ、と愚痴っていた。


「お兄様はパトゥール侯爵家をご存知ですか?」

「パトゥールぅ? あそこは最近あまりいい噂聞かないな」

「うちと同じ侯爵家ですよね」

「おいおい。筆頭のうちと一緒にするなよ。親父が泣いちまうぞ」


 そういうものなのか。仕組みがよくわからない。


「パトゥール家のグレイシアさんって方と同じクラスになったんですけど、彼女、王太子殿下の婚約者候補を名乗ってるんです。そのことを笠に着ていろんなところで威勢を張ってるみたい。何か聞いてます?」

「なんだそれ。それが本当なら不敬罪だぞ」

「でも以前、婚約者候補になってたこともあるんですよね」

「ばぁーか。アルベルトがそんなの認めるかよ。キッパリ拒否してたよ。ヴィアンカとしか婚約しない、反対するなら一生結婚しないって啖呵切ってな」

「まあ……」


 私は思わず頬を両手で押さえた。顔が熱い。


「なにニヤついてんだよ。それがどんなに凄いことか、お前ちゃんと理解してるのか? 今や直系の王子はアルベルトしかいない。そのアルベルトが結婚しないって言うもんだから、周りは大慌てだ。元々あいつは権力に何の固執もしてなかったからな。いつ王太子の座を降りると言い出すか、あの時はみんなヒヤヒヤしてたんだぞ」


 はぁぁ〜と長い溜息を吐いて、お兄様は続けた。


「ヴィアンカ、お前に教えといてやるよ。アルベルトは普段我儘を言わない、好きや嫌いを言葉にしない。それは自分が周りに与える影響力をよく理解しているからだ。自分が言葉にすることで混乱を招く可能性があることを自覚している。だから身内にだって甘えたりしないだろうな。あいつはそういう立場の人間だ。


そんなあいつが、唯一欲しがった存在がお前なんだよ。


あいつは昔からお前に関することだけは、異常なほどの執着心を見せる。お前を守る為なら何だってするだろう。そしてお前を失いでもしたら……何をしでかすか考えるだけで恐ろしいよ」


「……まさか」


「ホントのことさ。現にお前、いつも護衛が付けられてること気がついてないだろう。あれは監視の意味もあるんだよ。学園でだってそうさ。常に見張られてると考えていた方がいい。例えば、さっき言ってたパトゥールの娘、そいつと何かトラブルでも起こさなかったか?」


「ちょっとだけ言い合いになってしまいましたが……」


「だったら明日学園に行ったら面白いことになってるだろうな。アルベルトは自分のことには全く無関心だが、お前のこととなると話は別だ。お前が少しでも不快に感じたなら一切容赦しないだろうから」


「そんな。嘘でしょう」


「お前、あいつがそういう重い男だって知ってて付き合ってるんじゃないのか」


「う……」





 翌日、学園に行くと、グレイシアさんの態度が明らかに変わっていたので、お兄様の言っていたことは本当なんだと悟った。

 無視されるわけではないが、話しかけるとわかりやすくビクつくし、時折感じる憎々しげな視線がとてもやりづらい。


 どうしたもんかと思案しながら学園内を歩いていると、クリス様が生徒会室から出てくるところに遭遇したので話しかけてみた。


「ごきげんよう、クリス様」

「これはこれは、ヴィアンカ様」

 にこやかに微笑むクリス様。


「この度はご入学おめでとうございます。健やかな学園生活を過ごされますよう、お祈り申し上げます」


 健やかな学園生活……ね。

 なんとなく釈然としない気分でクリス様を伺う。


「ありがとうございます。あの、そのことなんですけど」

「はい」

「私のクラスメイトに、何かしました?」

 直球で質問をぶつける。


「はて、何かとは?」

「私に監視がついてることは知ってます。そういうの、止めてもらえません?」

「なるほど。ルドルフォ殿ですね」

「はい、兄から聞きました」


 護衛なのか監視なのか知らないけど、アルってば、ホントやること極端だよね。私ってそんなに信用ない?


「申し訳ありませんが、それは出来かねます」

「どうして」

「殿下のご留守中、貴女様の身の安全は最優先にと厳命申し付かっておりますので」

「あの人、過保護なんですよ。私なら大丈夫ですから」

「ヴィアンカ様が心穏やかに過ごされるのが、殿下の何よりも望みなのですよ」

「すでに心穏やかではないですけどね」

「ふむ……」

 クリス様は顎に手を遣り、少し考えていた。


「では、こうしましょう。殿下がご帰国なさいましたら、今一度、殿下を交えてご相談ください。その時、私はヴィアンカ様の味方でいますから」


 ……結局。

 何も変わらないが、これ以上クリス様に言っても仕方がないことなのかもしれない。

 この人がアルの命令第一なのは今に始まったことじゃない。アルがいないことには何も変えられない。


「わかりました。なら、ひとつだけ教えてください。……グレイシアさんに一体何をしたんですか?」

「グレイシア=パトゥールですね。なに、パトゥール家に王家の署名で諫言書を送っただけですよ」


 クリス様の笑顔は少し怖かった。

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