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幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


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第45話 入学式②

 食堂の隣に併設されているカフェテリアは、時間帯のせいか、人もまばらで比較的空いている。

 私は紅茶を購入し、窓際の席に向かった。陽の光が差し込み、とても明るい。窓の外には学生が行き交う様子がよく見えた。


 席に座って、ホッと一息吐くと、ココルさんが言った。

「こう言っちゃなんだけど、グレイシアさんにはあまり逆らわない方が良いかもよ。ねぇ」


 レイナさんも深く頷く。

「そうそう。あの方、自分が王太子殿下の婚約者候補なのを鼻に掛けてるって言うか、たまにお茶会で顔を合わせることがあるんだけど、凄く幅を利かせてて、取り巻きにもチヤホヤされて誰も逆らえないし、ホント大変なのよ」


「うわぁ、なにそれ……怖……」


 あの人、グレイシアさんって言うんだっけ。そうだ、グレイシア=パトゥール。そんな典型的な悪役令嬢っぽい人、存在するんだ……私も気をつけよ……


「そもそも何なの? 婚約者候補って。殿下には正式な婚約者がいらっしゃるわよね」


 なんとなく、私が婚約者だって言い出しにくくてそんな風に尋ねると、ココルさんとレイナさんは顔を見合わせた。


「いらっしゃるみたいではあるけど、どのようなお方か、いまいちよくわからないの。お披露目もされてないし、夜会に同伴するでもないし、噂だと、お二人は相当仲が悪いみたいで」

「え……?」


 がーん! 面倒で夜会に出不精していたら、そんなことになってしまっていたなんて。アルも夜会に全然積極的じゃないし、私もそれに合わせてた。どうしても参加しなくちゃならない時もあるみたいだけど、「ヴィーはどうする?」と聞かれる度に「面倒だからパス」と答え、アルも全然強制してこないのでそれに甘えてた。そのツケがここで……


「だからグレイシアさんみたいな方がのさばって、あわよくばを狙っているのよね。候補と言っても、ほんのいっとき、そんな時代があっただけで、今は何の効力もないはずよ」

と、ココルさんが憤慨した声で言う。


「でも気持ちはわかるわ。王太子殿下って本当に素敵な方ですもの。聡明叡智、公明正大。麗しくて凛々しくて。ね?」

「そうそう。女性に言い寄られても歯牙にも掛けないし。冷たい視線で少しも表情を緩めたりしないクールな王子様。一度お見かけしたことあるけど、本当に魅力的なお方よね」


 く、くぅる……??

 だ、誰のことを言っているのだろう……

 アルはただのスケベだぞ。


 ココルさんが私を見ながら言った。

「社交の場でお見かけするのも稀だし、学園にもあまり姿をお見せにならないみたいじゃない? みんな、王太子殿下の目に留まろうと必死なのよね。ドレスを身につけてる方たちはそういう理由。少しでも目立って気を引こうと躍起になってるの」

「へぇ〜。そういうこと……」


 理解はできても納得はできない。

 アルは私の、なのに。


「そういえば、ヴィアンカさんのこと、夜会でお見かけしたことありませんね」

 レイナさんがそう聞いてきた。


「私、幼い頃からずっと領地で暮らしていて、おととし王都に出てきたばかりなんです。その後、割とすぐ婚約してしまって。婚約者があまり夜会に興味を示さない人だから、私も何となく、ね」

「まあ。そうだったの」


「お友達もいないから、お茶会にも誘われたことないし。お茶を嗜むのももっぱら婚約者のお母様とばかりで。だから今、こうしてお二人とおしゃべりできて、すごく楽しい。ありがとう」

「だったら、今度みんなでお茶会しません?」

「わぁ! ホント? 嬉しい」

 私は心躍らせた。


 それにしても、と思う。

「ココルさん、いろいろ詳しいのね」


「従姉妹がこの学園の3年生にいるの。彼女、新聞部で、噂話には敏感だから」

「新聞部か。格好いいね」


「私も入るつもりなの。レイナは園芸部よね。ヴィアンカさんはクラブ活動決めた?」

「う〜ん、どうしようかな。放課後はあまり時間が取れないんだよね」

 なにせ、地獄の正妃教育が待っている。


「後で、彼と相談してから決めようかな」

「婚約者?」

「そう。あの人、私のこと大好きだから。勝手に決めたら拗ねちゃう」

「あらまぁ。仲が良いのね。この学園の方?」

「今2年生。仲は良いかな。一緒にいることが多いしね。三番街でもしょっちゅうお忍びデートしてる。だから品がないなんて言われると腹が立っちゃうのよね」

「あはは。なるほどねー」

 私たちは笑い合った。


 レイナさんが呟いた。

「いいな、仲が良くて羨ましい。うちなんか全然ダメ。月に一度、お茶するくらいで、デートなんかしたことない」


 聞くところによると、レイナさんの婚約者は第一騎士団に所属する騎士なんだって。第一騎士団は近衛騎士、つまり王族にお仕えするいわばエリート。凄いね。


「じゃあさ、今度、騎士団の見学に行ってみる?」

「そんなの……王宮になんて簡単に入れないでしょ」

「大丈夫大丈夫。王宮にならツテがあるから」

 私は大きく胸を叩いた。

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