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幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


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第44話 入学式①

 それから1週間後の今日、入学を迎えた私は学園の正門前に立っている。


 王立聖カトリア学園。国が誇る格式高い学園で、広大な敷地に立ち並ぶ校舎や施設には品格が漂う。広々とした校庭に多くの学生が行き来してる。


 その様子を眺めながら、あれ?っと思っていた時、ドレスを身につけた誰かと肩がぶつかった。


「痛いわね! ボーっとしてんじゃないわよ!」

「あ、ごめんなさい」

 ボーっと生きててごめんなさい。


 咄嗟に謝ると、その女子生徒にジロリと睨まれた。

「新入生?」

「はい」

と答えると、

「制服の子か……」

 鼻で笑い、去って行った。


 そうなのだ。先程から何かおかしいおかしいと思っていたのだが、この学園、女性はみんな私服のドレスを着た生徒ばかりなのだ。いや、制服を着た子もいるにはいる。比率的には半々くらいか。男子生徒はみな制服だし、数で言ったら、制服を着た生徒の方が多いだろう。だが、煌びやかなドレスは目を引き、とにかく目立つ。私服OKなんだっけ?


 頭に疑問符を付けたまま、流されるように、入学式の行われる礼拝堂へと向かうのだった。




 礼拝堂に設置された椅子に腰を下ろした時、隣の女の子に話しかけられた。


「ごきげんよう、貴女も1組?」

「ごきげんよう。そうよ、貴女も?」

「ええ。私はココル=サリー。よろしくね」

「私はヴィアンカ=パステルダールです。よろしく」


 ココルと名乗った女の子は、髪をポニーテールにした、笑うとエクボの出来るとても可愛らしい子だった。彼女も制服を着ている。


「ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」

「なにかしら?」

「どうしてドレスを着ている生徒がたくさんいるの?」

 私は声をひそめて尋ねる。するとココルさんは意外そうな声を出した。

「え? 貴女、知らないの?」


 その時、壇上から開会式の宣言がかかった。ココルさんは「後でね」とウィンクした。


 入学式は、まず国王陛下のご挨拶から始まった。さすが王立学園。陛下のご登場に、周囲がざわつく。


 次に学園長の挨拶へ移り、その後、生徒会長が壇上に上がった。

 へぇ。この人がアルが頼れって言ってた生徒会長のリオル=グランバード様。高身長に、切長の目に甘いマスク。非常に整った顔をしており、これなら女性から絶大な人気を誇るのも頷ける。まあ、アルには敵わないけどね。グランバード公爵家の嫡男で、今3年生なんだっけ。


 そういえば、アルは生徒会に入っていないんだって。公務であまり登校できていないからって言うのが建前だけど、王族の自分が生徒会に関わったら運営に支障をきたすと考えているみたい。それなのに何かと相談を持ちかけられて鬱陶しいとも言っていた。


 次に教職員の紹介。


(…………あ!)


 ランシード先生がいた。私はこっそり手を小さく振った。遠くからなので気がついたかわからないけど、眼鏡の奥でわずかに目元を緩めた、気がする。

 ランシード先生とは今でもたまに手紙でやり取りをしていて、カトリア学園で教師をしていることは知っていた。また先生に教えを乞うことが出来る。嬉しいな。




 入学式が終わると、教室に向かった。

 クラスの人数はそんなに多くない。ひとクラス15人くらいかな。

 そこで軽く自己紹介が行われて、その日は終わった。


「ヴィアンカさん!」


 先程のココルさんが話しかけてきた。

「ねぇ少しおしゃべりしていかない?」

「よろこんで」


 手招きされて行くと、もう一人、女の子がいた。たしかレイナ=リングベルって自己紹介してた子。髪を肩の上で切り揃えた、ニコニコとした朗らかな雰囲気の少女だ。二人とも伯爵家のご令嬢で、昔からのお友達らしい。


「よかったら」

と言って、焼菓子を差し出してくる。私はお礼を言って、それを口に含む。


「美味しい……!」


 甘い香りのフィナンシェは中がふわっふわで、アーモンドの香ばしさとコクが口に広がって幸せな気分になる。


「でしょ? 三番街に新しく出来たお店のなの。私も大好きで、よく行くんだぁ」

「へえ。私も今度行ってみようかな」


 のんびりとそんな会話をしていると、後ろの方から、声が聞こえた。


「三番街に出入りするなんて、なんて品のない。お育ちが知れますわね」


 腕を組んでこちらに視線を向けている。ドレスを着た派手な顔立ちの子だ。名前、何て言ったっけ。たしか侯爵家の子だったような。取り巻きを何人かつけて、感じが悪い。

 ココルさんとレイナさんは縮こまってしまったし。


 私はムッときて、

「人の話を盗み聞きするのも、充分品のないことだと思いますけど。お育ちが知れますね」

と、思わず反論してしまった。


「な……!」

 顔を真っ赤に歪める彼女。


「う、うちは侯爵家なのよ。なんて口の利き方なの」

「うちも侯爵家ですけど」

「私はあの王太子殿下の婚約者候補なのよ!」

「はぁ???」


 私は思わず絶句してしまった。何を言い出すんだ、この人。二の句が継げないでいると、彼女は何を勘違いしたのか、高笑いをした。


「口の利き方に気をつけることね」


 私は呆れ返ってしまった。これ以上彼女に付き合ってられない、と私はココルさんとレイナさんに話しかけた。


「ねぇ、カフェテリア行って話さない?」

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