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幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


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第32話 かなり浮かれてます①

 アルにプロポーズされちゃった!……と言っても、私たちに何か変化があるわけではない。


 今すぐ結婚することは出来ないし、婚約者のままだ。通常、このまま順当にいけば、私が学園を卒業して約一年の準備期間を経てから婚姻の儀に至る。私はまだ学園に入学もしていないわけで、先はまだまだ長い。

 アルは小さい頃から結婚しようと言ってくれていたので、それほどの驚きもない。しかし、アルの決意みたいなものが、この指輪に感じられて、彼の本気を実感する。




 避暑地でのデート帰り、屋敷まで送り届けてくれ、アルは王宮へ帰って行った。


 ツーステップで屋敷に入る私を怪訝な顔で出迎えるお兄様に出くわし、私の左手に嵌る指輪に気がつくや否や、「はん!」と顔を顰め、

「もう婚約解消したいだなんだって騒ぎ立てるなよ」

と言ってきた。

 その節はお騒がせしました。てへへ。




 翌日、正妃教育のため王宮に通い、休憩時間にいつも通り王妃様とのお茶会になった。


「王妃様! 王妃様! 重大報告がございます!」


 そう言って、左手の甲を顔の横で見せた。


「あらまあ、どうしたの?」

「実は、アルベルト殿下にプロポーズされちゃいました〜」


 私は両手で頬を押さえて身悶えした。


「まあまあまあ! やるわね、あの子」

「コレ、殿下の手作りなんですって。殿下の指にもお揃いの指輪が嵌められているんです。お気付きになられました?」

「アルベルトとはまだ顔を合わせていないから。うふふ。お熱いこと」


 王妃様もなんだか嬉しそうだ。

 王妃様は毎回こうやってお茶会に付き合ってくださったり、いろいろ相談にも乗っていただいたり、親しく接してくれて、本当に可愛がってくれる。私にはお母様がいないから、王妃様をまるで本当のお母様のように感じている部分があるのかもしれない。

 お兄様にそう言ったら、

「お前はホントに恐れを知らないな」

と、叱られてしまったが。




「それならヴィーちゃん、そろそろ城に越して来たら? 王太子妃の間ならいつでも準備出来てるわよ」


 私は思わず紅茶をむせ込んでしまった。


「いやぁ、それはまだ気が早いのでは……」

「ヴィーちゃんが来たら、あの子のいつも澄ました顔も少しは緩むのかしら。ふふ。楽しみね」

「そう、ですかねぇ……」


「よし! そうと決まれば、ヴィーちゃんに王太子妃としての心得を目一杯叩き込まなくちゃね! 厳しくいくわよ!」

「ま、ま、ま、待ってください! 決まってません! 決まってませんから!」

 私は慌てて否定した。




 王妃様とのお茶会の後、王宮の廊下でフランチェスカ殿下と出くわした。


「あ! ヴィアンカさま!」

 そう言って、腰に抱きついてくるお姿がたまらなく可愛らしい。


「ごきげんよう、フラン様。これからお勉強ですか?」

「はい! 歴史の授業です!」

「そうですか。歴史を学ぶことは未来を学ぶ、大切な学問ですからね。よくお勉強なさるといいですよ」

「みらい?」

「そうです。私たちは、過去の教訓を活かし、より良い将来を築く為に、今を理解しなければなりません。歴史は未来に繋がっていくものなのです。ですから陛下やアルベルト殿下も、歴史は広く深くしっかりとお勉強されたはずですよ」

「ううん。むずかしいです……」

「ふふ。そのうちわかります」


 そんな会話の後、フラン様が私の指輪に触ってきた。

「ヴィアンカさま。これはなんですか?」

「あら、気がついちゃいました?」


 ふふふと笑って、左手を差し出した。


「アルベルト殿下にいただきました」

「結婚ゆびわですか?」

「まあ、そのようなものです」


「ヴィアンカさまはアル兄さまとご結婚なさるのですか? いつ? あした? あさって?」

「ふふ。まだまだ先のお話しですよ」


「ステキです! これからヴィアンカさまのこと、お義姉さまとお呼びしますね!」

「まあ……」


 私はポッと顔が赤くなった。

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