表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染が悪役令嬢の為に王太子殿下になってくれました  作者: みずきあきら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/76

第20話 再会の後で

 再会の後、アルの馬車で家まで送ってもらうことになった。王家の馬車じゃなくて悪いね、と言っていた。お忍び用なんだとか。


 馬車の中で私たちはずっと手を繋いでいた。昔みたいに。懐かしさで胸がいっぱいになる。


「ひと月の間に、覚悟を決めておいてね」

「覚悟?」

「そう。俺に愛される、覚悟」

「の、望むところよ」


 ハハッとアルは笑う。


「多分、俺の愛は重いよ。君が想像するよりずっと」


 アルの瞳は真剣で、私は胸がドキッと高鳴った。こんな表情、見たことない。


「俺と婚約するってことはどんな事か、わかってるよね」

「う、ん……」

「怖い?」

「ちょっと」

「ごめんね。でももう手離せない」


 アルは私の手を手繰り寄せ、手の甲にチュッとキスした。


「アルは本当に私でいいの?」

「何でそんなこと言うの。君じゃなきゃダメなんだ」

「私、よく令嬢っぽくないって言われてるよ。田舎育ちだし。この前も跳ねっ返りだって言われたばっかり」

「まあ、それは否定しないけど」

「ひ、酷い! アルまで!」


 私はアルの胸をポカポカ叩いた。アルはイタイイタイ言いながら、笑って受け止める。


「本当は、俺が身分を捨てられたらいいんだけど」

「何言ってるの。ダメだよ、そんなの」

「わかってるよ。それにパステルダール侯爵との約束もあるし」

「お父様?」

「そう。君が欲しかったら、王太子になれって言われた。それが君と婚約する為の条件だった」

「な、なに……それ」


 私は唖然とした。

 いつの間にそんな話をしたんだろうと思う。それじゃ先日お父様にされた縁談の話も、アルのことだったのだろうか。

 アルには相当無理をさせているのかもしれない。だって第二王子が王太子になろうとしても簡単になれる訳がない。並大抵のことじゃない。それくらい私にだってわかる。私なんかの為に……アルは大馬鹿だ……


「君が心配だったんだろ。侯爵の気持ちもわかるよ。あの頃の俺は、何の力も持たない、ただの子供だった」

「…………」

「君と離れるのは本当に辛かった。身が引き裂かれる思いだった。でもそうしないと君を手に入れられなかったから」

「アル……」

「王都に戻ってからは必死だったよ。がむしゃらになって働いて、なんとか王太子になって、でもそれだけじゃ駄目だ。俺はこの地位を確固たるものにする必要があると考えた。じゃないと、ジークフリートの二の舞になるからね」

「…………」


 私は繋ぐ手に力を込めた。アルがそんなにも頑張ってくれてたなんて、全然知らなかった。アル、ごめんね。ありがとう。


「君には寂しい思いさせたよね。本当にごめん。もうすぐ、今手掛けている計画が締結される。そうしたら堂々と君を迎えに行くよ」

「うん、待ってる」


 私たちは唇を合わせた。子供の頃とは違う深いキスに私は酔いしれた。しばらくして唇を離すとアルが余裕のない表情で私の頬を手のひらで包んで言った。

「ちょっと口開いて」

 言われるまま口を開けると、アルの舌が捻り込まれる。そうして夢中で舌を絡ませていると、脳が痺れたようになって、堪らなくなった私はアルの背中を握り締めた。




 屋敷に到着すると、アルが手を引いて馬車から下ろしてくれた。


「お父様に、会っていく?」

「今日はやめておくよ。また近いうち挨拶に来る」

「そう」


 離れ難くて、アルの手を握りしめていたら、アルがクスッと笑って、髪を撫でてくる。


「必ず、ずっと一緒に居られるようにするから」

「うん。ありがとう」

「ヴィー好きだよ」

「私も。アル大好き」


 アルは私の額にキスを落とすと、帰って行った。私はその馬車をずっとずっと見守っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ