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やけどしました。

10時過ぎた頃、ドアがガチャリと開いた。私は振り返り、ドアの方をみる。結構厚着したお母さんが、紙袋を二個持って立っていた。

「お金忘れるとか、ないわー。でも、私の小づかいで欲しいと思ったやつ買えたし。よかったわ―。ふへへへへ」

すごくニヤつきながら、その紙袋をテーブルに置く。何を買って来たんだろう。

私はその紙袋の中身を見る。中にも袋があり、それに書いてある文字を読む。

「ヴィクトリアメイド?」

「そう!ヴィクトリアメイドよ!かわいいわぁ。後縞パン」

また、お母さんは体をくねくねさせ、笑顔になっていた。やっぱりこの姿には慣れない。

私はお母さんをちょっと冷たく見る。すると、お母さんが自分の体を抱き、体を震えさせながら

「あぁん!椿ちゃんのジト目いただきましたぁっ!やばい!イク!」

と、言った。何を言ってるのかが分からないけど、なんだか危ない雰囲気がむんむんと立ち込めているのは、なんとなく分かった。

「……これ、どう着るの?」

私は中身を取り出し、お母さんに見せながら言った。お母さんはそれを手に取り、袋を開ける。

「じゃあ、私が手取り、足取り、教えてあげるね」

「お、お願いします」

今わかったことでもないが、やっぱり私はお母さんが苦手なようだ。嫌いではないけど。

その後、お母さんにそのヴィクトリアメイド服を着せてもらった。サイズは私にあわせており、ぶかぶかでもないしきつくもなく。でも、結構ごわごわする服だった。

「や、やばい。脳汁ダダ漏れだわ。襲いそう」

お母さんが着せ終わった私を見てそう呟く。目が獣になっていた。凄く怖い。ガチャリとリビングのドアが開き、そこから東が独り言を呟きながらリビングに入ってきた。

「俺は、やってないんだ。そうだ、俺……は……つ、椿おま。その格好」

「え、えへへへへ」

東が入るや否や私を見て硬直する。私は情けない声を出しながらちょっともじもじとしてみた。すると、東は「べばっ!」っと叫びながら即倒する。私も突然のことだったので「えぇっ!?」という反応しかできないでいた。

「Hevenはここにあった。そう、へヴンは……がくり」

「ちょっと!東!?」

私は東を揺さぶったりする。東はさっきと同じように、ブツブツと同じ言葉を繰り返していた。

「やっぱり、メンタル弱いわねぇ」

お母さんがふぅとため息をし、そのまま台所まで行く。私はもう一度、東を揺さぶってみる。すると、すくっと東が立ちあがった。心配するので声をかける。

「だ、大丈夫?」

「ああ。もう、大丈夫だ。問題無い」

何故か、キリッとした顔でそう私に答えた。本当に大丈夫かな。

「朝ご飯するよー」

「はーい」

「えっ?」

聞き覚えのない言葉に変な声で反応する。東はお母さんの言葉を聞いた後、テーブルの方に向かった。えっ。朝ご飯って何?朝にご飯を食べるの?

依然と私はその場でお母さんを見ながら硬直した。お母さんがなにやら具が乗ったお皿を上手いこと三つ持ちながらこっちに歩いてくる。

「どうしたの?椿ちゃん」

「え、いや。何でもない」

硬直したお母さんが私に不思議そうに問いかけてきた。私はその問いに対して言葉を濁して答えた。そして、私も東の隣に座る。なんだろ、何が出るんだろう。

目の前にお皿が置かれる。パンにサラダ、卵がくずくずになった物、肉。が乗っていた。

「わぁあ!」

「おぉ」

東と一緒に情けない声が出た。でも、おいしそうだったので思わず声が出たというかなんというか。すると、お母さんがわなわなと震えている。え、どうしたんだろう。

「も、もしかして。あっちじゃ朝ご飯無かったの……?」

「う、うん」

事実だったので頷く。と、お母さんが涙をぽろぽろと流し出した。えっ!私、なんかした!?

私は東の方を見る。東も驚いている顔だった。なんでっ!?

「うぅ。そんなにも酷かったのね。でも!もう大丈夫よ!おなかいっぱい食べなさい!」

「え、えぇっと。……はい」

お母さんはそう言って私の手を握る。ちょっと照れくさい。私は東を見ると、真剣な顔で

「椿。もしかして、昨日の夕飯の時騒いでたのって」

と、聞いてきた。私はその質問に頷く。昨日の夜ご飯は「からあげ」というものだった。凄く美味しくて、その時に騒いでしまった。お母さんが手を離す。

「あんなおいしい食べ物初めてだったんだもん」

「そうか」

東はそういうと、箸で肉をつまんだ。そして、私の口の前まで持ってくる。

「ほら、あーん」

「あーむっ。むぐむぐ」

私は「箸」が使えないので、東に食べさせてもらっている。昨日はお母さんがまた、かわいいー!って喚いていたけど、今日は喚かない。……うん、おいしい。

「どう?おいしい?」

「うん。おいしいよ」

お母さんが聞いてきたので即答する。お母さんはにっこりと、ほほ笑んだ後自分の前の料理に、手をつけ出した。東は自分のものを口に運びながら、料理をつまんで私の口に持ってくる。うむ。おいしい。

そして。お父さんがこの後帰ってきた。

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