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討伐は、安楽椅子で  作者: 海土竜
街道の罠
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疑惑 1

 先に城壁を降り石壁の影に身を寄せて待つと、通りに豪華な馬車がやって来た。そして、ほどなくセフィリア姫が城壁の階段を下りてくる。


「セフィリア姫、お疲れ様でした」


「導師・クイス。……こちらへ」


 何かを言おうとして、それを堪えたような表情をしてから馬車に乗るように勧められた。王族の馬車に乗り込むのは失礼になるのか分からなかったが、断るわけにもいかなかった。周りに不審に思われぬようセフィリア姫の後について素早く馬車に乗り込んだ。


「どうかされましたか?」


 馬車が進みだすと、姫が話を切り出しやすいように尋ねた。


「マカカイア・ジェストの兵器開発についてですが……」


「本人が言うほど簡単な物ではなさそうですな。平時ならまだしも、この状況で開発に力を注ぐのは危険な賭けになるでしょうね」


「はい、父も要求の過大さから首を縦に振らなかったのですが、マカカイア・ジェストは、秘密裏に自分の工房に人を集めているらしいのです」


「ふむ……。彼が自腹を切って研究する分には問題ないのでは?」


「街の人や資源には限りがあります。それ以上に増員を求めるなら、街の外から命がけでやって来る行商人たちの力を借りなければなりません。高額な報酬を約束すれば、どんな物でも運んでくるでしょうが、そうする事で街の民に行き渡るはずの物資が独占されてしまうのです」


「なるほど……」


「未来の人々の役に立ち便利な物であっても、それを作るのに今の人々に負担を強いるのは正しい事なのでしょうか」


 答えに詰まった。便利さを享受する者はさらに便利な物を求め、それに応えるために多くの者が、より多くの負担を強いられ続けると言う事を知っているからだ。僅かな沈黙を見計らったように、ロドニアスが走っている馬車の窓から入って来た。


「何処から入って来るんだ」


「俺も少し気になってましてね。街に入ってくる物は限られているのに、どこから材料を集めているのかってね」


「出処か……。行商人はどの街から商品を運んでくるのですか?」


「南のベリルの街からだと思いますが……。街の外の話は行商人同士でも秘密にしているので、詳しい事は何も……」


「安全に通れる道はそれ自体が利益を生む商品ですからね。商人たちから詳細を聞き出すのは難しいでしょうが、冒険者達からなら話を聞けると思いますよ」


「彼らも行商に参加しているのか?」


「荷物運びや護衛ですね。フマサーサが死んでだいぶ混乱しているでしょうが、ギルドの商館に行けば、行商人の出入りの情報が得られると思いますよ」


「冒険者に手引きさせれば、怪しまれず街の出入りが出来る訳か」


「そういう事になりますね。個人的に必要な物を手に入れたければ冒険者を使うのが手っ取り早いですが、高価な物や特殊な物だと商人たちを使わないと難しいでしょうね」


「マカカイア・ジェストが必要としている物なら、大掛かりな組織を抱き込まないと揃えられないと言う事か」


「それを誰にも気づかれずにやってのけられるのなら、何だって隠していられますよ」


「なるほど……、我々で調べてきます。セフィリア姫は城で報告をお待ちください」


 取り掛かるなら早い方が良い。馬車を下りて冒険者ギルドの商館へ向かった。

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