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神域の到達者  作者: 夜っ君
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鬼ごっこ 後編

『鬼ごっこ』、それは血を血で洗うような争い。逃げる側と追いかける側が互いの知力、体力を駆使し争いあう凄惨なゲームである。


「へっへっへ、ここなら見つかんねーだろ」


とある男子生徒は木の上でひっそりと隠れていた。ただ鬼ごっこをしているだけでは見つけることは困難だといえるベストポジション...のはずだった。


トントン...


男子生徒の肩がたたかれた


「なんだよ、今隠れてんだから静かに」


トントン..


「なんだよ、いい加減に...」


ふと男子生徒はあることに気づく。『自分は今一人で隠れていたはず..』恐る恐る後ろを振り返ると...


「はい、捕まえました」


ギャアァァァ!


男子生徒の絶叫がこだました。


ーーーーーーーーー


モノローグは冗談として、数分前にさかのぼる。

刹那は山の中を疾走していた。木の間を潜り抜け、木を使った立体的な機動により高速な移動を可能にしていた。しかも足音をほとんど消したまま...


「神薙流体術『月下』」


『月下』それは、存在するすべてのものを足場として、まるで、月にいるかのように重力にとらわれず高速で立体的な移動をする。その名ににふさわしい高度な技である。

刹那は今、気配も足音も消しているので学園に入ったばかりの学生ではほとんど気が付くことはできないであろう。

刹那はすでに山の入り口付近で五人の生徒を捕まえ、山の中腹を探索していた。


(見つけました。なるほど、木の上とはなかなか考えていますね)


刹那は発見すると、素早く相手の隠れている木に近づき相手の背後まで迫り、相手の肩をたたいた。


ここで冒頭に戻る


「まったく、失礼ですね。人の顔を見て悲鳴を上げるなんて」


悲鳴を上げるのも無理ないだろう。全く気が付かないうちに背後に人がたっていたとなれば驚かないはずがない。そこのところを配慮していない刹那の価値観はずれているのだろう。


「まぁ、いいです。時間内にあと十人捕まえなければなりませんからね。鬼も十人ですからこちらが多少有利でしょうから、気配を消すのはもういいでしょう。ただ、美空さんがいますからね…異能を使われたら時間内に捕まえるのが厳しいかもしれません」


少しの間考えていると


「待ちなさいよ大我!いい加減につかまりなさい!」

「やーだっよ。捕まえられるもんなら捕まえてみやがれ!って、ちょっと待てって!お前、異能はやめろ!正々堂々勝負しろよ!」

「いやよ!正攻法であんたみたいな体力バカ捕まえられるわけないじゃない!」

「誰が馬鹿だ!お前も似たようなもんだろ!」

「あんたと一緒にするな!」

「なんだと!」

「なによ!」

「「グルルゥゥゥ」」


大我と華凛の二人が戯れていた。


(華凛は後でお説教を受けそうです。森の中でむやみに炎を使うなんて危ないです。巻き込まれたらめんどくさそうなので二人のことは放っておきましょう)


そう思い刹那はその場を去った。


しばらくの間走っていると...


「逃げチーム残り五人、残り時間はあと五分だ!」


先生の声が山に響いた。


(あと五分ですか...少し厳しいかもしれません)


刹那はそう思い、走る速度を上げた。山の中腹にいた刹那は一気に山頂付近まで駆け上がった。そこで気配を探ると..


(この足音からわかる歩幅、気配そして何より不自然な風の動き...美空さんですね)


刹那は相手がわかると、一気にその距離を詰めた。

美空も周りに風の結界を張っていたようで刹那に気づいた。


「来ましたね、刹那さん」

「時間もないのでおとなしく捕まってくれるとありがたいのですが...そうはいかないですよね」

「もちろん、最後まで逃げきらせてもらいますよ」


二人は全く同時に動き出した。美空は異能の力で加速し、刹那は魔力で身体強化をして追いかける。


「『風の加速』《ウィンド・アクセラレーション》」

「神薙流体術『月下』」


二人の速度は互角といってもいい..しかし、二人の距離はだんだんちじまっていく。これは二人の間にある経験と技術の差である。美空は森での行動経験が少ないうえに異能で加速している分小回りがあまり効かない。対して刹那は修行でよく森に行っていて、『月下』もこのような地形での相性はいい。そのような理由から二人の距離はどんどんちじまっていく。


(くっ、このままでは逃げきれない)


美空はそう思い、刹那の行動を妨害することに決めた


「『風のウィンド・カッター』」


美空の発動した『風のウィンド・カッター』は周りの木をなぎ倒し、刹那の進路を妨害した。s会を遮ったその間に


「『天翼てんよく』」


美空の背中に可視化できるほどの風で作られた翼が形づくられ、空を飛んだ。しかし、


タタタッ


刹那は美空を見失ってはいなかった。倒れてくる木を足場にしてさらに高くまで飛び上がる。刹那は美空の行動をよんでいたのだ。


「なっ!よまれた!」

「逃がしませんよ!」


美空に刹那の手が触れる...


カンカンカン!


あと数ミリのところで鐘がなった。


「終わりだ。この勝負逃げチームの勝ちだ。負けた鬼チームは今日の鬼ごっこでの自分の課題だと思ったことを書いて提出しろ」


先生の宣言によって鬼ごっこは終了した。


「ふー、危なかったです。あと少しで捕まるところでした。刹那さん、ありがとうございました」

「いえいえ、最後のは素晴らしい戦法だったと思います」

「刹那さんには読まれていたみたいですけどね」

「私も、一か八かの賭けでしたよ」


二人で互いの健闘を称えあいながら山を下って行った。下まで降りると...


「大我のバーカ!」

「馬鹿っていたほうが馬鹿なんだよ!」

「そんな子供みたいなこといたほうが馬鹿よ!」

「なんだと!」

「なによ!」

「「グルルゥゥゥ」」


華凛と大我の二人がまだけんかをしていた。それを見た二人は


「あの二人はいつも通りですね」

「ふふっ、そうですね」


苦笑しながら二人のけんかを止めに向かった。


















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