授業の前に
模擬戦の翌日の早朝刹那は一人訓練にいそしんでいた。
いつもよりも真剣に、意識を深く研ぎ澄ませ、型の訓練を行っている。技の切れは型をなぞるごとに増していき、刹那の発する殺気が増していく。早朝なのが幸いし周囲には誰もいない、もし誰かいたら殺気にあてられて気の弱い人なら気絶しそうなほどである。
「昨日の模擬戦我ながらたるんでいましたね...制限しているとはいえ気を抜きすぎていますね。しっかりしなければなりません」
そういい、刹那は型の稽古を終え、次に目を閉じ仮想な相手をイメージし戦闘を始めた。相手にしているのは自分自身、互いに譲らない一糸乱れぬ攻防が刹那の脳内ではイメージされ体を動かす。攻撃を避け、受け流し、攻撃する。一つ一つの動作に無駄がなく、まるで一人踊っているかのような優雅な動きである。
刹那の動きが刀を突きだした状態で止まった。どうやら決着がついたようだ。
「ふぅ、引き分けですか...まだまだ、精進が足りないようですね...しかし、時間ですね。とりあえずここで終わりにしましょう」
そういい、寮へ帰っていった。
寮に帰ると大我が食堂で待っていた。優と徹も一緒のようだ。
「おーい、刹那こっちだこっち」
「一緒に朝ごはん食べよー」
「二人とも、声が大きい」
三人とも私を待っていてくれたようですね..悪いことをしました、もう少し早く切り上げればよかったかもしれません。
「お待たせしました、先に食べていてよかったのですよ」
「まだ、学校が始まるまで時間あるし、やっぱり一緒に食ったほうが楽しいしな」
大我はそう言って私をせかした。
「ありがとうございます。それでは食べなしょうか」
「うん、食べよー」
優の明るい声を合図に私たちは合掌して食べ始めた。今日の朝ご飯は、ごはん、みそ汁、卵焼き、サラダ、鮭の塩焼き...おいしそうです。四人で談笑しながら食事をしていると、
「優と徹は昨日何をしたんだ?」
大我が唐突に優と徹に話をふった。
「僕たちは昨日学校案内の後に基礎知識の確認してから異能の確認をしたよー」
「能力確認は一人一人異能を使って確認しただけだ」
二人は昨日のことをざっくりと説明してくれた。
「私たちとほとんど一緒ですね」
「俺たちは模擬戦だったけどな!」
大我が胸を張ってそういうと、優は目を輝かせ、大我に詰め寄った。どうやら模擬戦の内容に興味津々のようだ。大我にすごい勢いで質問をしている。
「すごいね!男だったら一度はあこがれるよね、異能を使った戦い!どうだった、みんなすごかった?誰が勝った?どんな能力の人がいた?ねぇねぇ、おしえて!」
本当にすごい勢いです。非戦闘系の異能だけにいっそう気になるのでしょう。大我も徹も若干引いているようです。かくいう私もほんの少しだけ引いています。
「お、落ち着けって」
「そうだぞ、周りのことも考えろ」
大我と徹にたしなめられて優はようやく落ち着きを取り戻した。優は周りを見渡して自分に注目が集まっていることがわかると、顔を真っ赤にして申し訳なさそうにおずおずと席に着いた。それを見て、私は苦笑しながら
「ゆっくり一つずつ質問していただければ、ちゃんと答えますから」
「うん、ごめんね」
そのあとは、優の質問に答えつつ朝食を食べ進めていき、全員が食べ終わり次第四人で学園に向かった。
教室につくと華凛と美空さんがすでに来ていた。大我とともに教室に入ると二人がこちらに笑顔を向けて挨拶をしてきた。
「二人ともおはよう」
「おはようございます。刹那さん、小暮さん」
「おはようございます。華凛、美空さん」
「おはよー!」
四人であいさつを交わして軽く昨日の模擬戦のことについて話し合っていると...
「お前ら、席についてるかー。ホームルームをはじめっぞー」
亜門先生が今日もけだるそうに教室に入ってきた。教卓の前に立ち私たちに今日の予定を話し始めた。
「えー、まず今日から訓練場が使用可能になる。使用許可を取ればだれでも利用できる。あと、委員会の勧誘などの活動も始まってくる、くれぐれも問題を起こしてくれるなよ」
‘以上だ‘それだけ言って先生は教室から出て行った。その直後に後ろの大我が背中をたたいてきた
「なぁ、この学園委員会なんかあるのか?」
頭が痛くなってきた。委員会ぐらいどこの学校にもあるでしょうに..それに
「はぁ、大我、入学したときに配られた案内見ていないのですか?」
「みていない!」
大我は自信たっぷりに言った。集まってきた美空さんと華凛もあきれている。
「まぁ、いいでしょう。この学園には、生徒会、風紀委員、報道委員、総務委員、図書委員、部活動委員会の六個の委員会があり、生徒会や風紀委員会は優秀な生徒から選ばれます」
「このため、毎年自分の優秀さをアピールするために決闘騒ぎなんかがあいつぐらしいですよ」
「生徒会なんかは将来、入っていればステータスになるからね」
三人で大我に懇切丁寧に教えて差し上げた。大我は『へー..』などと言っているが本当に理解できているかは怪しい、途中からアホな子の顔をしていた。
「まぁ、わからなければあとで学園案内でも見てください。さぁ、授業が始まりますよ」
「最初の授業は何だっけ?」
華凛が聞いてきた。授業を把握しないでどうするつもりだったのでしょうか?
「異能の講義ですね。教室はここですね」
「ありがとね、美空」
こうして二日目が始まった。
遅くなり申し訳ありません




