ワイルド主任とマカロン
「第一に届けに行きましょう!ユーリも一緒にね!」
リキさんに言われ
私は付与を完了した靴を持って第一へ向かう。
「第一の、ユズ様⋯⋯本当ワイルドなイケメンだから⋯⋯」
リキさんがそう言って靴を抱きしめうっとり顔
⋯⋯
靴潰さないで!!
「ん?ユズ様?」
私は聞いたことのない名前に首をかしげる
「んもー、第一の、第一班主任のユズレークス様よう!」
「ああ!ユズレークス・ローリンソン様ですね!第一班主任の!私今回初めてお目にかかるんです!」
⋯⋯あと正直長い名前はなかなか覚えにくくて。
第一の第一班主任って呼びたい⋯⋯
ここでは大抵名前呼びなんだよね。
でも偉い人は別。
名前呼びは本人から言われない限りできないよ。
私にもユーリ・イシリスという名前があるんだよ〜
でも、初対面以外はみんなユーリって呼んでくれる。
「ユズ様っ!お届けに参りましたよ〜」
第一の入り口でリキさんが声をかける。
声に応じて奥から出てきたのは、制服をサラリと着こなした、背の高い男の人だった。
背が高いだけではなく、とても筋肉質で、大きい⋯⋯
少しシャープな目元と、引き締まった顎のライン。
少し乱れた赤色の髪をワイルドにかき上げる仕草がサマになっていて、いかにも現場を仕切る
『頼れる兄貴分』
といった雰囲気のイケメンだ。
確かにローリンソン主任はワイルドイケメンだね。
これをユズ様とは⋯⋯私は呼べない⋯⋯
「おお!リキか〜!悪かったな!」
気さくにローリンソン主任は私達に微笑みかける。
しかし⋯⋯声が大きい⋯⋯
「きゃー!その笑顔反則よぉー!今、100万人のファンが倒れたわよ〜?んも〜罪な男!」
リキさんはわけの分からないことを口走って、くねくねさせてローリンソン主任を見る。
「はっはっはっ!リキは相変わらずよくわからんなっ!でも!100万人は言い過ぎだが!悪くない!」
⋯⋯
こういう人なのか⋯⋯
直接話したことはないんだよね⋯⋯
そしてチラッと私を見ると
「お!ユーリ・イシリスだな!うむ!ユーリでいいか?!」
そういって、大きな声で私の名前を呼んだ。
「は、はい。よろしくお願いいたします。こちら、ご依頼の靴10足です」
私が靴を渡すと。
ローリンソン主任は靴を手に取り確かめる。
そして満足そうに頷く。
「うむ!ユーリ!今回急に靴の付与を短納期で頼んでしまったこと。申し訳ない!とてもいい出来だ!素晴らしい!!!これをお礼に!後でみんなで食べなさい!」
そう言って、大きな紙袋を私に渡す。
「あ、ありがとうございます!」
私は頭を下げた。
「リキ!ユーリはいいな!すばらしい才能がある!第三ではもったいないぞ!うちで引き取ろう!」
え?!
いきなりの言葉に私はポカーン。
リキさんはくねくねしていたかと思ったら。
姿勢を正してニヤリと笑い⋯⋯
そして真面目な顔をしてローリンソン主任の目の前に立つ
「ユズ主任?それはできません!第三で必要な人材です諦めてくださいね?相変わらずしつこい」
そう言って微笑む。
「うむ!そうか!さすがだな!リキそれは悪かった!ユーリ!気が向いたらいつでも声をかけろ!では!仕事に戻る。またよろしくな!」
そう言って戻っていってしまった。
「あ〜ん。ユズ様っ!相変わらず素敵だわぁ〜引き際もいい!」
リキさんはニコニコして後ろ姿を眺めていた。
す、すごいキャラだった⋯⋯
「ユーリ?何もらったの?ユズ様に」
第三に戻ってくると、さっそくリキさんに、聞かれた。
「何でしょう⋯⋯」
私は、ローリンソン主任にもらった紙袋を開ける。
中には可愛らしいピンクの箱が入っていて。
それを開けると⋯⋯
「わぁっ!かわいい!」
そこには色とりどりの綺麗なお菓子だった。
「マカロンだわ!かわいい〜しかも!これ!今大人気の!!じゃない!何時間も並ぶのよぉ!しかもぉー高いのよぉ〜?」
えー!!
でも、ローリンソン主任が?!行列に並ぶ姿は想像できない!
「でも、ユズ様は大の甘党だからっ!ここのマカロンは御用達なのかもねぇ。1個いただいていい?」
リキさんの問いかけに
私は中身を取り出す。
「たくさんあるのでみんなで食べましょう〜」
⋯⋯
大の甘党なんだ⋯⋯ローリンソン主任⋯⋯
「マカロン好き〜食べる食べる〜」
ジンさんがふらふらとやって来る。
あれ⋯⋯
「ジ、ン?今来たの?」
リキさんが、ジンさんを見ると⋯⋯
ジンさんはマカロンを1個取って口にほうりこんだ。
「ん〜おいしい!」
ジンさんはもう1個手に取って、リキさんを見る
「あ〜!サーセン!さっきついて。今日はね、間に合うはずだったんすけど!出かけに⋯⋯草むらにヘビがいて。遅れました!」
えー何その雑な⋯⋯適当な言い訳⋯⋯
リキさんは呆れたようにジンさんを見る
「ジン!次遅刻したら!罰掃除よ!」
ジンさんはの~んびりマカロンをもう1つ口にいれると
「えー連帯責任すか?みんな掃除よろしくねー?」
そう言ってニコニコ笑った。
えー?!やだそんなの!
「ジン!あなただけ!トイレ掃除よ!」
リキさんはジンさんを睨みつけた。
「オレにもマカロンくれ〜いや〜傘の付与多くてさぁ。ユーリ手が空いたら手伝えよ〜?」
カズがそう言ってマカロンを食べる。
「うん。手があいたからやるよー」
私もマカロンを手に取ってパクリと口に入れた。
!!ん!?
美味しい!!これ!
まだまだたくさんあるマカロンを見て、つい顔がほころぶ。
さぁ!お仕事頑張ろう〜!




