目覚め
⋯⋯
「ここ⋯⋯」
目が覚める⋯⋯
ここは⋯⋯
⋯⋯
「ユーリ様!」
目の前に⋯⋯
「ジン⋯⋯さん⋯⋯」
ジンさんだ⋯⋯
母さんとの約束をずっと守ってくれてたんだ⋯⋯
「ユーリ様⋯⋯お目覚めに⋯⋯」
「母さんの⋯⋯記憶の夢を見たわ⋯⋯」
私がつぶやくと
「ユーリ⋯⋯いえ⋯⋯ユーリ様⋯⋯」
おじいちゃんが心配そうな顔で私を見つめて泣いている。
「おじいちゃん⋯⋯」
「ユーリ様⋯⋯カルドスとお呼び下さい⋯⋯」
おじいちゃんは私に深々と頭を下げる。
「まって!私は私のまま変わらないじゃない!おじいちゃんのままでいてほしい!」
私がはじけるようにベッドから飛び起きると。
「⋯⋯ユーリ様!お身体にさわります!」
ジンさんが慌てて私の体を支える。
「私はあなたが赤ちゃんの時から⋯⋯孫のように可愛がってきました。そのままあなたのおじいちゃんでよろしいのですか?」
おじいちゃんはそう言って私を見つめる。
「当たり前だよ!!おじいちゃん!」
私はおじいちゃんに飛びつく。
「ユーリ!!」
おじいちゃん!
「え?これ⋯⋯」
左手の手首にブレスレットがはまっている。
ジンさんが私のそばにひざまずくと
「それは、ユリーナ様よりお預かりいたしました⋯⋯ユーリ様の封印が解けたとき魔力の暴走をおさえるものとなります」
⋯⋯
私はブレスレットを見つめる。
夢で見た⋯⋯あの⋯⋯
ふっと笑みがこぼれる。
『お揃いだわ』
母さんの可愛らしい微笑みを思い出す。
「ジンさん⋯⋯今まで見守ってもらってありがとうございます。でも私はまだまだひよっこじゃないですか!ユーリ様なんて言わないでください!」
私がそう言うと
ジンさんはふっと笑った。
「そうだね⋯⋯」
遠いものを見るような懐かしい目をして⋯⋯
私を見つめ直す。
「ユーリ⋯⋯封印が解けた魔力がものすごいことになっている⋯⋯もう少し抑えられないだろうか⋯⋯」
おじいちゃんが私を見つめる。
確かに体中から魔力が湧き上がってくる。
もともと半分に抑えているにも関わらず⋯⋯
今までの何倍も大きなもの⋯⋯
私は目をつぶり⋯⋯魔力を確かめる。
そして、それを体の中へおさめるイメージをし⋯⋯
もっともっとおさめないといけない⋯⋯
大きく息を吸い込んで⋯⋯
力を込める。
⋯⋯
「こんなものでどうかな?」
2人を見ると
「⋯⋯さすがです⋯⋯いつもより若干強めでありますが収まっている⋯⋯いったい⋯⋯どれほどおさめたのか⋯⋯」
ジンさんが目を見開いて私を見た。
良かった!
「それで⋯⋯すごく長い間眠っていたのかな?私⋯⋯」
長い母さんの記憶を見続けていたので一体何日寝ていたんだろう⋯⋯
「いえ⋯⋯倒れられて⋯⋯半日も経っていないですね」
ジンさんはそう言って私を見る。
まだ、ユーリ様扱いのジンさん⋯⋯んもー。いつものままでいいのに。
と⋯⋯ん?あれ?
え?!
⋯え?まって⋯⋯半日?!
「そんなものしか時間経ってないの?!」
私は何年もの記憶をいっきに見たってこと?!
びっくり。
「でも⋯⋯おじいちゃん⋯⋯お腹すいた⋯⋯」
その瞬間
ぐぅぅぅぅ〜
お腹が大きな音を立てた。
「いただきまーす!」
私は大きな口で大好きなミートパイを食べ始める。
「このミートパイすごく懐かしい感じがする!」
私が言うと
「ユリーナ様が、良くお作りになっておりました⋯⋯」
あぁ⋯⋯夢の記憶かな?
「すっごくお腹がすいてて!」
私がパクパク食べ始めると
「封印がとけたので、いっきに記憶が流れ込んできて、お疲れになったのでは。でも、食欲があってよかった⋯⋯」
ジンさんは私の隣に立つと安心した顔をしてほほ笑んだ。
「ユーリが目覚めたこと、ギル殿にもお知らせしたのだが⋯⋯」
おじいちゃんが歯切れ悪くいった。
ん?どうしたのかな?
そう思った瞬間
ドン!!
と大きな音を立てて
うちのドアがあき。
「ユーリが目覚めただと?!封印がとうとう解けたか!」
大きな声を出して男の人が入ってきた。
「⋯⋯すぐ来ると言って聞かなくて⋯⋯」
おじいちゃんはそうつぶやいてその男の人を見た。
私はジッと見つめる。
⋯⋯頭の上がものすごく気になる人⋯⋯
なんか、あれ⋯⋯本物に見えなくて⋯⋯
でも本物かな?
イキが良すぎない?そこだけ。
どうしても気になって触りたくなってソワソワしてしまった。
私の視線に気がついたのが
「ん?⋯⋯これは!本物だからな!」
その人はそう言って自分の頭をなでた。
「ユーリはギル殿の頭頂部が相変わらず気になるんだのぉ〜」
おじいちゃんは笑う。
え?
だってねぇ。
質が違いすぎるのよ。
あ!ということは、これが母さんが作った薬の?!
え⋯⋯じゃあ、この人は⋯⋯
「!母さんと仲の良かったギルバードさん?」
私がつぶやくと。
その人はニッコリ笑って。
「その通りだよ。ユーリ!大きくなったな!」
嬉しそうに私に歩み寄ってきた。
背はジンさんより低め。
長髪の優しそうなおじ様という感じ。
「⋯⋯は、はじめまして」
私が慌てて頭を下げると。
「おいおい。赤ちゃんのころオムツ変えたりしたんだぞ〜?他人行儀はなしだ!」
ギルバードさんはそう言って私に微笑みかけた。
「あ⋯⋯はい」
「ギル殿!ユーリ様はお食事中だ」
ジンさんが、ギルバードさんにそう言うと。
「あぁ。申し訳ない!お土産のマカロンだ!うちの息子オススメの店のなんだが⋯⋯気に入ってもらえるだろうか」
ギルバードさんはそう言って
可愛い袋を手渡す。
わぁ!美味しそう!
「マカロン大好きです!ジンさんも食べてください!」
私はそう言ってジンさんを手招き。
ジンさんはうなずくと、私の横に座る。
「ひとまず、おなかを満たしてからにしなさい」
おじいちゃんにそう言われて、私は食事を再開することにした。




