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覚醒⑧

「ん⋯⋯ここは?」

目が覚めると私はベッドの上。

見回すといつもの部屋ではない⋯⋯

ここはどこ?


「ユリーナ!気がついたか!」

え?!

目の前に

「ギル?!ギルが何で?!」

私は目の前に魔界にいるはずのない友人の姿を見て驚く。

「ユリーナ。大丈夫か?」

ギルは私を見て心配そうな顔をする。


「ここはどこ?!アルは?!」

私は慌てて起き上がる。


「ユリーナ様。落ち着いてください⋯⋯」

隣にジン。

「ジン!ここはどこ?いったい何があったの?!私⋯⋯!あの時、いきなり眠らされて⋯⋯」


ジンは静かに私の話を聞くと

「ユリーナ様⋯⋯大変申し訳ございません⋯⋯わが王の指示により、ユリーナ様を安全な場所にお連れしました」

どういうこと?

私は口の中が乾く⋯⋯

声がかすれて⋯⋯

「ねぇ⋯⋯あ、アルは?」

かすれる声で尋ねると。


「⋯⋯」

ジンは静かに黙って下を向いた。


?!どういうこと?!


「ユリーナ!落ち着け!よく聞け。魔界で、跡目争いが起こった」

え?

目を見開く私の肩をギルは優しくさすると

「アルヴィス殿は⋯⋯消息不明だ⋯⋯」

え?!

な⋯⋯なんですって?!

「アルヴィス殿の弟とその臣下が王の座を奪うために反旗を起こしたそうだ⋯⋯」

え?

⋯⋯

私の脳裏にアルの弟⋯⋯優しい笑顔が浮かぶ⋯⋯

なぜ?!


「そんなの⋯⋯嘘よ⋯⋯!」

私は叫ぶと同時にベッドから飛び降りた。

「ユリーナ!?」

「ユリーナ様、いけません!」

ギルとジンが慌てて制止しようとするのを振り払い、私は扉へと向かって駆け出す。


「離して!私が行く!アルが大変な時に、私だけこんなところでじっとしていられるわけないじゃない!!」


視界が涙で歪む。

それでも、大好きな彼のもとへ戻らなきゃという想いだけで動いていた。

魔力で扉を吹き飛ばそうと手をかざした、その瞬間


――


「目を覚ませ、ユリーナ!!」

ギルが強く私を抱きすくめた。

「離してギル!アルが⋯⋯アルが死んじゃうかもしれないのよ!?私が助けに行かなきゃ⋯⋯!」

「行ったらお前まで死ぬぞ!!それに⋯⋯!」


ギルの叫び声に、ジンが固い声で言葉を繋ぐ。


「わが王が⋯⋯アルヴィス様が命をかけて守ろうとしたのは、ご自身ではありません。ユリーナ様と⋯⋯そのお腹の中に宿る、小さなお命なのです」

「っ⋯⋯!!」

ジンの言葉が、冷たい水のように頭から突き刺さった。


私はハッと息を飲み、思わず視線を落とす。


そこには、愛する人との絆である、小さな命が宿る私のお腹があった――。


「⋯⋯私⋯⋯」


「ユリーナ。座ろう。身体に触る」

ギルが私の方を支えて、ベッドに座らせる。


「ユリーナ様!お目覚めに」

しばらくすると、カルドスが戻ってきた。


「カルドス!聞いたわ!アルが⋯⋯アルが⋯⋯」

カルドスはうなずくと、私のそばに駆け寄る。

「ユリーナ様⋯⋯わが王⋯⋯アルヴィス様は消息は掴めておりませんが。何処かに幽閉された可能性もあり⋯⋯お時間かかるかもしれませんが。必ず!お探しいたします!」

「カルドス⋯⋯」

カルドスは私に優しくうなずくと

「ユリーナ様⋯⋯ここは、魔界と人間界のはざまの山奥の村。人間がなかなかたどり着くことはできない村⋯⋯魔族ももちろんのこと⋯⋯ここなら身を隠せます。あなた様も追われる身です。ここなら安心です⋯⋯」

私は窓から外を見回す。

のどかな村⋯⋯

綺麗な小川が流れている⋯⋯


「ユリーナ様が何かあったときの受け入れ先として、アルヴィス様がご準備していたのです。ギルバード様にも協力を仰いで⋯⋯」

⋯⋯そう⋯⋯なの?


私はギルを見つめる

「な⋯⋯なんで?」

「ユリーナ?わかるよな?人間と魔族だからだ⋯⋯しかもお前は人間界最強の大魔法使いだ⋯⋯」

私の肩を優しく叩くギル。


アル⋯⋯

いつも、私のことを思ってくれたの?

見回すと⋯⋯

家具も小物もすべて私好みのものだった。

「ユリーナ様⋯⋯まずは、ここで安静にして、お子を産んで、それからアルヴィス様の行方を探しましょう。ここは食べ物も水も豊富にあります。安静に過ごすことができます」


私は、カルドスの言葉にうなずくことしかできなかった。


ふと⋯⋯

私の左の薬指を見つめる⋯⋯

!!

そう!アルから⋯⋯あの時もらった指輪を見つめる。

⋯⋯輝いている。

私はそれをじっと見つめた⋯⋯

アルと私の2人だけの秘密⋯⋯

私はあの時、私の瞳の色の石の指輪を贈ったわ⋯⋯

アルは、アルの瞳の色の石の指輪を⋯⋯


アルは⋯⋯生きてるわ。

「これは、アルの瞳と同じ色の石の指輪⋯⋯アルが魔法で作って贈ってくれたの。これがこれだけ輝いているのよ⋯⋯アルは生きてるわよ!」


私がそう言うと、3人はうなずく。

きっと生きてる。必ず探しに行くわ。

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