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2/19

日用品の仕事は大切です!

「ユーリ先輩ーーーーッ!!」

バターン!!と、作業場のドアが思いっきり勢いよく開いた。


壊れるんじゃないかというくらいの勢いに、私とカズとリキさんは一斉に入口へ視線を向ける。


そこに立っていたのは、整った顔立ちを怒りで真っ赤にした金髪の男の子。


魔法学校を首席で卒業した超エリート⋯⋯そして大貴族のお坊ちゃま、ルークだ。

「朝から元気だねぇ、ルークおはよう〜」

私はにこやかにご挨拶をする。

「おはようじゃないです!! ユーリ先輩、またそんな雑用ばかり引き受けて! 先輩のその技術が無駄遣いされていると言っているんです!」

肩をすからせながら息巻くルークに、私は

「はいはい」

とお茶をすする。

「雑用じゃないよ〜。洗ってもシワにならないハンカチは、みんなの生活を豊かにする立派なお仕事ですー」

「くっ! そういうことを言っているんじゃないんです! 僕はっ!先輩がもっと評価されるべきだって!言ってるんですよ」


顔を耳まで真っ赤にしてプイッと横を向いてしまった


「あらあら〜。ルークちゃん、相変わらずユーリちゃんのことが大好きなのかしらぁ〜」

扇子をパタパタさせながらリキさんがニヤニヤと笑う。


「ち、違います!リキ主任! 僕はただ、効率の悪い作業を見ているとイライラするだけでッ! 勘違いしないでください!」

ルークが慌ててリキさんに言うと


「まあまあ落ち着けって、ルークちゃん」

カズがニヤニヤしながらルークの肩を組もうとすると、ルークは

「は?気安く触らないでください!」

とそれを払いのけた。


ルークは魔法学校の1つ年下の後輩。

ここ魔道具協会では2年目。


本当に高い魔力で、首席で魔法学校を卒業したんだ。

可愛い顔をしているんだけど。負けず嫌いなんだよね。

美男子で金髪サラサラヘアーが可愛いんだよね。

そんなこと言うと、子ども扱いしないでください!って言われちゃうかな?


魔法使いは付与だけの仕事ではなく。もっと他にもある。

私は付与士を選んだんだけど⋯⋯他には⋯⋯

治安維持・騎士団系とかさぁ。

土木・インフラ系とか

医療系とかね⋯⋯

色々あるのよ⋯⋯


付与士は結構地味。

工房でコツコツものに魔法を込める仕事が中心。

私みたいのにはピッタリの仕事よ。


でも。

ルークが付与士になるとは意外だった。

お家の家業にって思ってたから⋯⋯。

今でもなんか信じられない。


そんなことつくづく思いながらルークを眺めていると


「ユーリ先輩! 何ぼーっとしてるんですか?!それより!なんで僕が第一(特別付与)に推薦したのを断ったんですか!?」


あぁ〜!!

その事でお怒りなんだ?


この国立魔道具協会は大きく3つに分かれている。

国の要人を守る結界などを扱う、超エリートが集まる第一作業場。

研究やマーケティングを行う第二作業場。

そして、私たちがいる地味〜な日用品から色々担当の第三作業場。

ルークは学校を首席で卒業した超エリートだ。付与士になって第一作業場へ配属された。


「ユーリ先輩の技術なら、絶対第一で国のために働くべきです!」

「え〜、第一って忙しそうじゃん。あたしはここで、のんびり『シワにならないハンカチ』とか『くっつきにくいフライパン』作ってる方が性に合ってるんだよね〜」

「ハンカチやフライパンくらいで満足しないでくださいッ!!」

ルークはそう言って私を見つめる。

「ユーリ先輩。僕のお願いは聞いてもらえないんですか?」

私をじっと見つめて

目をうるうるさせる⋯⋯

うぐっ。

そんな顔して!

可愛い顔を向けてくるんだよね⋯⋯ルークはいつも。

そしたら結局ほだされちゃう⋯⋯

でも、今回は別。

第一なんか行きたくない。


「ルーク、私はあなたが思っているほどすごい魔力があるわけじゃないよ?大したことないよ。だから無理」

私はそう言ってハンカチに付与を始める。


「確かに⋯⋯魔力は僕より劣ってますけど⋯⋯でもユーリ先輩はなんか付与にしても何にしても他と違うじゃないですか!学生の時も僕にいろいろ教えてくれた時もなんか、他と違うすごさがあって⋯⋯だから一緒に第一で働きたいのに⋯⋯」

ルークはそう言うけど。

私は首を振る。

「ありがとう!でも今のところが気に入ってるから」

私がそう言うと


リキさんがルークのそばに来ると⋯⋯

「んふふ。あのねぇルークちゃん?第三は、ユーリを渡すつもりはないので。諦めなさい?ユーリは第三のエースなのよ?」

そして、ルークの耳元でコソコソ何かを話す。


すると⋯⋯

「ちっ違います!僕は⋯⋯」

ルークは真っ赤になって首を振る。


「あら。おこちゃまね?まだまだ。たまには引くことも覚えなさい?」

リキさんはニッコリ笑ってルークに手を振る。


「ユーリ先輩!僕はあきらめませんから!」


そう言ってルークは出ていった。


ん?リキさん何言ったのかな?

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