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遠征⑤

「ここが結界C地点ね⋯⋯」

結界の目の前に立つ。



半透明の大きな光の壁が、森の奥へとずーっと伸びていた。

よく見ると、あちこちに細かい亀裂が入っていて、魔力が漏れ出しているのがわかる。

あそことか結構穴が大きいなぁ。

あそこからトカゲ入ったなぁ?

なんとなく、結界に亀裂が入っているせいか、空気がよどんでいる感じがする⋯⋯


私がキョロキョロと見ていると。


「ユーリ先輩?あ。見えませんか?そうですよね。もしかして、光の壁があるとか想像してました?そうじゃなくて残念でしょ?初めての人にはなかなか見えないんですよ。この辺りに薄っすらと魔力の帯が見えるのでそこが結界になるんですよ」


⋯⋯え?

ルークにはこの光の壁には見えないんだ?

へぇ〜人によって見え方が違うのかなあ〜。

私は黙って頷いた。


「では、結界の修復をします」

ルークはそう言って結界の前に立つ。

⋯⋯んだけど。

なんだかルークの手が、少しプルプル震えているような⋯⋯?


「ルーク? 大丈夫? 足場悪かったから疲れた?」


「っ!? い、いえっ! 大丈夫です! 集中すれば一瞬ですから⋯⋯!」


ルークは慌てて首を振ると、両手をかざして真剣な顔で修復魔法を唱え始めた。


ん〜〜⋯⋯修復術って、結構時間をかけて魔力を流し込むタイプかなぁ?


でも⋯⋯この亀裂の感じだと穴の空いてる箇所にはさらなる補強を入れた方がいいかもなぁ。


私はルークの後ろからこっそり大穴の空いている箇所に魔力を送る。


その瞬間⋯⋯

パァァァ

と青白い光が結界を包む。


!やばー!ちょっと力強すぎたかな!


結界の穴は青白い光に覆われて塞がれ⋯⋯

光の壁は最初より頑丈に厚いものになった。


そして、辺りに穏やかな時間が流れる⋯⋯


「!!思ったより⋯⋯あっという間に⋯⋯できた?え?なんだ?今の力⋯⋯」

ルークは辺りを見回す。


「ルーク!すごーい!穴もなくなったし!なんかすごく立派な感じのができたように見えるよ?!すごいんだね!!すごいーい!」

私は慌ててルークの手を取ってブンブンふる。


「え?あっあ⋯⋯はい。ありがとうございます」

ルークは赤い顔をして、微笑む。

そして私の手をギュっと握りしめ

「なんか、ユーリ先輩がそばにいて、力が出た気がします!ユーリ先輩!ありがとうございます!」


えへへへ。

私の力強すぎたかな?


「はい。そこまでー!ルークちゃん、マカロン主任に連絡しなくていいのかなー?」

私達の手を離すとジンさんがルークに言った。


「あ!そうですよね!」

ルークは慌てて伝言魔法を発動させる。


「ローリンソン主任!こちらC地点です!」

『お!ルークだな!どうした?』

「C地点結界、補強完了です!」

『ご苦労!よくやった!もうすぐ日も落ちる時間が近づいている!急いで戻れ!』

「はい!承知いたしました!」

おお。ルークもそんななんだ。

やっぱり体育会系だ!


「あれ?ねぇ⋯⋯ローリンソン主任ってだれ?」

隣でジンさんが呟く。

ん?だれだっけ⋯⋯


あ!

「マカロン主任の本名ですよ!」

思い出したように私がジンさんに伝えた。


あはは。もう忘れてた。


私達は結界C地点をあとにした。

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