遠征③
「ちょ⋯⋯先輩!その手に持ってる短剣!なんなんですか?!そんなの持ってました?」
早朝支度を終えて馬車に乗り込んだ瞬間。
ルークがいきなりそう言ってきた。
「朝から騒がしいやつだなぁ」
眠そうにあくびをしながらジンさんがつぶやいた。
わ!ジンさん!遅刻してない⋯⋯
私は朝なのに時間通りにいるジンに驚く。
ルークは私の前に座ると私の短剣をじーっと見つめてから私を見つめる。
その眼力が強くて⋯⋯そんな見ないでよ⋯⋯
「この短剣は護身用にもらったんだ〜昨日みたいなことあった時に、さすがに木の枝だと困るからね」
私がさらっと答えると⋯⋯
ルークは気に入らなそうに答える。
「もらった?!誰に?」
えーつっかかるなぁ⋯⋯
どうしたのかしらルークは。
「あージンさんにもらったんだ〜」
私が答えると、ルークは目を見開く
すると、私の横にいたジンさんがの~んびり口を開いた。
「ん〜?うちの家宝、余りまくってるからさ〜いい機会だし護身用にあげたんだよね〜」
すると⋯⋯
「おぉ?!なんと!ジンの家宝だと?!ユーリ見せてみろ!」
ルークの隣のマカロン主任が手を差し出てきたので、私は短剣を渡す。
「おお!これは!すばらしい!!いいものだ!しかも!小柄なユーリにもちょうどいい大きさ!軽いし!まるで!ユーリ専用だな!
ぬ?⋯⋯いい性能もついてるようだ⋯⋯」
マカロン主任は短剣をじーっと見つめる。
⋯⋯ドキ!
使いやすそうで、ちょっといい気になって付与とかつけまくったのバレたかな?
分からないような見た目にしたんだけど⋯⋯
「⋯⋯錆止め、刃こぼれ防止はもちろん!威力アップもあるようだな⋯⋯。うむ!すばらしい!さすが家宝!きっと、実際使うと信じられないような効力もありそうだな!良い剣だ!ユーリ大切にしろ!」
マカロン主任はそう言って、短剣を私へ返す。
「ありがとうございます!」
私はそれを受け取ると制服の腰のバンドのところに差した。
うん!ちょうどいい!
制服に剣って、なんかかっこいい!
国立魔道具協会は制服が支給されてて、男女共にお揃いなんだけど、男性はズボン、女性はスカートとなっている。
あとは、
第一、第二、第三で、手首と、スカートの裾の色が違う。
私達第三は裾が赤。ルーク達の第一は白。
ちなみに第二は黄色。
腰に差した短剣は昨日色々いじくり回して、自分仕様にしちゃったけど。これ、本当にいいものだった。
もともと錆止めとか刃こぼれ防止とかついてたんだけど。
多分⋯⋯元々の仕様で⋯⋯全ての攻撃を風にして跳ね返す付与がついていたの。
さすが家宝だよね!
本当に凄い剣なの。
だから追加で、跳ね返す時に倍の威力の炎となって跳ね返すように追加しといたんだ〜。
ふふふ。良い短剣になりました★
だけどジンさん⋯⋯こんなのが余りまくってるってどんな家なのよ⋯⋯
私はジンさんをちらっと見た。
ジンさんは眠そうにあくびをしている。
すると突然黙っていたルークが
「ユーリ先輩!家宝ならうちにだって沢山あります!今度プレゼントしますから!」
えー⋯⋯
ルークんちのなんか貰えないよ⋯⋯
あんな大金持ちのことのなんかすごいの出てきそう⋯⋯持ち出し禁止だよきっと。
もらったりなんかしたら泥棒って追われちゃうかも⋯⋯
「えー⋯⋯いいよぉ。ルーク⋯⋯家宝なら人にあげたらだめだよ?」
私が言うと
「なら!ジンさんのも!貰うわけにはいかなくないですか?!」
ルークがそう言って私を見る。
えー⋯⋯それは⋯⋯断ったけど⋯⋯結構、軽くくれちゃったもんだから⋯⋯
私がとまどっていると。
「やかましいなぁ〜ルークちゃん。いいのそれは。家宝だけど俺の所有物だから。俺が何しようと自由なの。お前ンとこのは家の家宝だろ?お前が自由にできないんだから。人にあげたらだめなんだよ」
ジンさんはそう言うと。
またあくびをして、ウトウトと居眠りをし始めた。
「なっ!でも!僕にだって⋯⋯」
ルークはそう言って悔しそうに黙り込む。
「はっはっは!ルーク!家宝は大切にしろよ?!」
マカロン主任はそう言って、ルークの肩を叩いた。
その後は何事もなく馬車は進んでいく。
昼頃になったころ。
マカロン主任は一旦馬車を止めて、皆を外に出した。
「皆!聞いてくれ!」
1台目の馬車にはマカロン主任と私とルーク、ジンさんの4人
2台目には、第一のマカロン主任の班の人が5人乗っている。
「皆!聞いてくれ!この先、結界の補強に行くが。本当はこの先の村でひと休みして、翌早朝に結界の補強をし帰還の予定だった!」
マカロン主任はそう言って皆を見回す。
「しかし!昨日魔物が出たこともあり!本日このまま結界の補強に行く!その後村で一泊、翌早朝帰還とする!何か意見があるものはいるか?」
「「問題ありません!」」
おわ!
私とジンさん以外の皆さんの声がハモった。
「では、馬車に乗り込み現地へむかう!時間も限られている!急いで向かう!」
マカロン主任の掛け声とともに皆馬車にもどり
馬車は出発した。
わーなんか、第一って、すごい体育会系だ。
でも、3班くらいに分かれているはずだから⋯⋯
他の班はどんななのだろうか⋯⋯
第三は結構どの班もほのぼのしている感じなんだけど⋯⋯
本当に部署によってちがうんだなぁ。
私はスピードをあげる馬車の外をぼーっと見つめていた。




