表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/25

第十七章『蒸気の時代を迎える王』

## 第十七章『蒸気の時代を迎える王』


篤史は南方諸国の報告書を閉じた。


そこには蒸気機関の研究が記されていた。


---


だが篤史は知っていた。


蒸気機関そのものより重要なものがある。


---


「運用知識だ」


---


発明より難しい。


---


維持管理。


---


安全。


---


教育。


---


規格。


---


これがないと事故だらけになる。


---


その夜。


篤史は久しぶりに「本星購入」を行う。


---


購入したもの。


---


・石炭蒸気車設計図


・蒸気ボイラー保守本


・排気改善技術書


・騒音低減技術書


・振動対策技術書


・石炭採掘技術大全


・坑道安全管理書


・炭鉱換気技術書


・労働災害防止技術書


・森林保全と植林技術書


・鉄道保守技術書


---


山のような知識だった。


---


翌朝。


王妃エレナが驚く。


---


「また本が増えています」


---


篤史は苦笑した。


---


「今回は国ごと変わるかもしれません」


---


## 蒸気技術院設立


まず王国に作ったのは工場ではない。


---


学校だった。


---


蒸気技術院。


---


鍛冶師。


大工。


鉱夫。


職人。


技術者。


---


全員を教育する。


---


篤史は知っていた。


---


技術は人が使う。


---


人が育たなければ技術は事故になる。


---


## 炭鉱安全法


次に制定された法律。


---


炭鉱換気義務。


---


避難路二重化。


---


坑道地図管理。


---


定期点検。


---


児童労働制限。


---


王国の鉱山主達は驚いた。


---


「まだ事故も起きていないのに?」


---


篤史は答える。


---


「起きてからでは遅い」


---


## 植林百年計画


さらに篤史は別の問題を見ていた。


---


蒸気時代。


---


大量の木材。


---


大量の炭。


---


結果。


---


禿山。


---


前世の知識が警鐘を鳴らしていた。


---


そこで王命。


---


伐採一本。


---


植樹三本。


---


国有林創設。


---


苗木育成所設立。


---


山岳管理局創設。


---


王宮は驚く。


---


「まだ森林は十分あります」


---


篤史は首を振る。


---


「禿山になってから植えても遅い」


---


これはノグランル時代から変わらない。


---


問題が起きる前に直す。


---


## 蒸気車試験運行


十年後。


---


空覚王国初の蒸気車が完成する。


---


黒い鉄。


---


白い蒸気。


---


巨大な車輪。


---


人々は驚いた。


---


「馬がいない!」


---


「煙を吐いている!」


---


子供達は大喜びした。


---


だが篤史が見ていたのは別だった。


---


騒音。


---


振動。


---


燃費。


---


整備性。


---


部品交換。


---


全て記録する。


---


試験運転は三年続いた。


---


そして改良。


---


また試験。


---


また改良。


---


その結果。


---


事故率が極めて低い蒸気車が完成する。


---


## 王国標準蒸気規格


ここで篤史は再び得意分野へ入る。


---


規格統一。


---


ボルト。


---


ナット。


---


配管。


---


圧力計。


---


車輪径。


---


全て標準化。


---


職人達は笑った。


---


「また陛下の規格病だ」


---


しかし十年後。


---


その規格が王国を支える。


---


どの工房でも修理可能。


---


どの都市でも保守可能。


---


どの炭鉱でも部品供給可能。


---


## 二百六十年目の空覚王国


かつて通信塔を作った国は、


今や蒸気の煙を上げていた。


---


炭鉱は安全になり。


---


森林は維持され。


---


道路は広がり。


---


物流は何倍にも増える。


---


外国の使節は驚く。


---


「なぜ蒸気時代なのに混乱が少ない」


---


王国の役人は答える。


---


「陛下が事故の本を先に読んだからです」


---


もちろん本当の意味は誰も知らない。


---


篤史は夜、王宮の窓から蒸気車を眺める。


---


義肢職人。


王子。


王。


---


何度姿が変わっても考え方は同じだった。


---


壊れてから直すより、


壊れないようにした方が安い。


---


その思想は蒸気の時代になっても変わらず、


空覚王国を次の時代へ押し上げていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ