第22話 H20 刺傷後!ギャル探偵の初公判、鬼畜弁護士が陳述書1分!「明日は9時に遅れるな」
H16 刺傷後。
「スズカさん、デニスさん、2日も様子がおかしいよ。病気かな?」ミコが聞いた。
「私もそう思ってた。でもデニスさんって、何か考え事あると黙り込むから」
「ラッキー、この部屋が静かになって」アキオがボソッと言った。
H18。デニスは自身の刺傷事件について検察官に会いに行った。いくつかの書類を渡した。
H19。デニスは基地に帰らなかった。彼は事務所で徹夜し、キモチの執行猶予の提案書をまとめていた。
H20 刺傷後。
「スズカさん、朝っぱらからデニスさん、すごく忙しそうだった。車に書類をたくさん積み込んでたよ。何してるんだろう?」
「うーん、また大きい事件を担当してるんじゃないかな。人のプライバシーには踏み込みたくないし。デニスさんと一番近いのはロジャリ先生だけだよ」
「先に朝ごはんにしよ、ミコちゃん」
「この後、まだ使いこなせてないプープスキル、練習に付き合うから」
ピッ!ミコがテレビをつける音。
NHK生中継「本日、刺傷事件の被告人キモチ・スガの初公判を生中継でお送りします。キモチ・スガは有名なギャル探偵。そして被害者は、近年再び名を馳せている伝説の弁護士、福デニスです」
「スズカさん!見て、デニスさんがテレビに出てる!」
キモチ・スガ第一回公判。法廷には報道陣が数名いた。
09時00分 キモチが拘置所の服で入廷する。手錠が外された。深々と頭を下げた。
09時05分 「被告人キモチ・スガ、被害者を刺した事を認めますか」
キモチは泣きながら言った。「はい、裁判長。出来心でした」
09時10分 「検察側は、懲役3年、執行猶予5年を求刑します。被害者は寛大な処分を望んでいます」
法廷はざわつき始めた。検察の判断に納得がいかず、少し騒然となった。
09時15分 デニスが陳述書を1分間読み上げた。法廷はシーンと静まり返った。
「私たちNPO法人デニス・ロー&ジャスティス『金なき者に法を』は、2024年に法務省に登録された非営利団体です。主な活動は、冤罪被害者、外国人労働者、貧困層への無料法律扶助です」
「殺人未遂事件につき、被告人キモチ・スガと被害者である私デニスに関し、当法人にて社会奉仕活動を執行猶予の条件として課す事を提案します」
「被害者として、私は裁判長へ嘆願書を提出しました。被告人を許し、刑務所ではなく更生の機会を与えるよう求めます」
「被告人は業界の圧力による重度の鬱と、将来への絶望から罪を犯しました。刑務所は根本原因を治せません。社会に直接貢献する事こそ、最良の償いです」
「被害者として、被告人が本当に更生するか見届ける個人的な責務があります。1対1の監督は、刑務所より効果的です」
「被告人は調査スキルと発信力を持ちます。この力をプロボノに振り向ければ、弁護士費用を払えない貧困依頼者を年間50人以上救えます」
09時20分 「被害者は既に許し、社会への貢献で罪を償う事を望んでいる。裁判所は、正義とは刑務所だけではないと信じる。主文、懲役3年、これを5年間執行猶予とする。条件として、国の監督下、NPO法人デニス・ロー&ジャスティスにて300時間の社会奉仕活動を命ずる。被害者の信頼を裏切れば、直ちに収監する」
トン!裁判長が木槌を叩いた。法廷はワッと沸いた。
09時25分 「判決は以上の通り。条件付きで本日釈放とする」
09時30分 閉廷。キモチは釈放され、すぐに着替えてデニスと共にNPOへ向かった。
キモチはデニスの優しさに、涙を流して俯いた。
デニスはキモチに歩み寄り、肩をポンと叩いた。「明日は遅れるな、事務所で9時に待ってる」
スズカがミコに味噌汁をよそった。
一緒に朝食をとるミコが言った。「スズカさん、今朝の味噌汁、いつもよりしょっぱいよ」
「えっ、なんで?」ミコはスズカが泣いているのを見た。たぶん、涙が味噌汁にポタポタ落ちて、しょっぱくなったんだ。
「うわああああ、デニスさん、優しすぎるよミコちゃん」
「うん、私もそう思う」ミコは感動して、鼻水をズズッと啜りながら答えた。
H21 朝9時。
ピンポーン、デニスさんのNPO事務所のベルが鳴った。
「おはようございます、デニスさん」
「おう、お前か。入れ、みんなに紹介する」
「みんな、新しい仲間を紹介する。キモチ・スガだ」
「皆さん初めまして!キモチ・スガです、よろしくお願いします!」
「じゃあ今からロジャリ先生の所へ行く。俺の仲間を紹介するよ」
ロジャリ先生の基地へ向かう、デニスさんの古い車の中。
「あの、デニスさん、なんで私を助けてくれたんですか?私はあなたに酷い事をしたのに」
「俺はな、長い間、真っ暗な場所で生きてきた。だがこの目で、暗闇の中でも、誰が悪人で誰が善人か見分けられるんだ」
「ごめんなさい、あなたの事を尾行してました。お墓参りの時まで……」
「おや?全然気づかなかったぞ。もしかして君、忍者か?探偵に向いてるな」
「君は、亡くなった妻と娘を思い出させるんだ。笑顔がそっくりでね。『キモチ』って姓を聞いた時、妻の香織の先祖を思い出した。香織は言ってた。自分がいつも明るいのは、先祖代々の影響かもしれないって。話によると、先祖は平安時代に伝説的な旨い酒を造ってたんだ。昔の有名な歌人たちは、キモチ家の酒の旨さに美しい和歌を詠んだそうだ。だが、その秘伝の酒のレシピは、香織が生まれる2代前で後継者がいなくて途絶えたらしい」
キモチは呆然とした。まさか自分の変な姓の由来を知ってる人がいるなんて。
「わあ、うちの変な姓の由来を知ってる人がまだいたんだ」
「11歳の時、祖母が亡くなる前に、あの酒の作り方を教わったんだ。レシピもまだ持ってる。いつかデニスさんに作ってあげるよ」
「本当か?」デニスさんが聞いた。
コクン。キモチは頷いて返した。
ガチャ!ロジャリ先生の基地、集会室のドアが開く音。
「よお!新しい仲間を紹介する、美人探偵だ」
「初めまして、キモチ・スガ、21歳です、よろしくお願いします!」
「ごめん、キモチちゃん、話の途中悪いんだけど」アキオが言った。
「ロジャリ先生、北千住にある先生のアパートの隣人、リチャードのPUMPグループと繋がってる可能性があります」
ロジャリはミコの方を見た。「お前、プープスキルの出番だ。準備はいいか?」
「はい、先生!」ミコは世界を救う兵士のように答えた。
第22話、公開しました!
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私、キモチはもう刑罰から解放してあげました。今度は皆さんが、私を日給250円から解放してくれる番ですw
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それでは、第23話でまた明日お会いしましょう!
2026年6月27日 Trowy




