第10話:巨乳と喋る鼠、そしてロジャリ先生の秘密研究所に狙撃弾!
シュー……
ミコの口から威嚇の吐息が漏れる。体は満身創痍だというのに、気絶しているノラとナナを庇うように立ちはだかっていた。
ミコの前に、若い女が現れる。白衣を着た、新型の神乳タイプの巨乳だ。
ポンッ!
神々しい二つの山の間から、白い小鼠が飛び出した。続けて、山の持ち主へ向かってか細い声が聞こえる。「スズカ、早くそのヤモリに注射して」
ミコは抵抗できない。抵抗どころか、痺れた体を動かすことすら難しい。ミコの目はゆっくりと閉じ、世界は闇に沈んだ。
ブクブクブクッ!冷たい!
「体が沈んでいくみたいだ」ミコはそう呟きながら、ゆっくり目を開けた。
「やっとお目覚めか、ガキ!」厚いガラス製の水槽の外から、白い小鼠が言った。
「あらあら、ヤモリちゃん起きた?」神乳の女が言う。
ミコは研究室の中を見回した。「まずい。俺達、こいつらに実験台にされる気だ」
ドクン!ミコの動きが止まる。実験台の上の小さな写真を見つけたのだ。「ロジャリ先生?」三人が写っている写真。その中にロジャリ先生がいた。
コンコン!神乳の女がミコの回復槽を叩く。
「もしもし、ヤモリちゃん。ヤモリちゃん!」
ミコの目はまだその写真に釘付けで、神乳の呼びかけを無視している。
神乳の女の視線が、ミコの見ている先を追った。「あ、ロジャリ先生」彼女はすぐに実験台からその写真を手に取り、ミコに見せた。
「これ、私が大学生の頃に先生の研究助手だった時の写真なの」
「左が私、真ん中がロジャリ先生、右がアキオさん」
ピッ……ミコの回復過程を観察するモニターの表示音が鳴った。
「やった、ヤモリちゃん、もう出られるよ。ちょっと待っててね」神乳の女はミコを回復槽から出した。
優しい手がミコの体を拭いていく。
「チッ」研究室内でパソコン画面に夢中になっていた初老の男が、嫉妬に満ちた舌打ちを漏らす。ミコを睨みつけた。
「ははは、どうしたんだいアキオ?」人語を解する白い小鼠が、皮肉っぽく初老の男――アキオに尋ねた。
「チッ!黙れ、ネズミ」アキオが不機嫌に舌打ちを返す。
ミコは黙り込む。人語を話すネズミがいることに。
神の山の女は、ミコの体を拭き終わると実験台の上に置いた。
「紹介するね。私は山田スズカ。白いネズミはマオゼウ。あそこにいるのが教皇楼アキオさん」スズカがミコに言った。
「おいヤモリ、黙ってないでスズカに何か話しかけろよ」ネズミが言う。
「ゲコゲコゲコ」その鳴き声だけが彼らの耳に届いた。
「ヤモリちゃん、まだ発声の進化をしてないみたいだね、マオゼウ君」スズカがマオゼウに言った。
「ロジャリ先生が言ってた通り、彼は脳の進化をしてからまだ日が浅い。たぶん一、二週間でスズカと普通に会話できるようになるはずだ」マオゼウが答える。
だが動物同士、ミコとマオゼウは言葉が通じていた。
「こいつが言ってる。『あなた達はロジャリ先生の何なんですか?ここはどこですか?ナナと昨日の黒猫はどこにいますか?』って」マオゼウがスズカに伝えた。
「ああ、ナナちゃんとノラちゃんは地下の訓練室で鍛錬中よ。今あなたがいるのは、東京にあるロジャリ先生の中央研究所」スズカが答える。
「二人の怪我はそんなに酷くなかったから、先に意識が戻ったの」
「私達はロジャリ先生の仲間。一週間前に先生と連絡が取れなくなって、北千住の先生の家に警察が来たっていう信号を先生のパソコンから受信したの。すぐに全ての監視カメラをハッキングして探したら、あなたの居場所を見つけた。先生から『ヤモリちゃんに会え』って言伝があったの」
「でも私達が遅くて、見つけた時にはもうボロボロで……てへっ!」スズカは可愛くポーズを取りながら、自分の頭を軽く小突いた。
「先生がね、私達の超高性能サーバーにある先生の秘密データの暗号コードを、ヤモリちゃんにだけ託したって言ってたの」
「あ、そうだ、思い出した。N7ut703n9@&GH」
パリン!
実験室のガラスが、時速120キロの狙撃弾に撃ち抜かれたかのような音を立てて割れた。外から飛んできた黒い弾が研究室の壁に突き刺さる。しかしその黒い弾は、毛虫のようにうねうねと動いていた。
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作者からお知らせ
スズカ、デビュー回いかがでしたか?
「神乳サイコー」「マオゼウ生意気」「アキオ嫉妬乙」
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ブクマ1つで次回、スズカとミコの絡みが増えます。
ブクマ10個でミコが人語を喋ります。
次回:第十一話「壁に突き刺さる黒くて脈打つナニカ」
お楽しみに!
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