お披露目っ!世界のロケット群っ!
そうこうしている内に今年も『べろんべろん祭』の季節がやって来た。それぞれ33の地区では打ち上げるおちゃけとロケットの準備も整い、後は巫女の神事開始の号令を待つだけである。
そして打ち上げ当日、会場となった県営運動公園のサッカーグラウンドでは観客が降り注ぐ甘露をその身に浴びようと溢れんばかりに集まっていた。
ではまず祭事の前に参加する手製ロケットの紹介をしておこう。
で、先に言った埼玉県秩父市の椋神社 (むくじんじゃ)にて毎年行なわれているらしい『龍勢祭 (りゅうせいまつり)』にて打ち上げられるロケットは、まぁ言ってしまえば市販されている安定用の棒が付いているロケット花火を大型化したようなもので推進システムは確かにロケットなのだが見た目はしょぼい。いや迫力はあるんだけどね。
だが、『べろんべろん祭』のロケットは見た目もまさにロケット然としたものだった。
何故ならば未だ世界で7ケ国しかないと言われている1t以上のペイロード打ち上げ能力を持つロケットを開発した国からの全面的なバックアップを受けて、それらのロケットを模して造られているからだ。
まっ、これは各国とも自国のロケット技術を神様にアピールするという意図から協力しているらしい。うん、さすがは神様である。宗教の影響力は絶大だな。
で、そんな宇宙開発『ビック7』と呼ばれている国と、その代表的なロケットは次のようなものだ。
開発国:ロシア
ロケット名称:ソユーズ
コメント:これぞ宇宙ロケットの覇王っ!初飛行から60年近く経つのに未だに現役っ!←細かい改良は施されています。
開発国:ロシア
ロケット名称:アンガラ
コメント:プロトンロケットの後継機として開発されたが、ロシアが財政難の為打ち上げ実績はまだ少ない。
開発国:米国
ロケット名称:サターンⅤ
コメント:今ではスペースシャトルの方が有名だが、あれはロケットっぽくないので神様からリテイクを喰らい、祭事ではアポロ計画で使われたこちらのロケットが選ばれたという経緯を持つ。
開発国:米国
ロケット名称:アトラス
コメント:実は元を辿ると大陸間弾道ミサイルタイタンの採用により余剰となったアトラスミサイルの流用改造版だったりする。
開発国:日本
ロケット名称:H-ⅡB
コメント:H-Ⅲも実用化されたが実績としてはこちらがまだまだ上。
開発国:日本
ロケット名称:イプシロン
コメント:日本が世界に誇る最新固形燃料ロケットっ!
開発国:欧州
ロケット名称:アリアン
コメント:欧州宇宙機関が開発したロケット。でも打ち上げ場所は南米の仏領ギアナだったりする。
開発国:ドイツ
ロケット名称:VⅡ
コメント:宇宙には飛び出せないけど、積載可能重量性能は1tもあるっ!
因みに協賛しているのはドイツ宇宙旅行協会だ。
開発国:中国
ロケット名称:長征
コメント:ロケットエンジンはソユーズのコピー改良版だけど、それだけに安定した実績を挙げている。
開発国:インド
ロケット名称:LVM3
コメント:これまた技術的にはソユーズの流れを汲んでいる。そしてこの前、月まで飛びました。
開発国:韓国
ロケット名称:ヌリ
コメント:これまたソユーズの発展型だが、一応韓国の独自開発という事になっている。
エンジンの設計図はウクライナ経由でパクったと噂されているが、それで造ってしまえるだけの技術力はあるのだ。
因みにドイツのVⅡはとある地区の総代がそっち系のマニアだったのでそれを模しているだけで、トイツ国政府は協賛していない。
まっ、当然だわな。だってVⅡって宇宙ロケットではなくミサイルだもの。
また、これら以外にも新興のスタートアップ企業が協賛しているロケットもあるのだが、今回はおいておく。
以上が主だったロケットの概要だが、地区が打ち上げるロケットはこれらの名称と外見を模しているだけで中身は全くの別物だ。
そもそもサイズが全然違う。実際のロケットはとても大きいのである。因みにどのくらいなのかを実感したければ『栃木県子ども総合科学館』にH-Ⅱロケットの実物大模型が展示されているので訪ねてみては如何だろうか。
で、これら本物のロケットは日本のイプシロンを除けば全て液体燃料ロケットである。それに対して地区が打ち上げるロケットは殆どが固体燃料ロケットだ。つまり大きな花火である。←一部の地区は液体燃料に挑戦しているが燃料の燃焼制御が難しいようで苦戦している。
まぁ、だからと言って固体燃料が簡単かと言うとそんな事は無く、材料の配合を間違えると着火した途端にドカンとなりかねない物騒なものなのだ。
因みに燃焼を伴わないロケットも原理的には可能で、よく知られているモノに『ペットボトルロケット』がある。←作用・反作用の原理である。
これならばある程度広い場所があれば小学生でも打ち上げられるので挑戦してみるのも一興だろう。
うん、うまく飛べば60mくらいまで駆け上る場合もあるそうだ。
だが、さすがにペットボトルロケットでは400リットルものおちゃけは持ち上げられない。
なので各地区はそれぞれが積み重ねてきた経験を用いて燃焼薬を配合し、噴出ノズルの形状を試行錯誤しながらおちゃけを神様の下に届けるのである。
更に言うと、神事で使われるロケットは全て無誘導だ。つまり何処に飛ぶかは神のみぞ知るなのである。
だが、ロケットを飛ばす目的が神様へのお神酒の奉納なので本番で明後日の方向へ飛んでしまったロケットは今の所皆無との事だ。つまり加護があるのである。
と、ロケットの説明も済んだので次からは漸く神事の状況を見る事にしよう。




