魔術書グリモワール
この話数以降は推敲が済んでいないので会話文だらけになります。
うん、私って会話文を書いてから、後で地の文を付け足すスタイルなので見切り発車させるとこうなります。
なので状況がどう変わったとかは判り辛くなっているかもしれませんが、そこは各自で補正して下さい。
だが、恋菜は『魔術書グリモワール』を数ページぺらぺらしただけで本を閉じた。何故ならばそこに使われていた文字は『古代ルーン文字』だったので恋菜にはちんぷんかんぷんだったのだ。
しかしスケジュール表の方は普通に日本語表記だったので、恋菜はそちらを念入りに読んだ。
そして一番下の欄に緊急時の連絡先として、先にコロンディーナが言っていた『ポチ』の名前と召喚呪文を見つけた。
なので恋菜は物は試しとポチを呼び出す事にした。因みに召喚用の呪文は次のようなものだった。
「エロエロエッサイム、我は求め訴えたり!ここ掘れ、わんわん。いでよ、ポチっ!」
呪文の終了と共に恋菜の周りにポルターガイスト現象が始まる。具体的には突然現われたひまわりの花の玩具が勝手に踊りだし、カラクリ仕立ての茶運び人形がカラカラと音を立てながら空の湯飲みを運んできた。
更にはどこからともなく3Dマッピングが投影され、如何にも悪魔が召喚されてきそうな雰囲気を作り出した。
だが、そんな演出も次の瞬間ぱたりと消える。そしてそれらが消えた後には礼服を着込み手入れのゆき届いた白いお髭がチャームポイントな初老の男性が、右手を胸に左手を後ろ手に回して恋菜に向かって礼をしていた。
そしてその男性は恋菜に向かってこう言った。
「呼ばれて、飛び出て、ジャンバルジャ~んっ!お呼びですか、ご主人様。」
「えーと、もしかしてあなたが『ポチ』?」
「はい、私こそが異世界にて大魔王を倒した偉大なる勇者・・、一行のパンツを洗っていた洗濯屋ケンちゃん。しかしその正体は異世界転生・転移のポンコツ女神『コロンディーナ・コロンデール』様付きの執事でございます。」
「最初の説明いる?」
「所謂掴みというやつでございます、恋菜様。」
「あら、私の名前を知っているのね。」
「はい、時々某素人小説投稿サイトで白い獣日記を読ませて頂いていますので。」
「それは別人だと思うのだけど・・。まぁ、いいわ。で、あなたを呼んだのはこの説明書の内容を説明して貰いたいからなの。」
「かしこまりました。えー、では取りあえずあらすじだけさらりとご説明しましょう。」
「説明書にあらすじがあるんだ・・。」
「その時、白い獣は窓科に向かって勧誘の言葉を囁いた。『ねぇ、窓科。僕と契約して、派遣社員になってよ!』」
「『魔法少女窓科マジカ』のパクリかっ!」
「あっ、申し訳ありません。これは電話による勧誘詐欺防止対策ページでした。因みに息子を装い電話をかけてくるオレオレ詐欺に関しては、家族内で符牒 (ふちょう)を決めておくと騙されないとのアドバイスが載っています。」
「『魔術書グリモワール』って、そんな事まで載っているんだ・・。」
「まぁ、勧誘詐欺は言葉の魔法みたいなもんですからね。後はお豆腐を焼肉の味にする魔法や、麦茶をビールみたいな見た目にする魔法も書かれています。」
「それは別に魔術書でなくてもネットを探せばありそう・・。」
「後、書かれているのはポンコツ女神様が今まで担っていた雲関係の仕事の種類と管理方法とかですね。でもこれはつまらないから別の話をしますか。」
「いや、それを聞きたくてあなたを呼んだんだから教えてよ。特に報酬のおちゃけ関係の事を詳しく聞きたいわ。」
「えーと、例えば?」
「おちゃけは飲み放題って聞いたのだけど、どこにあるのよ?」
「ああ、そっちですか。それは詠唱すれば天国の酒蔵から指定したおちゃけが転移魔法にてお手元に届きます。ただおちゃけの種類ごとに呪文と作法が違います。例えばウイスキーの場合は、中指を立てて『ヘイ、マスターっ!今日を生き抜いた喜びを味わえる燃える水をツーフィンガーでプリーズっ!』と唱えた後に指をパチンと鳴らせばグラスに入ったウイスキーが手元に出現します。」
「ダウトっ!」
「あれ?引っかかりませんでしたか。さすがは恋菜様。百戦錬磨の酒豪ですね。」
「酒豪は関係ないっ!と言うかそんなこっぱずかしい頼み方、ハードボイルド小説でも出てこんわっ!」
「ハードボイルドですか・・。でもなんでハードボイルド小説の主人公って探偵とかスパイが多いんでしょうね?」
「知らんっ!でもレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説『プレイバック』に登場する探偵フィリップ・マーロウはバーボンウイスキーを飲む描写がよく出てくるわ。」
「バーボンねぇ。そう言えばバーボンの原料ってトウモロコシなんだそうですよ。日本酒はお米だし、ワインは葡萄。それらってそのまま食べても酔っ払わないのに、発酵させるとおちゃけになっちゃうなんて不思議ですよねぇ。」
「私に聞かないでよ。私はおちゃけは飲むけど、それがどうゆう原理でどうやって造られているのかなんて事には興味がないの。だっておちゃけは神様が一生懸命働いている私に恵んでくれるご褒美だからっ!なので元がなんだろうと気にしちゃ駄目なのよっ!」
「ははは、それもそうですね。ではおちゃけでも飲みながら恋菜様にやって頂くお仕事の説明をしましょう。」
そう言うとポチは指をパチンと鳴らす。するとふたりの手元にダブルフィンガーのウイスキーとロックアイスが入ったグラスが現われた。
それを見た恋菜は恨み顔でポチに文句を言う。
「あなた私をからかったわね?呪文なしでもおちゃけを呼べるじゃないっ!」
「恋菜様、これは私ほどの熟練者なればこその高度な無詠唱召喚なのです。まぁ、恋菜様もいずれは修得できると思いますが、まずは基本を覚えて下さい。」
ポチの何か上からの物言いに恋菜は少しカチンときたが、言っている事に筋は通っていると思いこれ以上文句を言うのを止めた。
と言うか、恋菜としてはそんな暇があったら手元に現われたおちゃけを早く飲みたかったのだ。
「えーと、これはもう飲んでもいいのかな?」
「どうぞ、どうぞ。更に何かリクエストがあれば現存するおちゃけならば大抵のモノはご提供出来ます。」
「おーっ、すごいっ!でもなんで現存なの?」
「それは長い年月の間に失われてしまったおちゃけもあるからです。例えばギリシャ神話にてオリュンポスの神々の食事にて供される不老不死の霊薬との噂もある神酒、『ネクター』などはご用意するのは無理ですから。」
「あー、確かに。今はネクターと言ったら桃のピューレを使った不二家の果肉飲料の事だもんね。」
「ですが、現存するものでしたらどのようなおちゃけでもご用意できます。例えばロマネ・コンティなどは如何ですか?」
「マジかっ!ロマネ・コンティって言ったら一杯数十万って言われているワインじゃないっ!」
「らしいですね、でも毎年生産者から数本、神への贈り物として奉納されますからワイン庫に沢山ありますよ。」
「ロマネ・コンティがボトルでごろごろ寝かされているワイン庫って・・。しかもそれはタダで貰ったものだなんて・・。うわ~、神様っていい商売なのねぇ。」
「ははは、農作物には水が欠かせませんからね。そして大地に水を供給するのは雨であり、雨の元は雲ですから。なので雲を管理する者が農業従事者から敬られるのは当然と言えば当然です。」
「うわ~、そんな責任重大な仕事、私に出来るかしら。」
「細かなところは下々の天使たちがやりますから、上司である恋菜様はどんと構えていればいいだけです。まっ、何かあった場合は詰め腹を切らされますけどね。でもそれが責任者というものですから。ははは。」
「何かさらりと危ない事を言われた気がする・・。」
その後、恋菜はポチから仕事内容と関係各位との打ち合わせと、そこでの調整ではなにをすればいいのかを聞き、まぁ何とかなるかなと、然程ない胸を撫で下ろしたのであった。←微妙に誤用。
さて、ここまで読んで「随分のんびりした展開だなぁ。」と感じたあなた。ここからは怒涛のバトル展開が始まりますっ!気持ちの準備はいいかな?それでは戦闘開始だっ!




