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食堂。そこには先にエルシオーネが居たけれど、声をかけるべきかどうか迷っていた。
「とりあえず、あの子の隣でいいわね。」
「え・・?」
何でとは思ったけれど。僕は仕方なくアリシアについていった。
適当に朝食をとっているだけなのでそこまで身構えるつもりはないけれど。
「おはよう。今日は何事も無いといいわね。」
「はい。事件の連続続きですから、少しは平穏な日を送りたいものですが・・。」
「メリクリウスの調子はどうかしら。」
「その気になれば、いつでも全力を出せます。ただ、エクレールが言ったメリクリウスの不具合をどうするべきか。」
「複雑な術式はまだ解読できないし、困ったわね。」
一応、ムーンキャンサーもメリクリウスも同じ魔法を扱うけれど。中身が根本的に違うらしい。
「解読するには、どうしたらいいんだ?」
「場違いの加工品、その遺物を掘り出した遺跡の文字を解読できればいいのですが。非常に古い遺跡の上に、この国が保有している過去の書物には記載されていない文字で形成されていますから。恐らく、全く別の文化圏から来た誰かが勝手に遺跡を作り、放置してきたと考えられています。」
エルシオーネはそう言っているけれど、あまり釈然としない理由だった。
「勝手に他の文化圏から来た人たちのものって・・どういうことなんだ?」
「そういう考え方でもない限り、不自然だからでしょうね。全く別の世界から送られてきた物だと考えない限り、存在している事がありえないですから。だから、場違いの加工品と呼ばれているんです。」
「聖剣とかその類の物もあるんだろ?」
「はい。その威力の数値だけ見れば、メリクリウスを圧倒できる武器は確かにありますが・・。術式の複雑さや魔力の運用方法等が全く別の術式で作られていますから。解読に時間がかかるという問題ではありません。遺跡の発掘に関しても、場違いの加工品以上のものは見当たりませんでしたから。恐らく、ムーンキャンサーとメリクリウスを安置させておくために作り上げたのでしょうけど・・。」
この世界の人間ではない他の存在が作り上げたと思ってしまうほどなら、確かに重要度は高いけれど。
それを普通にギルド協会が保有しているのもどこか変な気はする。
「ギルド協会って、そういう物を扱っているくらいだから凄い組織なんだよな・・。」
「食堂に不満があるようですね。」
「そういうわけじゃないけど・・。」
「私も不満はありますが、協会そのものはそこまで強大な組織でもないですから。協会の上層部に所属する人間たちは全て、国に選ばれる形になっています。ですから、基本的には半分私たちは国家公務員に近いんですよね。」
「そうなのか?」
「はい。ですが、形式的には民間企業・・ということになっています。」
「何だそれ?そんなの有り得るのか?」
「はい。例えば、莫大な財力を持つ貴族は、自分で軍隊を編成する事も可能ですから。」
貴族の私兵隊、という意味では別におかしくはないが。自分の世界の、現代的な意味で言えば民間軍事企業みたいなものだろうか。
公務ではないけれど、ミサイルや戦闘機を開発したり製造する企業は国と大きく関わり合っている。
つまり、その民間の軍事企業に近い存在になっているのが、ギルド協会ということになるんじゃないか。
今更凄いところで仕事している人たちと協力していることに気づいたが、今は朝食を全て食べておこう。




