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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
モニカの憂鬱
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〇94

彼女が広げた泥に飲み込まれる。その引力は強く、僕とその他は一気に飲み込まれていく。

その時点で一度気絶したが、一瞬見たモニカの瞳は残酷なほど冷たかった。


誰かの声が聞こえてきて、目を開けるとそこにはミーアが居た。リノンとテレジアも居るが、一応僕は生きていたのだろうか。

「お兄ちゃん・・。」

「その呼び方は固定なのか・・。」

別にいいけれど、そういえばモニカからもお兄ちゃんと呼ばれた気はしていたが。

あれは多分、意味の無い悪戯だろう。

「ここは、何処だ・・?」

真っ暗で、何も見えないがその場に居る少女たちだけははっきりと見える。

「分からない。武器も無くなっちゃって・・。どうしたらいい?」

「どうしたらって。モニカに聞いてみないと分からないよ。君たちは、大丈夫か?」

テレジアとリノンは半ばあきらめた表情になっていた。

「ナガトさんは、モニカとは仲間ではなかったの?貴方ごと浸食の泥に飲み込むだなんて、正気じゃない。」

「彼女は、仲間というかはよく分からない。協力したかったんだけれど。今はこんな感じだからさ。」

「でも無名だけはあるし、ここは貴方がなんとかしなさいよね。」

そうテレジアに言われたが、僕一人で三人を守るのはかなり難しいかもしれない。

「まぁ、彼女もそこまで鬼じゃないだろうし。すぐに変な泥から出してくれるよ。」

立ち上がって、適当にその場を和まそうとしたが・・。

他の三人は全く別の方を向いていた。

「え?」

真っ暗な空間にゆっくりと現れた、その黒い人間のような姿をした騎士。

その騎士は三体ほど居て、頭部が大きく開いていクジラみたいな口の形状をしている。

多分、彼女に浸食された動物たちは皆あの騎士に食われていたのだろうか。

「な、何・・あれ?」

「あれは、大罪武器?」

リノンは、はっきりと騎士たちが大罪武器を持っている事に気づく。

「三人とも下がって居ろ。」

ここは非常に拙い状態だが、今は何とかあの三騎士を相手にするしかない。

今度は僕が戦う番ということだ。



上空からエクレールとエルシオーネはモニカを発見し、すぐにその場所へ降り立った。

突然何らかの異常事態が発生し、すぐにその場所へ急行できたのは良かったけれど。まさか、彼女がこんな状況を起こしているとは思っていなかった。

「モニカ・・?」

「・・何、また何か変な事でも言いに来たの?」

「ナガトさんは何処に居るの?」

「泥の中。」

「え・・?」

「全く、あの男は本当に信頼できないから。少し罰を与えたわ。どうしてそう、すぐに他の女と協力するのかしら。」

「どうしてそんな事を・・。」

「貴方だって浮気を許せるタイプじゃないでしょう?」

「っ・・」

今、この二人ならすぐにモニカを制圧する事はできる。

空中に飛んでいれば少なくとも浸食される筈はないが、突然モニカに異常が発生したようだ。

「い、た・・?!」

頭痛がしたのだろうか、頭を押さえたモニカは急に苦しみだしていた。

突然、彼女が生み出したと思われる泥が変色し、発光して消え去っていく。

それに移り変わって、ナガトたちがすぐ近くに現れていた。

「嘘・・?貴方、どうやって・・・?」

「むしろあの空間の方がびっくりだったんだけど。とりあえずあの騎士をすぐに倒して、試しに地面に突き刺したら出れたよ。」

「その剣・・ただの剣じゃなかったようね。」

「そうみたいだな。特に、大罪武器とモニカの能力に対しては特に有効みたいだけど。どうする?」

今度はモニカが圧倒的に劣勢状態になったはずだが、大罪武器の方はまだ彼女の能力の中にある。

彼女自身の泥の中から、大罪武器の憤怒が浮き出て来たのを確認した時、僕は流石に拙いと直感する。

「例え貴方は無事だったとしても、武器の方は全て私の物になったのだから。」

斧が変形し、その割れた箇所から魔力が一気に噴出する。

「待て、モニカ・・!?」

「じゃぁ、私の物になりなさいナガト。」

「え?いや、僕は・・。」

「私の事をちゃんと協力するって言ったくせに・・この、礼儀知らず!!」

「うわっ・・」

今、エクレールから明らかに駄目な視線を感じたが今はそれどころではなかった。

激怒したモニカはそのまま、最大出力の大罪武器を地面に対し叩きつける。

それだけでも十分に大きな威力の爆発が発せられたが、エクレールとエルシオーネにより何とかその爆発から守られていた。

高台が一気に破壊され、元々の景色が殆ど破壊される結果になる。モニカは、その爆煙と共に消えていたが・・恐らくすぐには会えないかもしれない。

「ばたんきゅー。」

「大丈夫か?」

ミーアは倒れこんだが、とりあえず無事だったようだ。

「えっと。それでどうしましょうか。」

エクレールも流石に困惑していたが、今度はモニカに大罪武器を持っていかれる形になっている。

教団の三人組は完全に無力化されている状態になっていた。

「ねぇ。一つ聞いていい?」

「え?」

「お兄ちゃんって結局モニカとどういう関係なの?」

「ん?・・・あぁ、えぇと・・・。いや、僕は襲われただけで別に。あれ、どういう事なんだ?」

「それはこっちが聞いてるんだけど。」

ミーアの疑問は確かにそうだが、今までのモニカの行動はどちらかというと奇行だと思っていたから。

「言っている意味が分からないんだけど。とりあえず、私から見ても明らかにあれは怒ってたよね。」

「ん?あぁ。嫉妬?じゃなくて憤怒・・?」

「どっちも同じじゃない?」

リノンの言う通りだとすると、モニカは一体なにを嫉妬していたのか。

「え?嫉妬って・・モニカが、僕に?」

「他に誰が居るのかしら?」

今現在、彼女は暴食、憤怒、嫉妬、色欲を全て持っている事になっちゃったけれど。

それの殆どは彼女が使えるわけだが・・。感情面はそれほど機能していないはずだが。


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