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広場から出たところで、次は何処に行くか考えていた。
ロワールの街並みを見ているだけでもいいが、金が無い場合何処まで楽しめるのだろうか。
その考えをしていた時、ふとモニカは立ち止まった。
「どうした?」
「人気が無いわね・・。」
「え?」
突然の濃霧により、いつの間にか遠くが見渡せていない。
そして、人もまた居なくなっている。これはまさか、教団からの襲撃ではないか。
「あの三人の中に、結界魔法を使える子は居ないはず。」
「どうしてわかるんだ?」
「そんな力使えたら、そもそもあんなテロ行為してくるわけないじゃない?」
街での自爆攻撃。あれが一体なんなのかはよく分からないけれど、モニカにとっては違うらしい。
街の影から、一人黒いフードを被った人間が現れる。
僕とモニカは警戒し、武器を構えた。
「こんにちは。初めましてかな、ナガトと、モニカさんだよね。」
「貴方、何者なの?」
「さっき、貴方が邪魔をした人間たちの長だよ。」
「長・・?あれは獣人の排外グループじゃないの?」
「厳密には、人間以外の存在を排外する、純潔のマリアという組織かな。聞き覚えはないよね。」
その少女の声が、何処か異質に感じた時だった。少女の周囲に魔法陣が発生し、その光の中から狼型の魔物が現れる。
「人間以外を排外したいくせに、魔物を投入してくるのは反則じゃない?」
モニカはそう言っているが、向こうは両手を少しあげて首をふった。やれやれ、と彼女が思うほど的外れだろうか。
「これは使い魔よ。私たちが目指しているのは、人間と魔法使いの共存世界。でも、そこにエルフや獣人といった存在は入る事はできない。そして貴方もまた、魔的な力を腕に秘めている、非常に危険な存在なの。」
「ちょっと待って。言ってる意味が分からないんだけど、何で魔法使いはいいわけ。」
「はぁ・・エルフ、獣人といった魔的な存在のルーツを知らない貴方に何処から説明したらいいかしらね。私たちが望んでいるのは、魔法使いによる無能力者の保護なの。大多数に上る人間を魔物や他の存在から守るためには、まずその人間たちを監視しなくてはいけないじゃない?」
「そのために、獣人とかは邪魔になったからああいうことをしたの?」
「うん。本当なら、もっと早くやりたかったけど。変な奴に妨害されて、計画が一時中断になったからね。」
「変な奴って誰よ・・。」
「さぁ。何故か物凄く強い武器を持ってるんだけど、その人の事を私たちは全然知らないのよ。そんな立派人なら、普通分かるはずなのにね。」
「そう。それで、ここで私たちをどうする気?」
「えっとね。邪魔をしないでくれるって約束できるのなら、貴方とその人は襲わないわ。」
「私たちを知って居るってことは、協会から情報が洩れているのかしらね。」
「・・・・おしゃべりしすぎたわね。」
意外と駄目な奴なのか、それともわざとなのかは分からないけど。
「どうするんだ?あいつと戦うつもりなら・・。」
「それはあの子に聞いてみたら?ヒロイン一人増えるんじゃない?」
「僕をどういう目で見てるんだお前・・?」
そう言ったが、モニカは武器を普通にしまった。
「はいはい。邪魔しないからさっさとこの結界から出してよ。」
「んー?本当?本当に?」
「モニカ・・?」
「そこの変な魔法使いさん、早く出してくれない?」
「約束できなかったら、とりあえず貴方たちには酷い目にあってもらうから。」
「・・・・。」
「それじゃぁ、結界を解くね。」
そう言った後、光が生まれて濃霧が一瞬に晴れる。
そして、魔法使いや使い魔も同時に消えているため脅威は去ったと思われた。
「えっと。何だったんだ?さっきの。」
「あの魔法使い、結局どういう理屈で排外主義を実行しているのかしらね。」
「はぁ・・。力関係的に、無能力者が圧倒的に不利だからじゃないか?」
「その辺りは、後で調べる事にしたいけど。」
また変な問題が起きそうな気がしたけれど、モニカ自身はやる気が無さそうだった。




