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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
モニカの憂鬱
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91/131

〇91

街から遠く離れた森、その木々より高い場所で二つの光が交差した。

高い魔力収束砲撃がお互いに干渉せず、反発しあってそのまま命中せずに何も無い場所へ命中。

爆発の威力はそう高くないが、更にエクレールとエルシオーネの周囲に小さな魔力の塊が発生しお互いへ攻撃を開始する。

二人はその攻撃を開始し、収束砲をお互いに向けて発射した。

円を描くように二人は移動してお互いに撃ち合うが、例え命中しても魔法防御によって防がれる。

その光景を、アリシアとユリアは水晶玉で確認していた。

ユリアによる遠隔監視魔法により二人の戦いはちゃんと記録されている。

未知数の能力を持つムーンキャンサーとメリクリウスの模擬戦、その光景は価値のあるものだろう。

「エクレール、別に何も問題はないみたいだけど・・。」

「一年近いプランクがあったとは思えないわね。」

「彼女たちにとっては、むしろ辛い行為じゃないの?」

「え?」

「二人とも、別に戦いたいわけじゃないと思うけれど。ここに来たのだって、私が原因なのだから。」

「意外と優しいのね貴方。でも、これは彼女たちの戦いだから。エクレールがちゃんとムーンキャンサーを使えるか、エルシオーネがメリクリウスを使えるかのテストだから。」

「それ、今考えたの?」

「だって面白そうじゃないかしら?」

「はぁ・・。」

そんな理由で二人に模擬戦をさせるとは、彼女はいささか問題があるんじゃないか。

ふと、水晶玉の中で大きな爆発が見えた。どちらの攻撃だったのだろうか。



エルシオーネは隙をみせず、収束砲をエクレールに浴びせたことを確認していた。

しかし、その大きな爆発の煙から突然彼女の収束砲が飛び出し、エルシオーネはすぐに回避しようとした。

しかし、それもギリギリで魔法防御しなければいけなかった。思った以上に魔法防壁が削られてしまい、このままではユリアの言った判定によりエクレールに負けてしまう。

「聞いたより全然強いじゃない・・あの馬鹿みたいな態度は猫かぶりだったんですか!?」

大きな声で問いかけるが、エクレールは無表情のままだった。

明らかに、エルシオーネが見かけた時とは違う。よく知らない男性とエクレールが食事していた時の彼女の態度からは想像できない。

「っ!?」

更に収束砲が発射され、回避する。とにかく今は戦うしかない。

もう一度、彼女よりも強い収束砲を放てばいいのだから。

今度は彼女に回避されないように一気に彼女の方へ接近を開始する。

「この、負けるかぁ!!」

エルシオーネの魔力が最大展開され、浮遊術の加速度が上昇していく。

一気にエクレールまで詰め寄り、彼女に対してメリクリウスによる狙いを定めた。

その時、突然エクレールが動いた。エルシオーネよりも数段速いスピードで動き、ムーンキャンサーの光刃をエルシオーネの背中に叩きつける。

いくら魔法防御に守られているからとはいえ、今の衝撃で気絶しかけていた。

歯を食いしばってメリクリウスの光刃を発動して彼女に反撃するが、それを回避され出現した魔力の塊の雨にさらされる。

そのまま浮遊術のコントロールを失い、エルシオーネは地面まで落下していった。

衝撃は何とかやわらげたけれど、まだ自分は行けるはずだ。

「今度こそ、本気で・・!!」

彼女に対し魔力収束砲のフル稼働の準備に入る。

エクレールもまた、収束砲のための術式を展開した。お互いの足元に大きな魔法陣が発生し、周囲に暴風が巻き起こる。

そして、一閃の太い光が発射された。それと同時に、突然エルシオーネはメリクリウスの謎のパワーダウンに驚く。

突然光が弱まり、コア部分の光が点滅をしていた。

その意味が分からず、エクレールが発射した収束砲の爆撃にあおられてエルシオーネは数十メートルほど吹き飛ばされてしまった。

メリクリウスの謎の不具合が発生したため、魔力が弱まった収束砲はエクレールには届かなかった。

エクレールはそのままゆっくりとエルシオーネの前に降り立つ。

「どうして・・こんな事・・・今まで無かったのに。」

「それがメリクリウスの欠点なの。」

「え?」

「メリクリウスは、ムーンキャンサーと違って臆病だから。ルミエラの時もその不具合のせいで・・彼女は死んだの。」

「どういう、事?その武器に、人格があるとでもいうの?」

「この武器は私たちを選んでいるし、時によっては私たちの声に反応することがあったから。私は、実は魂がこもって居るんじゃないかって。そう思っていたんだ。」

「魂・・?」

「うん。よく分からないけどね。とりあえず、私の勝ちでいいよね。エルシオーネ。」

「・・・そうですね。この状態では、貴方にはまず勝てません。」

吹き飛ばされたメリクリウスは、現在は既に起動停止しエルシオーネの武装が解除された。

元の制服に戻ったが、このシステムもどういうものかは分からない。

物の空間転移は可能ではあるが、この武装の場合一体どういった空間に転移されているのかはまだ未解明だ。



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