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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
モニカの憂鬱
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〇85

噴水広場。ロワールで新しくできた場所で、その水道技術が改良されれば町の衛生も大幅に上がると言われている。

アリシアはその噴水広場を気に入って居るが、ただ昔から水に関しては自分の魔法で何とかクリアできてしまう。

四大元素の内、水の属性によってできる水は普通の水が無いので別に飲んでも平気だ。

だから、魔法によって得られる恩恵により無能力者も病気や飢餓によって重篤にならずにすんでいる。

しかし、その魔法によってできた水は最初から魔力で構成されている。他の火、風、水も同じだが結果的にその魔力に魔物が近寄ってくることもあるのだ。

魔力に汚染された物には、魔物が感知して集まってくるとなると危険なのは無能力者である。

魔法でいくら守って居るとしても、魔物が求めているものは魔力である限り無能力者ほど狙われやすい。

力の強い魔法使いは、余程魔物が強力な存在でない限り襲われない事が多いのだ。

「この場所の水、全て真水なのよね。」

魔法以外の方法により、水道技術が発達して噴水が作られる。

この噴水も、魔法を使わなくてもある程度人間の生活を安定させられる事ができる事を示したいと作られたものだ。

貴族の中にも無能力者は居るのも大きな要因だろう。魔法ではいくら数を誤魔化しても、全て豊になるわけではない。

それに、魔法によって出来た物に魔物が寄ってくるのであれば・・無能力者はもっと別の方法で生きていく方が効率がいいらしい。

「もし、このレベルの大量の水を魔法で発生させたら・・魔物が生まれるし。」

魔法も絶対的な権力を持っているわけでもない。魔法で製造した水を大量に貯蔵しすぎると、その魔力によって魔物が出現する事もある。

火、土、風も同様だ。魔力によって形成された物質を押しとどめる特殊なルーン石で、何とか魔物化する事を防いでいるけれど。井戸に貯蔵できるよりも多い量を形成するとルーン石では抑えられない。

「無能力者の中には、魔法使いの人間もまた魔物の一つである。と昔の魔法使いが言っていたね。」

声が聞こえた。

目の前には、いつの間にかエクレールが居た。

服装はウェイトレスではなく、軽装の騎士の恰好をしている。

何処かにいくつもりなんだろうか、それともアリシアについていくつもりなのか。

「だとしたら、私はドラゴンか、何かなのかな。」

「エクレールがそうだとしたら、私はウィンディーネかしらね。」

「アリシア。私は協会の人をそこまで信用していないから、貴方が私の友達と同じ目に遭わないか心配なの。」

「・・私が、貴方の戦友と同じ死に方をするのを想像したのなら見当違いね。」

「どうしてそんなに自信があるのか分からないけど。私と一緒に居れば少なくともアリシアは助かるから。」

「貴方の魔法の場合、私と相当長い間一緒にならないといけないんだけど。そんなに見張られたら気苦労するわね。」

「そ、その・・・。私、そもそも家出中だから。もし家の人に見つかったら今度こそ連れ戻されるかな。」

「その内、協会に人探しの依頼が追加されるわね・・。」

「ど、どうしよう!?私、永遠の17歳で居たいのに。」

「急に泣き言を言わないでくれる?」

「アリシア、助けて!!」

「ねぇ。ひょっとしてそれ、ギャグで言ってるの?」

「もし私に婚約を迫って居る貴族が変態さんだったら・・!!」

「モニカ以上の変態は居ないと思うけど・・貴方の婚約予定の人って変態なの?」

「そ、そうに決まって居るじゃない!冷静に考えたら呑気にウェイトレスできないじゃない・・もっと遠い国に行かないと!」

「私をダシにするつもりなら今ここでぶん殴ってもいいけど・・。」

「アリシアだって騎士なら乙女の一大事に反応できないの!?」

「こいつ・・・。」

頭がそろそろ痛くなってきたが、エクレールはどっちにしろ家には帰らないつもりでいるようだ。

「いっそ協会に入るか、フリーで魔物討伐でもしてみればいいじゃない。大体、あの武器を取り返したいんじゃなかったの?」

「アレは、その・・。本当は私の物だけど・・。」

「ロワールから離れ過ぎたら、二度と取り返せないんじゃない?」

「じゃ、じゃぁ。一緒にユリアさんと相談してくれる?」

「え?・・・・え?」

何で自分がそういう事をしなければいけないのか分からなかった。

アリシアは現状を把握するのに思考を加速させていたが・・。

「ふふ・・・。」

「い、いきなりどうしたの気持ち悪い。」

「貴方、もう少し言葉を選びなさい。でも、いいわね。強力なサポーターが居れば七つの大罪の事なんてすぐに解決できるわ。今すぐ行きましょう、支部に。」

「い、いいの?」

とりあえず、協会でいつも紅茶を飲んでいるエルフに会えばいい。

調子が出てきたところで、アリシアはエクレールを利用する方を選ぶことにしていた。


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