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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
始まり、森から屋敷へ
47/131

〇47


もう一つの尋問室にて拘束されているフェリペは気だるげにただ静かにしていた。

見た目は訓練を受けた剣士で、モニカほどの異常性はないものの警戒は怠らないようにしている。

「初めまして。私はギルド協会特務委員長のユリスです。」

フェリペの方は何も言わなかった。拘束されている事が気に食わないだろうが、それよりもアリシアに負けた事をまだ気にしているのかもしれない。

「まず、貴方は何故、オルフェウス教団に所属していたのかをお聞きしたいのですが?」

「それを簡単に言ってくれると思っているのか。中々、ギルド協会は人手不足なだけあるな。」

「その人手不足の原因は貴方たちにもあるのだけれど、それは今始まった事ではありませんし。あまりこちらには時間がありませんので、手短にもう一度聞きます。何故、教団に所属していたのですか?」

「・・・・・こっちからも質問をいいか?」

「どうぞ。」

「俺は高慢を奪われた。突然変な力を持った女剣士にな。あれは一体なんだ?」

「アリシアですが?」

「名前を聞いているんじゃない。あの力、ギルド協会に置いておくには少しオーバー過ぎないか?」

「彼女が配属しているギルドグループは適正と私たちは判断しています。貴方は、彼女に対し恨みを感じているのですか?」

「一方的に負かされたんだ。あれで怒らないほうが異常だ。」

「アリシアとの闘い。あの後に彼女は貴方が所有していた高慢を奪いました。その後、彼女は貴方が使っていた時よりも多くの魔力を放出していたと他の人から聞きましたが。」

「ん・・?それは凄い事だが。俺より高慢だったからか?」

「それも多少ありますが。私たちが効いた限りでは、所有者の感情の値だけで魔力は増大しないそうです。もっと別の、大罪とも呼べる本人の意識に七つの武器は反応します。それは知って居ましたか?」

「いや。知らなかった。」

「貴方が知らされていなかった可能性もありますね。」

「嫌な奴だな・・。いや、あいつらも確かにそうだとすると・・・俺はただのパシリだったわけか。」

「勝手に自己完結されると、私も困るのですが。」

「はぁ・・。」

ため息をついているが、それほどアリシアに敗北したことがショックだったのか。それとも今更この場所で自分がしてきたことに罪悪感を感じたのだろうか。

「俺は奴らにスカウトされただけだ。適当に外国の異民族に交じって剣の修行をしていたら、オルフェウス教団の一味と出会ったんだ。そこで、そいつが持っていた武器を使わせてもらったら、いい具合に魔力反応を起こした。そこらにあった巨大な岩を一撃で破壊できるほどの力だ。俺はその教団に入ればもっと強くなれるかと思っていたんだが、正直よく分からない集団だった。少人数な上に、幹部は表に出てこない。リーダーみたいな奴は居たけど、貪欲を持って何処かに行ってしまった。明らかに失踪になるけど、幹部に言っても無視されるし。他の仲間とは正直合わないからな・・。」

「嫉妬、憤怒、色欲、怠惰。四つ武器を所有している人数はどの程度ですか?」

「それぞれ四人。しかし、怠惰に関しては知らない。俺が入団する前に誰か勝手に持って何処かに行ったらしい。」

「それは・・つまり、怠惰を盗んで国外逃亡したと?」

「あぁ。だから俺と、嫉妬、憤怒、色欲のチームで構成されたんだが。俺以外女の上に性格が頭おかしいからな・・。」

「貴方以外女性ですか。」

「お前、今変な想像したか?」

「いいえ。でも、相手の一人に色欲という物を持っている人が居るのですから。貴方にとってはチャンスはあったんじゃないですか?」

「俺は普通の女性が好みなんだが・・。ところで、そろそろ腹が減って来たんだが飯は出ないのか?別に俺は教団に入ってモニカという奴を探す以外の罪は無いんだからさ。」

「それはそうですが。教団は立派な犯罪組織です。その時点で貴方は処罰される対象であることを理解してくださるとうれしいですわね。」

「何でそんな難しい言葉を笑顔で言うんだ・・?」

フェリペも若干引いてしまう程の可憐な笑顔だった。むしろうれしそうと言っていいが、もしかして彼女は教団に所属している人間に匹敵する何かがあるのかもしれない。

彼自身、いいかげんにこの場所から逃げたい気持ちは出てきていた。

「仮釈放はあるか?」

「ありません。」

ギルド協会には一つ、噂がある。

協会に捕まった犯罪歴を持つ人間たちは、魔法によって強引に自白されるらしい。

その魔法は犯罪者によって扱いが様々で、その苦痛は並みの拷問を凌ぐ事があるそうだ。

もっとも、噂は噂なのだが。その拷問の手続きを行うのは何故か決まってエルフの女性だという。

恐らく、摑まった犯罪者は妄想の中で勝手に相手をエルフの女性だと思い込んだに違いない。


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