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横切りに振り回される斧により、壁が一気に破壊されていく。
片腕だけで振り回しているにも関わらず、その突撃は非常に速い速度だった。
更にその速度を上回る形で回避するモニカは、戦闘から5分は経っても傷一つ受ける事が無い。
「そろそろ疲れて来た?」
「くそ。無茶苦茶なじゃない。少しは当たれ!!」
テレジアによって爆砕されるのは建物や路面だけで、目標であるモニカにはまず命中しなかった。
ローリング、壁蹴り、あるいは体術による回避。その運動はむしろテレジアよりもかなりきつい行為のはずだが、彼女はまだ余裕の表情だった。
テレジアはもう既に息切れを起こしており、もう勝敗は既に決しているように見えた。
「てめぇ・・。」
「まだ戦う気?」
「いっその事こっちの方が当たりそうだな。」
斧に魔力が発生し、旋回する。
「そんなに死にたいの?」
モニカも負けずと右腕の包帯が解放され、魔法陣が発動し光を強めていた。
これは明らかに止めなければいけない状況だが、しかし彼女たちを自分が制止できるかどうかは分からない。
いっその事、この場所から逃げた方がいいんじゃないか。
そっちの方がまだ自分にとっては安全ではあるが、しかしモニカを置いて逃げる事で後で何をされるか分からない。
二人の魔力が増幅し、激突すると思われていた時だ。
「はーい。そこまでー。両名、武器を納めなさい。」
アリシアが大声を上げて、二人の間に入った。左手にはグレコが、右手にはフェリペが持っている筈の剣があった。
その剣には魔力が渦巻いており、それをグレコに向けているところを見ると・・人質に取って居るのだろうか。
「なっ、何でそれを持って。あいつはどうしたの?」
「あの男ならさっき私が倒したわ。テレジアさんだったかしら。これ以上抵抗する場合、私はモニカと共に貴方を倒しにかかるけれど。それでいい?」
「・・・・。」
「別にそのまま逃げてもいいのよ。私はモニカに用があるだけだから。」
「ふぅん。まぁ、いいけれど。いいわ。正直、こんな戦いなんてやってられない。」
そう言ったテレジアはすぐに跳んで、建物の屋根を辿り逃げてしまう。
「ちょっと、何で逃がすの?」
「貴方に用があるって言ったでしょう?」
「・・・・グレコ、貴方も一体・・。」
「私、この方に脅迫を受けておりたった今自由ではありませんので。というか、助けてくださいモニカさん。」
「・・・。」
「さぁ、武器を納めなさい。この子がどうなっても知らないわよ。」
「最悪。」
そう言ったモニカはダガーを地面に突き刺した。
とりあえず、これで状況は丸く収まったのだろうか。




