○20
僕たちが歩いて到着した旧ペドロは小さな町で、近くで採取できる鉱物を主に収入源としていた。
何も問題があるわけではないが、鉱山に魔物が大量に出現するようになってから人は少なくなった。
軍隊や魔法使いを派遣しても、その魔物の数は全て絶やすことはできない。
町から人が居なくなり、現在もそこに人が戻ることはないまま。
10年間放置されたことでペトロの街並みはかなり荒廃してしまっている。
更に、誰かの魔法によってできた黒い泥のようなものまであるが。もう既に遅かったと言った方がいいのだろうか。
「何ですかこれ?」
「魔力の塊じゃない?この先に屋敷があるけど。スフレはここで待機してくれる?」
「私と行きたいけど。お姉ちゃんを連れて帰ってくれると約束できるのなら。」
「そうね。一応連れて帰るわ。また面倒な事態が起きた仕返しも考えておかないと。」
アリシアと僕はそのまま前進する。
黒い何かを踏んでも大丈夫だろうか、アリシアはそのまま何も考えず歩いている気がした。
「匂いが酷いんだが。大丈夫か?」
「今更怖いとか言わないでよね。」
本来なら慎重になるべきだろうけど、アリシアはそのまま普通に屋敷の中に入ってしまう。
その中に入ると、埃臭さや動物の死体の匂いで気を失いそうになった。
「女の子がいるとは思えないな。」
「悪戯に殺しているわけでもないわね。どちらかというと、食事をするために切り裂いたかんじだけど。」
「ん?食事?」
「でも、このまま食べるわけにはいかないし。まさか、本当に動物の肉を生で食べたのかしら。いくら何でも、生理的におかしくなるじゃない。普通だったら死んでるわ。」
「食べる時にオオカミに変身したんじゃないか?」
「もしそうだったらいいけど。」
「外に出ていい?」
「ダメよ。一緒に屋敷を調べないと。」
何で我慢できるんだろうか。
下手をすると感染症で死ぬ可能性もあるし、この屋敷にある物なんて触りたくはない。
屋敷の通路を歩き回る。時々床に小さな足跡があるけど、真っ赤に染まっているのはなんだろうか。
「アリシアは怖くないのか?」
「昔から耐性があるだけよ。ギルドに所属している人の中で、私が屋敷の調査をさせられる理由にもなっているけど。もし人間の死体があったら、その時は覚悟しておいてね。」
「せめてスフレと居たいんだが。」
「私一人だと、もしかしたら変な見落としがあるかもしれないじゃない。」
確かにその通りだけど、この屋敷を自分の目で全てを見ると胃液が逆流しそうだった。




