○21
一階は探し回ったので二階へ。
階段を登り、僕とアリシアは部屋を次々と調べる。
鍵が開いていなければ、強引に突破する。
書斎のような場所が見つかったので、アリシアはそこを調べることにした。
「ん?」
ふと、ドアに入る前に誰かを見かけた。
通路の奥、その影に何故かエクレールの顔が見えた気がした。
「なんで?」
そんな疑問を感じた時、アリシアの悲鳴が確かに聞こえた。
彼女がいた方向に振り向く。
アリシアは大量の血液を出して、地面に倒れていた。
一体何が起きたのだろうか、その光景を見ただけで彼女はもう駄目だと直感する。
アリシアを刺した本人、その少女は返り血で白い服と肌を染めている。
顔と右手を包帯で隠した姿はそのまま僕を見る。
最初から逃げればよかったが、僕はそのまま腰が抜けてしまう。
アリシアは動かない。包帯の少女と目が合っただけで身体が麻痺してしまっている。
その少女が近づいて来て、僕の上に跨った。
顔に巻かれている包帯を取るが、その顔はスフレよりも幼そうに見えた。
ここで死ぬのだろうか、その思案を待たずに彼女は僕の首に近づいてくる。
彼女の熱い吐息が、何処か獣のように感じていた。
「ま、」
そのまま彼女に殺されると確信した時だった。
「まって。これ以上は駄目!」
エクレールが止めてくれたことで、少女は噛み付くのをやめた。
「何で?」
「これ以上は、貴方にもよくないから。私はもう貴方みたいな子を増やしたくないのに。」
「意外なこと言うのね。私みたいな子と会ったことがあるんだ。」
「だから、貴方のこれ以上の蛮行は、私が許しません。」
「そう。まあ、いいけど。後ろのはもうおそいわね。」
「え?」
「既に一人刺しちゃったから。もう死んでるんじゃない?」
「そんな!?」
エクレールはすぐにその部屋の中に入る。
彼女はすぐに近づくと、エクレールは自分の知り合いだとようやく理解した。
「アリシア、何で、貴方がこんな所に?」
エクレールは非常に戸惑いを感じていた。
明らかにもう遅いと思われるが、彼女はそれでもと魔法を使う。
地面に魔法陣が展開され、非常に神々しい光が発生する。
「まさか、あの致命傷なのに?」
少女は明らかに驚いていた。その言い方からすると、彼女が持つ物騒なダガーでかなり強く傷害したと思われる。
その魔法の光が何なのか、少女も僕も理解することはできていない。
その魔法が終了し、光が収まる。
そこには、傷のないアリシアが地面に存在していた。
「貴方、それ、どういうこと?」
「私の友達を、殺すつもりで攻撃したんですか?」
「明らかに生き返ってるみたいじゃない。そんな魔法が、あっていいはずがないけど。」
「私の言葉に答えてください!」
「まあ、その人だって最初からその気のはずだと思うわ。正当防衛よ。」
そう言って、エクレールの言葉を辛辣に返した。




