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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
始まり、森から屋敷へ
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18/131

○18

その出来事は兵士たちにとっても不可解だった。

エクレールがあの少女を守る義理はないはずだけど、何が彼女を行動させるのか。

「どういうつもり?」

「ユリア、この子を殺す理由はないと思います。」

「その子の危険性が分からないの?貴方だって、この場所に捨てられている死体を見たんじゃない?彼女が撒き散らした腐敗した獣の肉は、まさに狼に虐げられた子羊なのに。」

「ユリア、この子は私とお喋りできるんです。」

「だから、何?」

「この子はただ誰にも、正しい生き方を教わらなかっただけなんです。本当に悪い子なら、私はもうこの場所には居ません。」

「意外と面白いこと言うのね。」

「ユリアだって、生まれてからすぐにナイフとフォークを持って食事していたんじゃないのに。」

「そうね。私からも質問を聞くけど。貴方は動物や人間の死体は見たはずだけど。その辺りはどうなの?」

「汚い、と思っただけです。」

「前から思っていたけど、貴方は本当にお馬鹿さんなのね。これで私は理解はできたわ。」

何を理解したの?とエクレールとその他は首を傾げた。

「装填用意!」

「え、待ってユリア!」

その声を待たずに、兵士たちは迅速に玉を籠める。

多少は時間はかかるが、しかしその間に逃げることは不可能だろう。

「いくら私が最初はナイフとフォークを持てなかったからって、獣のように生の肉を食べたことはないわね。エクレール、後ろに居る少女から離れなさい。」

「何で聞いてくれないんですか?!」

「貴方が馬鹿だからに決まってるじゃない?」

「そんな、何で?」

戸惑うエクレールの前に、少女は出ていた。

「私もそう思う。」

それはエクレールに対してなのか、それともユリアに対してなのか。

少女の右手の包帯が勝手に解け、その腕が長く伸びて地面に突き刺さる。

「まずい、全員後退!」

ユリアの号令は遅く、突き刺さった腕を中心に地面が真っ黒に染まって広がっていった。

その漆黒から、更に小さな無数の腕が伸びて高速移動し、逃げようとする兵士を捕らえる。

「このっ!」

ユリアは短銃を少女に向けて放つ。

しかし、それはエクレールにより防がれてしまった。

「この状況で誰が味方か分からないの!?」

「私はいつだって弱い人の味方だもの。だから貴方こそ何処かに行って!ユリア!」

「この馬鹿エクレール!死んでも知らないから!」

そう言って、更に広がってくる無数の腕を回避して逃げていく。

ユリアからすれば、今回ばかりは彼女を助けるのは無理かもしれないと思った。

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