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一応アリシアが請け負う仕事は二つ終了しており、最後は屋敷の調査となっている。
その屋敷はゴーストタウン化した町の中にあり、人が寄り付くことはほとんどないそうだ。
「本当なら一人で今から突撃するのもいいけど。人が居なくなった場所は悪者のアジトや魔物の巣になっていることが多いから。二人で慎重に行きましょう。」
「僕も行くのか?」
「別に心配することはないわ。その町に駐留している部隊もあるから。ある事件が起きたから、問題となっている場所を調査してほしいというのが、協会からの三つ目の依頼。」
「事件って、何かあったのか?」
誰もいなくなった町の中で、事件が起きるというのは不思議なものだ。
「普段は町には衛兵が10人以上監視していて、普通の人には入ってこれないようになっているの。衛兵たちが見ている以上、そう簡単に山賊も入ってこれないけれど。とある深夜、衛兵たちは何かを見た。最初は誰かの悪戯かと思ったけれど、よく見るとその姿は少女だった。」
「女の子?」
「その女の子を見たとき、迷子だと最初は思ったけれど。ランタンを持って近づこうとするとすぐに走って逃げてしまった。衛兵たちは全員で探し回り、その中の一人が悍ましい物を見たそうよ。」
「おぞましいって、何が?」
「衛兵が走っている女の子にやっと接近した時、その少女はね。お腹が避けて血まみれになったウサギを握っていたそうよ。」
「ウサギ?動物の?」
「はらわたも一瞬見えていた。その少女を疑わしく感じてきた衛兵たちは、人数をさらに増やして町を警備したの。ちなみに、町がゴーストタウン化しているのは隣にある山から凶暴な魔物が降りてくるからだけど。もう一つ、町で凶悪な連続殺人が起きたことがあって、住民たちは呪いがかかったように逃げ出したみたい。
元々経済状態が悪く、治安もダメな場所だったから。最終的には無くなることはわかっていたけれど。
その連続殺人事件の中でも、血まみれになった少女が歩いているところを見た人が居るとか。」
「随分物騒な事件だけど。いつの話なんだ?その連続殺人事件は。」
「10年前よ。だから、最初はタチの悪い悪戯だと思われたけど。
現在の町の中を徹底的に調べ上げたとき、ある屋敷の中から猛烈な異臭を感じられた。
その中を調べようとした衛兵は、後に凄惨な姿となって発見された。
無能力者では対処できない事件と見なされ、私に任務が与えられたけど。正直、そんな女の子と戦いたくないわね。」
確かに血生臭い話だけど、その少女はそもそも過去に目撃された少女とは同一ではないはずだろう。
夜の中でそんなのと出会うのはさすがに嫌だ。




