○11
スライムはまだ元気である。
そのスライムがエクレールに対し突撃するかと思われていた。
「わ、私は食べても美味しくないですよ?そちらの方をお勧め!」
「空気読めよそこ!」
実際のところかなりの絶体絶命だと思われるが、エクレールは現実を見ていなかった。
「あ、そうだ。このチョコで餌付けできるかも。はい、ご飯ですよー。」
ぺい、とチョコを投げると、スライムはそれを吸収した。
しかし、吐き出される。
「そんな、私の手作りなのに。酷い。」
どうつっこんでいいのか分からなかったが、スライムが物理的に突っ込んでいったので何とかなった。
「きゃー!?やめてください!何で私なんですか!?せめてそこの人を狙って嫌ー!?」
そしてそのまま彼女はスライムに追いかけ回され、何処かへと行ってしまった。
スライムに折られた剣先があまりにも虚しく感じる。
夕焼けになってきてるし、もうそろそろ宿屋に戻ろうと思った。
村には普通に戻れたけれど、エクレールはどうなっているんだろうか。
凡人にはなす術がないので、適当に無事を祈るしかない。
「ちょっと、そこの気が抜けた人。」
突然誰かに声を掛けられた。
金髪の男性で、かなり派手な服を着ている。
「この辺りで少女をみなかったか?薔薇の飾りがついた剣を持っていたはずだが。」
「いいえ。見ませんでしたよ。」
「そうか。もし見かけたら、すぐに家に戻るように伝えてくれ。家族が待っていると。」
「そうですか。」
「疲れているようだが、大丈夫か?」
「いいえ、スライムに体当たりされただけです。」
「そうか。スライムなら仕方がない。」
この世界のスライムは割と強いみたいだけど、僕は何も見なかったことにしておいた。
自分に出来ることは限られている。
無駄な体力をかなり使ってしまったので、適当にはぐらかして宿屋に戻ることにした。
部屋の中で休んでいると、部屋にアリシアが入ってきた。
「遅かったな。」
「ええ。予想外のアクシデントにあって。」
「どんなアクシデントだ?」
「アホな子が沢山魔物を連れてきて私に助けを求めてきたっていうか。一体何だったのかしら。」
どうやらエクレールは更にスライム以外の魔物に追いかけられたらしい。
まさか偶然アリシアに会うとは、かなり運が強いのだろう。
「助けたお礼にお菓子沢山貰ったけど、食べる?」
「いや、いい。」
アホな子のことは忘れたいし、今後とも出会うことは無いだろう。




